【学会誌】屋外設置型産業用パワーコンディショナーの信頼性向上技術
こんにちは。
『表面技術』2023年6月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事のタイトルは「屋外設置型産業向けパワーエレクトロニクス製品と表面技術」で著者は富士電機の佐藤さんと藤井さんです。
内容
屋外設置型のパワーコンディショナーという製品の放熱対策やそれに関連した表面処理技術に関する解説記事です。
パワーコンディショナー(PCS)は太陽光発電や蓄電池からの直流電流を交流に変換し、家庭用の電気機器などで利用できるようにするために用いられるようです。
屋外のような粉塵や雨風に晒される環境で、それらの侵入を防ぎつつ、動作時の発熱を如何に冷却(放熱)するか、というのが大きな課題です。
放熱(冷却)対策の方向性
対策の方向性は大きく分けて二つです。
防塵・防水の気密構造と両立できる放熱機構を用いる
発熱時のフレッティング摩耗に耐えられる材料および表面処理を選択する
ポイント
〈放熱と防塵・防水の両立〉
気密エリアと外気エリアに分けて、気密エリア内に制御基板などの精密機器を設置
気密エリアで発生する熱は熱交換器で放熱する
IGBT等のヒートシンクのみ外気エリアに露出させて、ファンを用いて冷却する
筐体の表面処理はエッジ部の塗膜が薄くならないように、複数回重ね塗りをする(もしくは、エッジが薄くならない塗膜を開発する)
〈フレッティング摩耗対策〉
フレッティング摩耗は、接触通電の接点部分が熱膨張差による摺動で摩耗する現象です。
PCSではバスバーを固定する際に、メンテナンスを考慮して抜き差しできるクリップ形状をしたバネで固定することがあるようですが、その部分でフレッティング摩耗が発生しやすくなっています。バネ材料とバスバー材料の間での熱膨張差で相対滑りが起り、摩耗が発生し、その部分が腐食していきます。
相対滑り量を減らすことでフレッティング摩耗を低減できる
面圧が大きいほど摩耗が少ないことを摺動試験で検証
摩耗粉が研磨剤のように働くため、面圧が低いと摩耗が大きい
面圧が高いと摩耗粉が除去されるため、摩耗が少なくなる
今日は以上です。