【学会誌】亜臨界水を用いた乳化技術
こんにちは。
表面技術協会の学会誌である『表面技術』2022年10月号は表面技術と水に関する特集が掲載されています。
今回の記事のタイトルは『亜臨界水乳化技術と水性ポリマー乳化物』で、著者はサイデン化学㈱の金台さんという方です。
サイデン化学は接着剤や塗料用の材料を扱う会社のようです。
その中で乳化技術を強みにしているようですね。
気になった内容
亜臨界水というものを始めて知ったということもあるので、メモ的に箇条書きで気になった内容を書いておきたいと思います。
水は圧力と温度を上げていくと、気体と固体の区別がなくなる超臨界水になる(374℃、22MPa付近が臨界点)。
臨界点を超えると水の比誘電率が急激に小さくなる。
乳化とは水と油を混ぜる技術。どちらかを微粒子化して分散させる状態。
油微粒子が水に分散している状態:O/W型
水微粒子が油に分散している状態:W/O型
一般的には「水に溶ける」現象は水分子の極性に基づく誘電率(静電的な作用)が大きな役割を持っている。(比誘電率が指標になる)
油の様に分子内に極性がないものは分離してしまう。
超臨界水は比誘電率が低くなり、油と溶けるようになる
超臨界水乳化技術とは、超臨界水に油を溶かし、乳化剤を混ぜながら冷やすことで油分を析出させ、微粒子化することで乳化する技術
超臨界水乳化技術の課題は、高温高圧に耐えられない物質に適用できないこと。
臨界点以下で乳化する亜臨界水乳化技術であれば、適用できる材料が広がる。
水性樹脂エマルジョンに亜臨界水乳化技術を適用して、微粒子径の分布を評価している
圧力一定(22MPa)、温度280~440℃
7種類の有機材料で評価
全体の傾向として、温度が低くなるにつれて(臨界点から離れるにつれて)微粒子径が大きくなる傾向にある
ただし、臨界点温度以下にも極小点があり、微粒子径を小さくするだけであれば、亜臨界水を用いた乳化技術でも十分利用できる
感想
超臨界水のことは何となく聞いたことがあったが、活用例を知ることができました。
臨界点付近で起こる現象であるとはいえ、小学校の時にやったミョウバンの結晶化のような現象と似ている気がします。
超臨界水の利用自体にハードルはあるものの、このような物性の変化を上手く利用した技術を開発できるような人になりたいですね。
超臨界水というカッコイイものを使うことは少ないが、考え方は普段の仕事でもつかえる気がしました。
今日は以上です。