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旅も海外も慣れてないけど、アフリカ行ってきた➅〜エチオピア - モンバサ 年越しパーティまで・実行編〜

本記事は、以下のように6つ目の記事になります。

  1. 発案編

  2. 準備編  

  3. 前日 - ボレ空港到着直前まで・実行編

  4. ボレ空港到着 -  エチオピア1日目終了・実行編  

  5. エチオピア2日目・実行編

  6. エチオピア - モンバサ 年越しパーティまで・実行編  <-  今ここ

  7. モンバサ2日目・実行編

  8. モンバサ - 帰宅・実行編

  9. 感想・振り返り編

  10. 旅行の超詳細編(有料部分)

どうぞお楽しみください。

大まかな日程

12/31
起床 4:30
モナークホテル  5:30
-> ボレ空港  9:00
-> 12:00  モイ空港  15:00
-> 15:30 サファイアホテル
-> 夕食 19:00 ~ 20:00
-> 年越しパーティー 23:30 ~ 1:00
-> 就寝 1:30


エチオピアの別れ。

7時間くらい眠って、
4:30くらいに起きた。

5:30くらいにホテルを出る。
搭乗3時間前に空港に着きたいからだ。

昨日、ホテルの人に話して、シャトルで空港へ送ってくれるらしい。無料だった。
たぶん行きも言ったら連れてってくれたのかもな。
タクシーを呼ぶときのドキドキを味わえたのはよかったが、楽にいくならシャトルでいくのがおすすめだな。

タクシーに乗り込む。
あたりはまだ真っ暗で、まだほとんどの人は活動してないようだ。
タクシーアプリで運転手など見つかる気がしない。

朝5時のアディスアベバ

空港まで行く途中、タクシー運転手になけなしのアムハラ語を披露した。
こんにちはとか、お元気ですかとか、名前は何ですかとかそういうの。

結構笑ってくれた。
ついでに色々言葉を教えてくれた。
もう何も覚えてないけど。
楽しかった。

ボレ空港に来た。

程なくして、空港に着く。
早速チェックインのほうに向かおうとしたが、空港に入る前にも荷物検査がいるらしい。

途中で止められて中身をめちゃ確認された。
結局大丈夫だったんだけど、ヒヤヒヤした。
たぶんなかなか見ないアジア人っていうのもあったんだろう。怪しいものもってたらもっと追求されそうな雰囲気だった。
怪しいことはなるべく排除しておくべきだなって思った。

中に入ると、まだチェックインがそもそも始まってないみたいだった。電光掲示板をみると2時間半前くらいから始まるっぽい。

朝早いからか、人はまばらだった。
僕たちは椅子に座って待つことにした。
なるべく端っこのほうに座った。

座って話してると、斜め前の何席か先に、わざわざ後ろを振り返ってじっとこっちを見てる女性がいた。
まただよ。

昨日の昼食のときと全く同じ状態。
表情ひとつ変えず、微動だにしないでこっちを見てくる。
こちらから微笑んでみたけど、全く動く気配がない。
めっちゃ怖いんだよな、警戒心MAXみたいな感じ。
やっぱ異質なんだろうなとまた思い知らされた。

あと、トイレに行くときも、清掃員みたいな人が明らかに僕の跡をつけてきてた。
何か起こるかもみたいな感じで来たのだろうが、怖かったなぁ。
たぶんお互い怖いんだろうけど。

そうしていると、チェックインの時間になった。
チェックインも保安検査もスムーズになってきて、難なくできるようになった。

搭乗口へ向かった。
トイレの近くには、何やら礼拝するようなマークとスペースがあった。
これまでは意識したことなかったんだけど、イスラム教の人が礼拝するんだろうなって思った。

トイレでは、大人が大人に首を掴まれながら手を洗ってる人がいた。
何らかしらの関係性があってやってることのようだったけど、何だったのか全く想像がつかない。
シンプルに怖い。

飛行機を待ってる間、泊まるホテルのシャトルがあるか調べていた。
あったら楽だなと思ったけど、無さそうだった。
あるところを予約すればよかったなとか、いまさら思った。

あと、これから行くモンバサは、ここアディスアベバよりも暑いらしい。
ほぼ赤道直下で、25℃くらいあるらしい。
アディスアベバは15℃くらいだったから、だいぶ変わる。

待っているとき、周りはかなり欧米の人が多かった。家族連れも多かった。
さながらバカンスに行くような感じだ。
きっとモンバサはそういうところなんだろうなと思った。
そして、今まで黒人の方ばっかりだったから、欧米の人がたくさんでちょっと安心した。
アジア人は全くいなかったんだけどね。

飛行機はほぼ時間通りにきて、問題なく乗れた。

もうすぐエチオピアもさよならだ。
最初のアフリカの国、初心者の海外旅行にしてはハードすぎたけど、おもろいとこだった。

じゃあな。この人生でもう来るかわからん国よ👋

そしてようやく本命のモンバサへ向かう!

