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キリンがクラフトビールをつくったら。グランドキリンシリーズ 1000BeerChallenge(87-89/1000)

■大手も参入するクラフトビール市場

日本のビール市場はだんだん縮小しているようです。人口も減っているし、世代が若くなるに従ってお酒を飲まない人も増えている。お酒を飲む人でも、いわゆるサラリーマン的な「とりあえずビール」の呪縛から自由になっていることも多い。そんなこんなでビール消費量は減っている。
ただ、そんなビール市場の中でも、クラフトビールは売り上げが伸びています。すっかりブームに近い雰囲気で、ちょっとしたスーパーでも、町の酒屋さんでも、見かけるようになりました。

お酒飲む量が減ったから、たまに家で1本飲むなら良いやつを、という趣向の変化があったのかもしれないとか、
スタバなどの普及で1杯500円のテイクアウトが普通の感覚になり、それに合わせてビールの単価が上がったのかもしれないとか、
原因について思いつく仮説はあるのですが。そのうちきちんと考えてみたいけれど、本当のところはわかりません。

ともあれ、クラフトビールが受けているとなれば、これまで少数品種大量生産で攻めていた大手ビール会社も無視できなくなります。そして参入してきました。


■キリンのクラフトビール

もともとクラフトビールというものは、小さな醸造所がこだわってつくったビールと説明されます。なので、大手メーカーがつくるクラフトビールというのは矛盾してないか、とどうしても思えてしまう。
でも飲んでみなければ。
GRAND KIRINシリーズ。IPL、IPA、WHITEの3種がレギュラーのようです。


■[beer087] グランドキリンIPL

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IPAはクラフトビールでは定番とも言えるスタイルです。ホップをたくさん使って味が濃い、っていうクラフトビールっぽいイメージもつくりやすいですし。
でもこれはIPL。インディアン・ペール・ラガーです。あんまり聞かないタイプ。エールではなくラガーということは、味わいは比較的軽めになるはず。


■ビール情報

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名称:グランドキリンIPL
メーカー:キリンビール
産地:日本
タイプ:IPL
アルコール度数:6%
価格:300円くらい
入手場所:スーパー


■味わいメモ

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外観:淡い茶色。
アロマ:フローラル感。熟成香。
味わい:フローラル感。熟成香。ホップの苦味。酵母感。
ボディ:ミディアムボディ。

薄めの茶色。色的にはペールエールと変わらない雰囲気です。ただ、香りはラガーのせいか、少し軽めに感じました。華やかで熟成香もあるものの、淡いっていう印象。
味わいも全体的に軽めではあるけれど、華やかなホップの感じと、バナナみたいなフルーティーな熟成香がふわっと登ります。華やかさと甘さ主体で楽しい。そのあとホップの苦味も軽めにやってきて、最後に渋みも残る。意外とって言っちゃ悪いけど、思ってたより美味しかったです。

好き度:★★★


■[beer088] グランドキリンIPA

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クラフトビールといえば濃い味。ホップたっぷり。つまりIPA。みたいな雰囲気をなんとなく感じたりします。実際には、酵母感をいかすのを基本にしてる醸造所とか、IPAに限らずホップをいろいろするのが好きな醸造所とかもたくさんあります。ホワイトビールをつくってる醸造所も意外と多い。
でも、僕みたいな初心者はIPAって聞くと、じゃあまずこれ飲んでみよって気分になるものです。
なので、市場規模や売り込み方を意識しなければならない大手メーカーならばIPAは外せないはず。というのがほんとかどうかはわかりませんが、グランドキリンシリーズにもちゃんとIPAはありました。


■ビール情報

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名称:グランドキリンIPA
メーカー:キリンビール
産地:日本
タイプ:IPA
アルコール度数:5.5%
価格:300円くらい
入手場所:スーパー


■味わいメモ

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外観:淡い茶色。
アロマ:フローラル感。熟成香。ホップの苦味。
味わい:フローラル感。熟成香。ホップの苦味。スパイシー。
ボディ:ミディアムボディ。

薄めの茶色。どちらかというとペールエールって感じでしょうか。でも香りはIPAらしくホップ感十分。感の緑のホップの印象にひっぱられてるのか、なんとなく初夏っぽいような香りに感じます。ホップを凝縮させて船旅に出るんだっていう、なんというか実務的なIPAとは違う印象。
味わいも同じく、IPAにしてはクリアで爽やかな感覚。甘くて華やか。意外とスパイシー、と言うのかわからないのですが、炭酸が強いような感じがあります。ボディで熟成香がふわっときて、苦味もあるものの最後まで強くはならない。

好き度:★★★

キリンだけにクラフトビールといえどもあまりニッチにはならず、飲みやすさは残したぞってところでしょうか。じゃあクラフトビールって言う必要あるか、という気もしてしまいますが。


■[beer089] グランドキリンWHITE ALE

日本で一般的なビールは、いわゆるピルスナーとかラガーとか、軽めのビールというイメージがあります。それに対してクラフトビールは、濃い味やちょっと面白い味を提案するような位置付け。
その中で、ホワイトエールをつくるクラフトビールメーカーが意外と多いという印象です。
ホワイトエールは、とりあえずエールなので日本では少ないですし、小麦を使ったりと手間もかかっているのでクラフト感があるんでしょうか。ビールの苦味が嫌いという人が増えたことから、苦くないホワイトビールを売り込みたいという目論見もあるのかもしれません。

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白ワインのようなホワイトエールって書いてある。ホワイトエールによくある酵母感とはちょっとイメージが違う気がします。


■ビール情報

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名称:グランドキリンWHITE ALE
メーカー:キリンビール
産地:日本
タイプ:ホワイトエール
アルコール度数:5.5%
価格:300円くらい
入手場所:スーパー


■味わいメモ

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外観:くすみのある金色。
アロマ:スパイシー。柑橘感。麦っぽさ。酵母感。
味わい:熟成香。麦の甘さ。柑橘感。スパイシー。
ボディ:ライトボディ。

一般的なホワイトエールのイメージよりは濁りが少ない印象です。
柑橘感なのかスパイス感なのか、やや癖のある香り。コリアンダー使ってるのかな、わからないけど。ホワイト独特の小麦っぽい香りと、酵母感も少し感じられます。
そして意外だったのが味わい。口当たりは柑橘感が強めで、そこまではよくある感じもしたのですが、そこからしゅっとキレます。ホワイトだけどまったりはしてなくて、弱めだけれど苦味も感じます。でもしゅっとキレる。ボディには熟成香も感じられるのですが、後味がびっくりするほどさっぱりで、飲み込んだらすぐに消えます。

好き度:★★★

ホワイトエールのまったり飲む雰囲気ではなくりますが、雑味がなくて飲みやすく面白い。


■キリンらしいクラフトビールってことで

クラフトビールとは言いつつも、飲みやすさを残しているのは大手メーカーだからってことになるんでしょうか。別にそこまで考えなくていいのかな。
ともあれ、クラフトビールに求めがちになる濃さや癖は、グランドキリンからは得られないかもしれません。でもしっかりまとまった美味しいビールって感じでした。


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minolu
ビール代になります。