【学会誌】スラリーレスCMPによるSiC研磨
こんにちは。
表面技術協会の学会誌である『表面技術』2022年11月号は電解研磨などの研磨技術に関する特集が掲載されています。
ポイントと気になった内容をメモしておきたいと思います。
今回の記事のタイトルは『スラリーレス電気化学機械研磨によるSiCのダメージフリー研磨』で、著者は大阪大学の山村さんという方です。
背景・理由付け
一般的に、SiCのCMP研磨は研磨レートが遅いため、生産性が低く、スラリーの購入および廃棄コストが高いため、製造コストが大きくなりやすい
ポイント
電解液によるSiCの陽極酸化とCMP(固定砥粒)を組み合わせること(Electrochemical Mechanical Polishing: ECMP)で、スラリーレスの高い研磨レートと低ダメージの加工を実現した
SiCの表面硬度は、陽極酸化で1/10に低下するため、砥粒による除去速度が高い
固定砥粒を用いることで、スラリーの代わりに電解液で研磨する、スラリーレスCMPが可能
電流密度と砥粒の硬さを調整した3ステップECMPプロセスによって原子スケールでの高平滑性を確認した
ECMP
山村先生の研究室では、プラズマや電気化学現象を応用した製造プロセスの研究をしているようです。
今回の記事にあるスラリーレスCMPは研究室HPに掲載されていました。
解説を読むとまだ実用化までは至っていないような印象を受けましたが、4インチウェハの論文も投稿されているらしいので、QCDがマッチする会社が出てくれば利用されると感じました。
理屈としてはとても合理的だと感じましたがどんな課題があるんでしょうか?
設備投資を含めると結局コストが合わないとかありそうですが、上記HPを信じるならそんなことはなさそうです。
独自技術すぎて広がっていないだけなら、1つ実績が出来れば直ぐに広がりそうな気がします。
今日は以上です。