彼女が人生で1番行きたいとこだ。

ぼく「ようやくモンバサに行けるね」
彼女「ほんとに楽しみ😊」

待望のモンバサ。

飛行機は2時間半くらいのフライトだったけど、ご飯が1食出た。
朝から何も食べてないから、嬉しかった。美味しいし。

そして、、、モンバサのモイ空港に着陸!!

アフリカというには、緑が一面に広がっていて、赤茶色の瓦積みのようなものがあって、沖縄に来たような雰囲気。

飛行機を降りると、暑い暑い。
長袖で我慢できるかと思ったけどとても無理なほどだ。

降りてすぐに、イエローカードの確認をする場所があった。
僕たちは当然持っていたのでスムーズに通れる。

ここでイエローカードがあることが効いた🥹
まじで1ヶ月前に気づいてよかったわと、ホッと胸を撫で下ろした。

入国審査の列に並ぶと、まあ、進みが遅いこと遅いこと。
なぜかはよくわからなかったが、列は4列くらいあるのに、1時間以上は待っていたと思う。

途中で、彼女はトイレに行ったんだけど、トイレにはチップもらうのに立ってる人がいたらしい。
持ってるお金の最小が1ドルだったから、それを渡したら、めちゃ喜んでたらしい。たぶん、相場は数セントとかなんだろう。
モイ空港ではチップ求められることあるんだね。
たしか、エチオピアのボレ空港のときはなかった気がする。

入国審査の列で待ってると、前にはイタリア人らしき、50歳くらいの夫婦が3組いた。
おそらくグループで旅行してるんだろう。
めちゃくちゃ明るく楽しく話してて、こんなふうな50代だったら幸せだろうなって思ったな。

たくさん待ってようやく入国審査へ。
時間かかると思ったけど意外とスムーズ。
たぶん指紋取るのを苦戦してる人がいたんだろうなぁと思った。

保安検査も終え、ドルをケニアシリング(ksh)に変えた。
1ドル150kshで、日本円とほぼ同じくらいだった。
僕らは2人合わせて100ドルを15000kshに替えた。

空港の外に出ると、遊園地の入園前みたいな感じで、柵を挟んだところに人が集まっている。
みんなタクシーやらホテルやらの文字を掲げてたので、旅行客をつかまえようとしてるんだろう。
ここのやつは大体ぼったくられるだろうからあんまりおすすめしない。
ケニアはUberが使える。
あとはBoltというケニアでよく使われてるアプリもある。
そういうのを使った方がいい。

柵の内側は、空港利用者以外は入ってはいけないようで、見えないバリアみたいになっていた。

まずはSIMを入れたかったのと、何か飲みたかったし、食べたかった。
すぐそばにsafaricomがあったので、入ることにした。

自動ドアの前には警備員がいて、中の人が出るまで待ってなと言われた。
SIMを入れるのに、セキュリティーがいるんだなと思った。
たしかにすぐ横にたくさんいる人たちを見たらそうなるよな。

1週間プランを選んだ。
こっちもSIM使えそうでよかった。

外を出て、近くに食べれるとこがあったので、とりあえず休憩することにした。

僕と彼女は水500mlを1本ずつ買った。
お腹も空いてたので、ぼくはハンバーガーとポテトも食べることにした。

ひさびさにファストフード食べたけど、美味しかった!
何より塩分が効きまくってるのがよかった。
それまでは結構塩分控えめな感じだったからね。

久々のハンバーガーとポテト。めっちゃ美味かった。


そういえば思い出したけど、ケニアではM-PESAという電子決済が使えるらしい。
プリペイド方式で、事前に現金でチャージしておくものだ。
クレジットカードでも追加できるのかなと思ったけど、よくわからなかった。

M-pesaはsafaricomのSIMを入れたらもう使えるのかと思ってだけど、M-PESA用にロックを解除してもらわないといけないらしい。
もう一度、さっきSIMを買ったところに行くことにした。

