【学会誌】ゼオライト触媒とカーボンニュートラル
こんにちは。
『表面技術』2023年12月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったりやポイントだと思った部分をメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事のタイトルは「ゼオライト触媒のカーボンニュートラル化への貢献」で著者鳥取大学の片田さんです。
内容
化学工学で用いられるゼオライト触媒について、カーボンニュートラルの視点からどのように用いられているかを解説されています。
ゼオライト触媒の機能に関しては、最低限の基礎知識も説明されているので、大枠ではありますがメカニズムについては素人でも理解できるような内容になっています。
ポイント・メモ
H+を与えるものをブレンステッド酸、電子を受け取るものをルイス酸と呼ぶ
表面い酸として働く場所(酸点)をもつ個体は固体酸と呼ばれる
ゼオライトの骨格構造は「MFI」のようにFramework Type Codeで表示される
ゼオライトの骨格は配位数4のSiと配位数2のOから構成され、酸化数+4のSiの一部が酸化数+3のAlに置き換わっているので負電荷が発生し、Alおよび直接結合する4つのO原子によって負電荷が共有される
この電荷を補償すため、その近傍にはNa+等の対イオン(対カチオン)が存在し、Al近傍の2つのOに静電引力で結合する。
対イオンは交換可能なので他のイオンと入れ替えることで触媒能を変化させることが出来る
石油精製では重油に相当する重質炭化水素を流動接触分解(FCC)で小さな分子に分解し、ガソリン・ナフサ総統の炭化水素の含有量を増やすことが行われる
触媒にはFAU型ゼオライトの一種である超安定Yゼオライトが用いられる
現在はガソリン・ナフサの約50%がFCCで作られている
工業有機化学プロセスは有害な廃液を副生することがデメリット
効率を上げることで有害な廃液を減らせる
MTH反応(メタノールの炭素質化)においては、MFI型ゼオライトを触媒に用いると、通常の固体酸を触媒にするよりも、長く活性でいられる
固体酸の場合は生成された炭素質に覆われるため失活するが、ゼオライトは表面積が大きいため失活が遅いのかもしれない(メモ)
ゼオライトを用いた手法は、実証段階ではあるものの、現状では原油由来の方が安いため商業生産には至っていない
リサイクルされるプラスチックの回収と処理において、PO(ポリオレフィン)の占有率が大きいが、POは小さい炭化水素に分解する必要がある
触媒として固体酸を用いることに比べ、H型ゼオライトを触媒とすると生成物の分子量分布が狭くなる。上手く利用すると、ナフサおよび既往のFCCでナフサに転換できる成分を優先的に作る、等のプロセスも可能。
太陽光等の再生可能エネルギーを有効活用するには、貯蔵・運搬が必要であり、そのためにエネルギーを水素に変換することが必要になる。
再生可能エネルギーの生産地で水素にする場合と、消費地で水素に変換する場合があり、どちらの場合もゼオライトを触媒とするプロセスを用いる必要がある。
触媒能を上手く設計できれば、CO2から直接ガソリンを生成するプロセスも可能と言われている。
今日は以上です。