【学会誌】レーザクリーニングとSDGs
こんにちは。
『表面技術』2023年7月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事のタイトルは「環境にやさしいレーザクリーニングとSDGsへの寄与」で著者は東成エレクトロビーム㈱の荒井さんです。
内容
レーザーを用いた表面洗浄技術の基本プロセスとSDGsとの関わりについて解説されています。
レーザクリーニングはその名の通り、金属等の表面に付着した汚れをレーザー照射エネルギーで除去する技術です。
著者の東成エレクトロビームのHPでは、鉄に対してレーザクリーニングを適用した例を挙げています。
レーザクリーニングの原理
レーザーを用いた洗浄は、レーザ光を汚れが吸収することで起こる「汚れの蒸散」と「レーザー誘起プラズマ発生に伴う衝撃圧力による汚れの剥離」の2つの現象を利用しています。
(特に、汚れが透明な樹脂等の場合は後者の現象が重要な役割を果たします)
ここで、汚れだけがレーザ光を吸収して除去されるのは良いのですが、レーザーのエネルギーが強すぎると汚れの下の基材でも吸収が起こり、”レーザー加工”となってしまします。(正確には、”洗浄”の場合も基材はレーザ光をわずかに吸収していますが、”加工”まで至らない状態です)
なので、基材は加工されないけど汚れだけ除去されるようにレーザーのエネルギーを制御する必要があります。
また、この理屈でいうと、基材が樹脂材料だったりすると、汚れと同じもしくはそれ以下のエネルギーで加工されてしまう可能性があるので、レーザクリーニングを適用するのは難しいのかもしれません。精密に制御できれば不可能ではないレベルでしょうか。
金属やセラミック等の基材表面の洗浄に使用できると思いますが、具体的にはどんなプロセスで使用されるのでしょうか。レジストや接着剤塗布工程の治具の洗浄には使えそうです。ネットを調べると、文化財の洗浄や耐薬品性の低い素材の洗浄に使用する例が見られました。
SDGsへの寄与
SDGsの17のゴールのうち、レーザクリーニングが寄与できるものとして、以下の3つをあげています。
産業と技術革新の基板をつくろう:レーザクリーニングでは産業廃棄物がほとんで発生しないため持続可能な産業促進とイノベーションに寄与
つくる責任、つかう責任:電力以外の資源を消費し続けることがないため持続可能な消費生産形態に寄与(対して、ブラスト洗浄や薬品洗浄は消耗物資が必要)
働きがいも経済成長も:自動化することが出来るので作業者はより働きがいのある仕事に取り組むことができる
今日は以上です。
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