そこで店の前で待っていると、何やらアジア人っぽい女性が警備員に話しかけていた。

そのあと僕たちに気づいて、
女性「日本人ですか?」
ぼくたち「はい、そうです!!日本の方ですか?」

女性「はい!日本人に会えると思ってなかった!」
ぼくたち「同じくです!笑」

おおーー!成田空港を飛び立って以来、日本語を全然聞いてなかったからすごい嬉しかった。
それも日本人らしい。
ずっとほとんどアジアの人すら見なかったから少し安心した。

その方をCさんと呼ぶことにする。
Cさんはいろんな国を旅行している人らしく、今は空港に荷物を取りに来たらしい。

あと何日かはモンバサに滞在して、次はエチオピアに行くらしい。
Cさんはかなりの国を旅しているらしく、バックパッカーみたいな荷物の量だった。

荷物が多いからと、何個かくれた。
虫除けスプレー、日焼け止め、ビーチサンダル。
どれもぼくらにとって必要なものでありがたかった。

虫除けスプレーに関しては、全く考えてなかったので、現地の蚊に刺されてしまうことを考えると、そのときに貰っといてほんとによかった。
なんでこの国に来たのとか、このあとどうする予定?みたいな話をちょっとしてた。
楽しかったなぁ。

ぼくらの次の行き先がホテルサファイアであることを伝えると、Cさんの昨日の宿泊先がそこだったみたい。
とてもいいところだと言っていた。

タクシーを呼ぼうとしてぼくたちが手間取っていると、一緒に途中まで行こうという話になった。
心強い。

タクシーの中では色んなことを教えてもらった。

モンバサは天国と呼ばれているような場所で、治安もいいこと。
旅の上級者であればあるほど疑い深くなること。
写真撮るのがダメとか普通知らないから、注意されたときにごめんなさいとか言っとけばいいこと。(僕らは、事前に写真撮ると怒られる的なコメントをネットで見てたのでビクビクしてた。)
イスラム教圏の国では、基本的に結婚してない男女が泊まるのはよくないとされているから、あんまり結婚してないことを言わないほうがいいということ。

などなど、旅の経験則からくる生の情報をもらった。
これなんだよなぁ、旅の醍醐味は、とおもった。

観光でただただ名所を見るのもありっちゃありだけど、その場でしか味わえない空気感や土地勘、文化、規範、生き方を感じて、今までの自分の価値観の一歩外に出るような感覚。
それが楽しいし、嬉しい。


タクシーの外を見ると、モンバサの景色が広がっている。
天国と呼ぶにはふさわしい、のどかさだ。
瓦礫、道路の混み具合とかはあるけど。

道路沿いにある家


窓から見る、のどかな風景

Google mapで事前に見てたあの景色と、
そもそも記録に残っていない初めて見る景色と空気感。

本で見てたとき、調べてたときに、物理的にも心情的にも遠かった場所が間近にあって、本当に来ちゃったなぁという感慨深い気持ち。

隣りにいる彼女は呆然と周りを見ている。

どんな気持ちだったのかはわからないけど、きっと喜びや嬉しさや感慨深い深さや、いろいろ混ざった気持ちを感じたんじゃないかなって見て思った。


Cさんの目的地まで着いた。
まずは行く前に料金の交渉だけしときな!という忠告だけ残して、市場に消えていった。

Cさんが降りて行った場所。とてもじゃないけど怖い。

忠告通り運転手に交渉したら、2人で800kshだって。
たぶん相場よりちょい高い。
まあでも、高すぎるわけじゃないからまあいいかということで、出発。

ホテルサファイアに来た。

程なくして、ホテルサファイアに着く。

事前に見ていた通りに、そのホテルだけ綺麗で周りは危なそうな感じ。
ホテルの入り口には警備員がいる。
高めのホテルには大体いるんだろう。

中に入ると、丁寧に案内され、謎のジュースを出してもらった。
南国っぽいフルーツの何かだろう。種入ってた。
何の処理をしてるのかわからないが、座って待っててって言われて待ってた。

何ジュースなんだろう。

フロントの横には大きなモニターがあって、サッカーのプレミアリーグが放送されてた。ちょうど試合をしてたのかな。
アーセナルが映ってて、冨安も映ってた。

フロントで映されているTV

アフリカに来てから、日本に関係があるもみるとなんか安心する。
てかここでもプレミアが見られてることが意外だった。

案内人が来て、部屋まで案内してくれた。
ドアまで行って、開けてくれる。
そういうの慣れてないからソワソワしちゃう。
チップあげたほうがいいとかあるのかもしれんけど、ようわからんからやめといた。

