狛江のマイクロブルワリー籠屋の出来立てビール3種。 1000BeerChallenge(189-191/1000)
■マイクロブルワリーとブルワリーパブ
クラフトビールがブームと言われるようになってから、さまざまな醸造所が生まれています。昔の地ビールにルーツを持つところや、DHCのような異業種からの参入、ビールメーカーや他の醸造所から独立した人、などなど。
そしてごく小規模な醸造所も多くなってきました。小さなところだと1人だけで製造しているような醸造所もあります。その小ささから、マイクロブルワリーとも呼ばれます。
小規模だから瓶や缶に詰めて流通させることなく、醸造所で売る分だけをつくっているというところも出てきました。ブルワリーパブなどと呼ばれます。比較的以前からあると思われる、浅草のカンピオンエールの開業が2013年ということなので、一般的になってきたのはその後くらいからでしょう。
料理を仕込むようにビールを仕込んで、つくった場所で売る、飲む。地元に根付く楽しい商売になりそうです。もちろん生産量を増やして流通させることもできるわけですから、拡張性もある。
そしてもしかしたら、利益率も高いのかもしれません。クラフトビールは単価が高いものの、仕入れて売る場合には原価も高そうです。お店があるなら自分でつくって売った方が儲かるよね、という話になるのかも。前述のカンピオンエールや、同じくブルワリーパブを複数展開していたビール工房というところを、比較的大きな卸も小売も輸入もする酒屋さんが買収したのも、将来性を感じたからかもしれません。
■狛江のマイクロブルワリー籠屋
狛江市の籠屋ブルワリーは、老舗の酒屋さんが自分でビールもつくっちゃおうということで醸造所をはじめたようです。大元は名前の通り籠をつくってこともあるそうで、クラフトマンシップ的なものがずっと根付いていたのかもしれません。
駅からは結構遠い、住宅地にあるお店。店内だけでなく、テラスでも飲めるので感染症が気になる人も大丈夫。さらに、グラウラーを持ってビールを買いにくる人がたくさんいました。コロナ騒ぎでテイクアウトが増えたというのはあるでしょうけれど、こんなに定着してるんだなと、地域密着感があって良い雰囲気でした。
■[beer189] かすみ桜 Hazy IPA
ホップたっぷりのヘイジーIPAです。
■ビール情報
名称:かすみ桜 Hazy IPA
メーカー:籠屋ブルワリー
産地:狛江
タイプ:Hazy IPA
アルコール度数:8%
価格:800円(300ml)
入手場所:籠屋ブルワリー
■味わいメモ
外観:濁りのある明るい麦わら色。
アロマ:フローラル。柑橘感。トロピカルな甘さ。酵母っぽさ。
味わい:フローラル。柑橘系の酸味。トロピカルな熟成香。酵母感。
ボディ:フルボディ。
黄色っぽい綺麗な色です。濁りもあって濃く感じます。
香りはホップの華やかさたっぷり。柑橘感もあり、トロピカルな熟成香的な甘い印象もあり、濁りや色もあいまって、ミックスジュースのようなイメージになりました。
味わいも概ね香りから期待される通りで、華やかなホップ感と柑橘系の酸味が賑やか。そしてトロピカルな甘さと酵母感がこってりさを加えます。苦味は強くなく、セゾンタイプに近いような印象も受けました。
こういう香り豊かなタイプは出来立ての方がやっぱり美味しいのかなあ。
好き度:★★★★
■[beer190] 醇 旨味セッションipa
続いて華やかそうなセッションIPAを。
■ビール情報
名称:醇 旨味セッションipa
メーカー:籠屋ブルワリー
産地:狛江
タイプ:SESSION IPA
アルコール度数:5%
価格:750円(300ml)
入手場所:籠屋ブルワリー
■味わいメモ
外観:濃い金色。
アロマ:フローラル。麦の甘さ。ホップの苦味。
味わい:フローラル。柑橘系の酸味。ホップの苦味。
ボディ:ミディアムボディ。
やや濃いけれど爽やかな印象の金色です。香りも華やかなホップ感があり、落ち着いた麦の甘さがあるような。比較的穏やかかなというところ。
味わいもホップの華やかさ中心ながら、柑橘感が出てきます。酸味っぽさがあるからさらに爽やかになる感覚。苦味は強くはないんだけれど、舌の中心に集中的にくるような不思議な感じです。全体的軽やかで、後味に麦の香ばしさが残るのがまた面白い。
好き度:★★★★
■[beer191] 麦冠
木樽仕込み、焼酎用の麹をつかったという変化球。想像つかないから飲んでみよう、ということで。
■ビール情報
名称:麦冠
メーカー:籠屋ブルワリー
産地:狛江
タイプ:ペールエール
アルコール度数:5%
価格:600円(300ml)
入手場所:籠屋ブルワリー
■味わいメモ
外観:淡い茶色。
アロマ:麦の甘さ。酵母感?麹感?
味わい:酸味。麦の甘さ、香ばしさ。樽っぽさ。
ボディ:ミディアムボディ。
個性的なつくり方だけれど、タイプとしてはペールエールになるらしく、色も淡い茶色です。香りは独特。麦っぽい感じはわかるものの、酵母っぽさ、ではないなあ、これが麹なのかなあ、という感じ。
味わいも独特でした。日本酒っぽい酸味があり、なかなか強い。プラム風の香りもあるので、酸味一辺倒ではないものの、インパクトありました。ホップっぽさはあまりなく、ボディでは麦感が出てきます。そして木樽熟成っぽいというか、タンニン風の香りもついてくるような。
あまり味わったことのない方向性なもんで、把握するのに戸惑うけれど、最後に後味で各要素がもう一度おさらい的に穏やかに出てくるのが面白い。
好き度:★★★
■手作り感ある醸造所
籠屋ブルワリーは地元密着感とともに、ビールには手作り感があったような印象です。すごくバランスがいいかと言われるとそうでもないかもしれませんが、こういうのができたのね、というようなハンドメイド感。元々の酒屋さんでは日本酒も多く扱ってるからでしょうか、どことなく酒っぽさもありました。楽しい醸造所。