【学会誌】ペロブスカイト太陽電池の界面エンジニアリング

こんにちは。
『表面技術』2023年12月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったりやポイントだと思った部分をメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「界面エンジニアリングによるペロブスカイト太陽電池の高効率化」で著者は電気通信大学の李さんと沈さんです。

内容

ペロブスカイト太陽電池の動作原理と作製方法について説明し、界面の欠陥がどのように性能に影響するかを解説しています。
また、性能向上のための研究されている改善方法についても解説されています。

ポイント

  • ペロブスカイト太陽電池は安定性が課題となり実用化が難しい

  • ペロブスカイト光吸収層の結晶性がデバイスの安定性と変換効率に大きな影響を与える

    • 結晶性はペロブスカイト薄膜の作製方法に大きく依存する

  • ペロブスカイト薄膜の成膜方法は大きく分けて4つ

    1. 1ステップスピンコート法

    2. 2ステップスピンコート法

      • 1ステップスピンコート法に比べ、薄膜の表面モフォロジーをより適切に制御できる

    3. 2源蒸着法(真空蒸着法)

      • 得られる材料の純度を向上させ、溶剤汚染を低減できる

      • 膜の厚さと均一性を制御できる

      • 様々な基板上に成膜できる

    4. 溶液蒸着支援法

      • マイクロスケールまでの粒径、全面被覆、小さな表面粗さを備えた結晶性のペロブスカイト薄膜が報告されている

  • 照射された光を吸収することで、ペロブスカイト層に自由電子と正孔が生成される。そのあと、電子は電子輸送層へ、正孔は正孔輸送層へ移動し、それぞれの電極から外部回路へ電流を生成する

  • デバイスをモジュール化すると、界面欠陥による問題が顕著になる

  • 適切なバンドベンディング、良好な接触、低い欠陥密度を備えた界面の形成が必須になる

  • 不連続配向の結晶構造(粒界)は、表面欠陥の主な原因

  • ペロブスカイト材料のバルク相、表面、粒界の欠陥を不働態かすることが、高効率で安定したペロブスカイト太陽電池の実用化のカギとなる

  • 薄膜作製時に添加剤を用いることで、ペロブスカイト吸収層の表面で欠陥を不働態化することができる

  • 界面分子層をどう縫うしてETL(電子輸送層)の界面エネルギー順位と仕事関数を調整し、欠陥を不働態化する

  • HTL(正孔輸送層)/ペロブスカイト界面には欠陥が蓄積し、水や酸素の分子がこれらの欠陥に捕捉されやすくなり、ペロブスカイト太陽電池の劣化や長期安定性の低下につながる

  • 界面欠陥を不働態化し、薄膜の疎水性を改善し、HTL/ペロブスカイト界面のエネルギー準位をマッチングさせることが重要

  • 電極/電荷輸送層の界面に金属酸化物、ポリマー、フラーレン輸送体などの界面修飾材料を導入することで、変換効率と安定性がこうじょうする

    • 電極と電荷輸送層の界面でエネルギー準位マッチングとHTLと金属電極のオーミック接触が改善される

    • 電気化学的腐食やペロブスカイトと電極間の反応もある程度抑制される

今日は以上です。

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