部屋に入る。
めっちゃ広い!
何人入れるんだというくらい広い。

ホテルの一室

窓の外を見ると、モンバサの市街が一望できる。

モンバサ市街


結構高い建物あるし、下見るとプールある。

下にプールあるよ

さすがいいホテルだ。
wifiもちゃんと繋がる。
安心して胸を撫で下ろした。

まだ16:00くらいだけど、今日はもうここから出ない。出たくない。

今は12/31。
年越しまではまだ時間がある。
だけど日本はもう22時っぽい。
インスタとかを確認すると、もう年が終わりそうな雰囲気がしている。
紅白歌合戦がXでトレンドになっている。

とりあえず、すごく健全な時間にあけおめの連絡ができそうなのが不思議だ。

ホテルはルームサービスが使えるっぽい。
もうどこも行く気になれないから、頼むことにした。

せっかくの年越しだからたくさん頼んじゃおうぜってことになった。
彼女が早く食べたそうでノリノリだったので、ルームサービスの電話を頼むことにした。
彼女に、試しに英語使って注文してみたら、と言った。

彼女が電話をかけると、相手と上手く話せてないようで、あたふたしてた。
すぐにヘルプを求められたので、電話を変わった。

ちなみに僕も英語、全然理解できないけど、2%くらいの発音理解と相手のテンションを汲み取りつつ何とか乗り切った。


彼女はいわゆる、英語の勉強が出来ないわけじゃない。

TOEICの勉強とかもしてた。
だから読み取りだったらいけるはいけるんだと思う。

だけど、ケニア訛りの発音、喋る速さ、電話の音質でリスニングの難易度を上がってる。また、彼女自身が初対面の人と話すのそんな得意じゃないから、ましてやよくわからんケニア人と喋るのもむずい。

そしてなりより、みてておもったのは、明らかに発した言葉を理解してもらえてないようだった。
カタカナ英語寄りの発音っぽかった。

こんな風に偉そうにいう僕も別に全然できてないと思う。

だけど、中2でアメリカにホームステイに行ったときに感じたことを思い出した。
あのとき、中学のテストで英語は90点以上をよく取ってたし、少しくらいは喋れるやろみたいなテンションだった。

だけど、実際には全然理解してもらえないのだ。
衝撃だったのは、めちゃくちゃ簡単な単語ですら何回言っても理解してもらえないこと。

何の単語か忘れたけど。

その経験があったから、いくら知ってても、いくら自分の耳で聞いて発音できてるつもりでも、伝わらないってことはあるんだなと思った。
だから、無意識に発音練習とか、意識して聴くようにしてたのはあるのかも知れない。
僕がみた感じ、発音が相手に認知されてる%は、彼女が10%、僕が30%くらいだった気がする。

電話が終わった後、たぶんビーフストロガノフの発音はこういう方がいいかもとかはちょっと伝えた。

彼女は落ち込んでたし、発音のことを言うとみるみる顔が険しくなってた。
この状況は知ってるし、言う前からそうなるだろうなと思ってた。

正論はつらい。
とくに上手くいかなかったときには。

僕が同じ状況だったときも、言われたら悲しいだろう。

それでもあえて伝えた。

なんておせっかいなんだろう。

僕にはそういうところがある。
これは伝えておきたいということは、なるべく言いたい。
特に大事に思ってる人には。
普段はあんまり言わない方だから、ここぞというときには言えるようにしている。

でも、言い過ぎは良くない。
追い詰めすぎたら、伝わるものも伝わらない。

相手がどれくらい受け取れるのか、受け取れなかったときはフォローを入れられるのかがすごく大事だ。
それは、彼女と付き合ってきて学んだことである。

(注釈に入ります)
ここで書いたようなことは実際には言わないですし、本当は書かないで墓場まで持っていくのがベストだとは思ってます。

それでも今、noteに書いているのは、読んでもらっている目の前の皆さん・彼女に向けて誠実に思っていたことと、それに対してどう向き合っているのかを伝えたいと思ったからです。

そして、こうした不快や批判を生むようなことのリスクをとってでもなるべくやりすぎない範囲で伝えていくことが、目の前のあなたのため、いや自分のためなのかもしれません、今後のためになると思っています。

