【学会誌】オゾンで藻の発生防止
こんにちは。
『表面技術』2023年7月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事のタイトルは「オゾン添加によるめっき洗浄水の藻の発生防止」で著者はオーエム産業の山内さんと西村さんです。
内容
めっき工程では多量の水を使うので、水の管理が非常に大切です。
めっきで使用する薬液には有機物も含まれているので、油断をすると、配管等の循環系でバクテリアや藻類が発生してしまします。
水道水や塩素系薬剤を使用できる場合は、バクテリア等の発生をある程度抑制することが出来ますが、実際にはイオン交換水や純水を使用する場合も多いと思うので、バクテリア等の対策はとても重要になります。
この記事では、めっきの水洗水にオゾンを注入し、バクテリアを殺菌することで藻の発生を抑制するシステムについて解説されています。
バクテリアや藻の発生過程
この記事によれば、藻の発生はバクテリアが原因のようです。
壁や配管の表面に付着したバクテリアが水中の栄養(炭素源、窒素源)で増殖する(一定の誘導期を経て指数的に増殖)
バクテリアが多糖類等の粘着物質を分泌する
粘着物質によって、バクテリアに加え、藻類や貝類の付着・増殖する
ということで、バクテリアが付着した初期段階で、如何に殺菌するかが重要になるそうです。
オゾンによるバクテリアの殺菌
オゾンでバクテリア(大腸菌、レジオネラ属菌)を殺菌することが出来ることは従来から分かっているようです。
殺菌効果は、殺菌剤濃度C[ppm]と反応時間t[min]の積Ctで表現されます。
つまり、オゾンが多いほど短い時間で効果を出せるということです。
人体への影響が少ない範囲で、出来るだけオゾン濃度をあげたほうが良さそうです。
オゾン濃度の制御するためのモデル式
この記事で重要なポイントは、水の汚れ具合に関わるCOD値と液中の溶存オゾン濃度の変化をモデル式として表現した点だと思います。
これにより、観測時の水質によってオゾン濃度を最適化することが可能で、オゾンによる殺菌システムを効率的に利用することが出来るようになっています。
モデル式は、観測時点のCOD濃度・オゾン濃度、オゾン供給量、循環系の流量、液量がパラメータとして使用されています。
また、オゾン自身の分解速度係数、バクテリア等を汚損物質との反応係数を実験的に求めて使用されています。
詳しい式はWeb上で無料公開されている文献では見つけられませんでしたが、半年後にはこの記事も公開されると思うので、ここでは記載しません(長いので…)
参考:COD値について
https://www.skr.mlit.go.jp/yongi/duties/quality/mizupatrol/kiso/bod/bod-cod.html
要素技術はモデル式を作るところまでやりたい
今回の記事を読んで、要素技術開発における重要なポイントはモデル式を構築することだな、と思いました。
モデル式まで落とし込めていないと、現場ではトライ&エラーを延々と繰り返していくしかないからです。
この記事の場合は、モデル式を構築した後、実測値との比較で検証し、実運用上も問題がないことまで検証されているようです。
対象とする現象によって、モデル式の作りやすさは変わってくると思いますが、要素技術を開発するなら目指していきたいと思いました。
今日は以上です。
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