【論文】酸化スズ膜を電解めっきのシード層として使う
こんにちは。
『表面技術』2023年3月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事のタイトルは「ガラス上に作成した酸化スズ膜の熱処理とパラジウムレス電気銅めっき」で著者は長野県工業技術総合センターの永谷さんです。
内容
タイトルの「パラジウムレス電解めっき」だけ見ると新技術かと思いましたが、どちらかというとガラス上への”無電解めっきレス”の電解めっきのようです。
一般的には不導体上に電解めっきをするためには無電解めっきで電気の流れるシード層を形成します。
この論文では、無電解めっきの代わりに酸化スズ膜をシード層に用いるという内容のようです。
もともと酸化スズ膜は無電解めっきの触媒であるパラジウムの吸着性を上げるために検討していたようなので、”パラジウムレス”となったのかもしれません。
ポイント
酸化スズ膜はゾルゲル法によって成膜
酸化スズ膜の焼結温度によって、電解めっきの析出性が変化する
焼結温度が500℃であれば、シート抵抗は高いものの、電解めっきは十分析出する
焼結温度~400℃以下ではシート抵抗は1桁大きく、電解めっきの析出は安定しない
速報論文は…
「速報論文」の多くは単発の実験結果のレポートくらいの内容になってしまっているように感じてます。
これくらいの内容のものも知りたいのは知りたいですが、偏りが感じられるのが残念ですね。
やるなら色々な分野の研究者の、細かい実験結果を集めて、将来的にはデータベース化したり、インフォマティクスに応用できる出来るようにしてもらえないかと思いました。
今日は以上です。