(注釈を終えて、本編に戻ります)

発音の話をちょいしてから、どんよりとした空気が流れ続けた。

あーせっかくの旅行で、こんな遠くまで来て、年末でお祝いムードだったけど一気に崩れちゃったなぁと思った。

主観的にみて、おそらくこの辺が旅の分岐点なんだろうなというのがわかった。

そして、僕自身のそのときの気持ちは、
正直に言うと盛り下がってなんだよと言う気持ちが30%くらい、
まあそうなるよねが30%、
ここでも感じた悲しさや悔しさや絶望にちゃんと向き合って消化してもらえたら嬉しいし、きっと彼女のためになるだろうなが40%
くらいである。

関係性が厳しいとき、理不尽にぶつかってしまったとき、自分にはどうにもならないことがあるとき、受け取るのには、乗り越えるにはバランス感が大事だ。

状況がそもそも厳しいから、理性を失ってはいけない。

どうやったら好転するのか、より悪くしないためにはどうしたらいいか考える必要がある。周りをよくみて、情報を仕入れる必要がある。優先順位を確認して、どこは譲ってはいけないかを吟味する。

今回の例で言えば、
全ての優先順位は生きて日本に帰ることだ。
絶対条件、他はなんもいらないかも。

次に、旅行自体をいい思い出とすること、これがきっかけでもう思い出したくない思い出にするのは避けたい。
結構なお金とリソース結構使ってるし、今後の為にも、自分のためにも彼女のためにも。

最後に、誰かの期待に応えること、である。
友達、外からの見え方、旅先の人、などなど。

そんなものが溶けあいながら、ずらしちゃいけないところと、まあブレても耐えるところを見極める。

だけど、理性すぎてもよくない。
だって動くのは身体だし、身体を動かすのは感情だからだ。

結局、行動するという選択肢を取れなかったら、死んでいる状態と変わらなくなるため、詰む。

これは、絶対行動しなければいけないわけではないが、行動の選択肢が消える、薄くなりすぎると詰むという話である。

自分の思ってること、思ってしまうこと、突発的に思ってしまったこと、それは正しくないこともあるかもしれないけど、尊重する、なるべく尊重できるようにバランスを取る。

尊重してあげると、理性で動ける余地も出てくる。
感情を尊重するのはもちろん、自分だけでなく相手もだ。

そう、これはとてもバランス感が求められる。
その配分は具体的な状況、タイミングによって大きく変わってしまう。
大事な時間だ。

これが真理かはよくわからない。だけど大事だと思うから、理性が自分に言い聞かせる。

旅の大枠を残しつつ、自分の感情に配慮しながら、相手の感情にも配慮し、時間を過ごす。


程なくして、頼んだご飯が届いた。

空気は重いままだったが、美味しそうなご飯と腹ペコのお腹で、気分は否応にも上がった。

飯は偉大である。


とりま乾杯した。

ビールが美味え。

このビールは何も悪くないからな。

ビーフストロガノフ食べた。うますぎる。
ナンみたいなの食べた。うますぎる。
豆腐みたいなの食べた。うますぎる。
バターライスみたいなの食べた。うますぎる。
キャロットラペみたいなの食べた。うますぎる。

ルームサービスで注文した料理。うますぎる。

とにかく頼んだやつ全て美味しかった。

彼女も美味しそうに食べていた。

食べてる途中、なぜかよくわかんないけど、古堅純子の片付け動画が見たくて、YouTube一緒にみた。

ぼくは片付け苦手なんだけど、ずっとやりたいやりたいと思ってて、旅先だとモチベ上がるんだろうな。
家でゴロゴロしてるときはゲーム実況とか見てるくせに。

ご飯は2人にしては多すぎるくらい頼んだので、腹一杯食べれて満足だった。


20時ごろ。
あたりはもうすっかり暗くなっていた。


彼女のテンションはまだ下がったままだった。

外から聞こえるノリのいい音楽。

このホテルの年越しパーティーに向けてDJが盛り上げてる。

そんなアンバランスな空気で、ギャップに当てられて、どんどん彼女は沈んでいったようにも思う。

いろんな感情が渦巻いていたことだろう。

シンプルに英語が伝わらなくて悲しい。
英語ちょっとできると思ってて恥ずかしい。
電話して料理を頼むことすらできないのかと自分を責める。
悲しくなってしまってる自分が嫌だ。
せっかく楽しいムードだったのにぶち壊してしまって申し訳ない。
英語でコミュニケーション取れなかったって思うけど、もしかしたら日本ですらあんまりちゃんと人と話せてなかったかもしれない。
ダメかもしれない。

