【学会誌】自動車向け水性塗料技術
こんにちは。
『表面技術』2023年1月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったりやポイントだと思った部分をメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事のタイトルは「環境対応に向けた水性塗料の技術動向」で著者は関西ペイント㈱の西澤さんです。
内容
自動車向けの水性塗料に関する解説です。
水性塗料の基本的な特徴を説明した後、関西ペイントの開発動向に関して紹介してます。
記事によると、自動車向けの塗装は4段階になっていますが、その中でも「中塗り」「カラーベース」で主に水性塗料が使われているようです。
ポイントメモ
水性塗料に求められるのは揮発性有機化合物(VOC)やCO2の削減(溶媒型塗料の特性を出来るだけ維持したまま改善する)
現状では、溶剤型と水性が混在して使用されている
日本では2000年第から水性化が大きく進んだ
溶剤型と水性の大きな違いは基体樹脂の形態にある
溶剤型で使われる溶剤系樹脂は水に溶解させるため酸価を高く、粒子径を小さくする。そのため、耐水性や耐湿性が低い傾向
水性型で使われる分散系樹脂は少量の界面活性剤を使用して粒子径を調整し、水中でも安定した状態を得られ、水の負荷に対する塗膜性能が向上する
基体樹脂以外はおおむね同じ材質を使用する(ただし、表面処理は調整する)
水性(分散系樹脂)の課題
水に溶解していないので、表面乾きによる皮張りや樹脂凝集が問題になりやすい
界面活性剤を使用するため泡が残り不具合の原因になる
粘度不足によるタレ
溶剤型に比べ水性塗料は温湿度ウィンドウが小さい
工程毎に必要な粘度を得るために高擬塑性が必要になる
塗料にかかるせん断力(シェアレート)が工程毎に異なる
増粘剤による樹脂の連鎖状態のコントロールし、塗料粘度の安定性に配慮した設計が必要
例えば、疎水会合型増粘剤を使用する。ネットワーク構造を形成するが、高せん断力で出来れることで、高シェアレート時には大きく粘度が下がる
参考
表面乾きによる皮張り
塗着時のワキ