【学会誌】パワーモジュール用の放熱シート
こんにちは。
『表面技術』2023年6月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事は2つです。
「高放熱高耐熱絶縁接着シート」㈱ADEKAの音田さん他2名
「SiC、GaN系パワー半導体用の高性能放熱シート」㈱昭和丸筒の山本さん
内容が似ているのと、文量が少ないので、まとめてメモしておきたいと思います。
内容
どちらの記事もパワー半導体の放熱に関連する材料の解説ですが、使われ方が少し違います。
㈱ADEKAの方は、パワーモジュール基板に用いられ接着シートです。一般的には、パワーモジュールの基板にはセラミックが用いられますが、近年の動向として金属基板上に絶縁シートを貼った基板が用いられ始めているようです。こちらのシートは樹脂系の材料です。
㈱昭和丸筒の方は、放熱に機能特化した材料で、グラフファイトの積層材トから作られる放熱シートです。冷却部材とデバイス間の熱伝導を補助する役割をしています。
ポイント
〈㈱ADEKAの方〉
材料のTgが高いほど耐熱性が高い
多官能性のエポキシ樹脂を用いる
剛直な環状構造を用いる
Bruggemanの式を用いると、樹脂材料の熱伝導率を向上するためには、
高熱伝導のフィラーを使用する
フィラーの充填率を上げる
ベースレジンの熱伝導率をあげる
成型時のボイドは熱伝導率を下げる
ボイドが発生しないような溶融粘度に調整する必要がある
フィラーの最密充填が重要になる
長鎖アルキル基をもつシランカップリング剤を用いると溶融粘度を低減できる
〈㈱昭和丸筒の方〉
グラファイトシートの積層材料を断面方向にスライスすることで、厚み方向に高い熱伝導率を持つシート材料を開発(Zebro)
柔らかい接着剤を用いることで変形を吸収
従来のグリス系やシリコーン系の材料は、塗布膜厚を薄くしたり、空気だまり除去の工程が必要だったが、Zebroはそれら無しで使用可能
今日は以上です。
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