とかぐるぐると。

彼女はちょっとベッドに行くといって、そのまま布団を被ってた。
多分、泣いてたと思う。

僕は、今、何を言うのも違うな、と思った。

盛り上げようとしても、そういうテンションじゃなさそうだし、彼女の性格柄、より無理をさせてしまったと思って自分を責めちゃいそう。


だからといってローテンションのまま話したり慰めたりしても、それはそれでそもそも悲しかった気持ちが増幅しそう。

そのままモヤモヤしながら時間を過ごしたり、寝たりするのも彼女にとって悪くはないんじゃないかと思った。

もうたくさん食べたし。
消化するための時間、向き合う時間はすごく大事だ。
向き合えなくなっても耐えられなくなってもそれはそれでいい。
そのときはしょうがないから、一旦無視して、向き合える体力があるときにやればいい。
てか、無理そうだったらまた俺がフォローでも何でもできることするし。

僕はよくないこと、厳しいことが起きたときに、「よしっ、いい時間が来たぞ」と思ってしまう方だ。
あくまで20%くらいそう思うだけだけど。
向き合えたら、次同じようなことが起きても何とかなる確率が上がっていく気がしてる。

だけど、向き合えるのはシンプルに体力があるからという気もしてる。
余裕がないときには向き合えない。
向き合うことで破壊しすぎてしまったら、効果がないどころか逆効果だ。

とか言いながら、自分が考えていることが全然違って意味ない可能性だってある。何事にも絶対はない。


そんなことを考えながら、僕は1人の時間に耽る。
旅行中、1人の時間はなかなかない。だからすごく大事な時間だ。
気の赴くまま、ネットサーフィンする。
自分の気持ちも落ち着けよう。


外から聞こえる踊りたくなるような音楽。
新年が近づいている。


22:00を過ぎた頃、
下にいるDJは、どんどん周りを盛り上げていく。
ステージに上がって踊ろうぜ!と煽っているようだ。


彼女はまだ布団を被ったままだ。

部屋は7階。

このまま部屋の中で、外の音楽を聴きながら年を越すのも悪くないのかもしれない。

もう旅の目標とかはいろいろ達成してきてるし。

年越しのイベントに出るとか予定してなかったし。



でもふと思った。


なんか行ってみたくね?と。



だってこんな目の前にもう2度と来ないような場所でパーティーがあるなんておもろいやん。
行かなかったら後悔するなって思った。


外から音楽が鳴っている、このホテルの年越しイベントは下の1階で行われている。

正直参加していいのか、どうやったら参加できるのか、参加したらいくら取られるのか全くわからない。

受付のときに言われたのかもしれんけど、全く聞き取れていかなったからか、何にもわからない。

それでも、
行ってみようと思った。


彼女はまだ布団を被ったままだったけど、僕は「せっかくだから行こうぜ」と伝えた。

彼女は、「もう部屋から聞くからいいし、あんまりイベントみたいなの得意じゃないし、いいや」と言った。

彼女はかなりテンションが低そうだ。

たぶんずっとぐるぐると悩んでたんだろう。
まだ消化しきれてない様子だった。

たぶん、このままベッドで寝て消化しきるのも悪くないだろう。

全然それでもいい。
俺1人で行くのも全然いい。

だけど、ここを逃したら後悔するだろうなと思った。それは自分もそうだし、おそらく彼女も元気になったらそう思うだろうなと思った。

勝手だ。全くの勝手な感情だ。
でも、自分が嫌われてでもここは言うべきとこだよなって思った。

せっかくだから一緒に年越しイベントに行きたい。

僕はこう伝えた。
「まじで座ってるだけでもいいし、テンションを無理に上げなくていいし、何にもしようと思わなくていいから、ついてきてよ。ここにはもう来ないかもしれないし、めちゃくちゃいい機会だと思うから。何が起きてもなんとかするから。」

詳しくは覚えてないけどこんなことを言ったと思う。

正直、別に俺が特段元気だったわけでもないし、すごく自信があったわけでもない。

こうやって無理に連れ出そうとすることが、正しい場面はおそらく少ないだろう。

それでも腹は括ってた。

もう、今の状況でイベントに行って思い出を作れるのは俺しかいねえと。
そのためにできることをやろうとしたんだろうな。

彼女は渋々だけど行ってくれそうだった。

ぼく「じゃあ、もうちょい経ってから23:30くらいに行こう。年を越したら、雰囲気みてなるべく早く帰ってくるって感じで。」
彼女「うん...」


23:30。
ぼくらはホテルの年越しイベント会場へ向かった。


奥にはDJブースがあり、音楽で盛り上げている。
併設されてるプールなどがライトアップされている。ホテルの外壁にはイルミネーションのような細いライトが吊り下げられていて、華やかな雰囲気だ。

ぼーっと立っていると、スタッフの人に声をかけられる。
イベントにぜひ参加してください!ビュッフェもありますよ!的なことを言われた気がする。

ビュッフェの案内してくれそうだったのでついて行くことにした。

丁寧に一つ一つ、料理の説明をしてくれる。
一回一回、これ入りますか?と尋ねてくれる。


さっき夕食でお腹いっぱいになるほど食べたから正直全く要らなかったんだけど、全く取らないのも変だよなと思って適度に食べることにした。
流れをあんまり止めたくなかったというのもある。

彼女には「最悪俺が全部食べるから、心配しないで取っていいよ」と言った。
彼女も流れを気にするタイプだからね。

結局、結構取りすぎちゃった気がするけど、まあいいや。

いっぱいとっちゃった。


1番後ろの席に座りながら、周りを見渡す。

窓の外から聞こえてた音が、ダイレクトに聞こえている。
人は思ったよりも少ない。
けど、1人また1人と集まってくる。

DJがこっちきて踊ろうぜ!と叫んでいる。
子供達が集まってきて、楽しそうに踊っている。

あと5分くらいで年を越しそうだ。

さらに場が盛り上がってきている。


なんか踊りてぇなと思った。
DJも呼びかけてるし。

ぼくは一旦彼女を置いて、人が集まってるところに向かった。

大人も子供も、シェフですら踊ってる。
なんとなく輪の端っこにいって、身体を揺らしてた。

小学校2年生くらいの女の子たちが、珍しそう、ちょっと声かけたそうな目でこっちを見ている。あまりにも俺がカッコよかったのかな?なんてね笑

2ヶ月で辞めたダンスサークルで学んだ、アップとダウンを思い出し、リズムに身体を合わせていった。

シェフたちがぼくの存在に気づく。
それをみたぼくは、シェフたちの真似をする。
バイブスがかち合う。
それまで友達だったかのように息を合わせて踊る。笑い合う。

DJが盛り上げてくれている

言葉なんていらない。人種の違いなんて関係ない。
俺らは音楽と踊りで通じ合ってた。

別に上手くなんかなくていい。
ただ気持ちいいように身体を揺らして、リズムで語り合う。
遠く離れた異世界の地で、異世界の人と初めて心が通じたなと思った瞬間だった。

それまで彼らは全くの異世界の人、ぼくらは信用ならないやつらであり、お客さんだった。
お互い遠いもの同士。だけど、このときは確実に、俺らは仲間だった。
ぼくとシェフは固い握手を交わした。

踊りが一通り終わると、年末までのカウントダウンが始まる。

DJ「30からカウント始めるよ!」
DJ「30,29,28,27,26…」
花火「パンパンパン!!」
人々「Happy New Year!!!」

ホテルの上空から花火が上がる

みんながみんな、ハッピーニューイヤーとか、フー!とか言い合う。カウントダウンが26のところで花火が上がってしまうガバガバさは、流石アフリカだなと思って笑ってしまった。ふふっ。

ようやく年を越えた。
ぼくと彼女は、年越しを称え合った。

彼女「花火見れてよかった。ありがと。」
ぼく「来れてよかった。」

花火は何分間か上がり続ける。
ずっと誰かしら声を上げてる。

少し経つと、花火も終わり、周辺も落ち着いてきた。

もう疲れたし、早めに部屋に戻った。

帰りがけに何人もの人とすれ違った。
Happy New Yearと言われる。
ぼくらもHappy New Yearと返す。
おそらくそれだけでいいんだ、会話なんて。
冷めやらぬ熱気のまま部屋に戻る。


いい年越しだったんじゃないか、なんてことを2人で話しながら、眠りについた…。



『旅も海外も慣れてないけど、アフリカ行ってきた⑦〜モンバサ2日目・実行編〜』 へと続く


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