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地ビール界の栄枯盛衰を生き抜いた成功例コエドビール。COEDO伽羅、瑠璃、毬花。 1000BeerChallenge(21-23/1000)

■また地ビール問題

「クラフトビール」という名前はすっかり定着、というか乱用されるようになりました。クラフトビールというには適当につくってやいませんか? ただの小ロット製造なだけじゃないですか? というものも中にはあるようです。つまり、クラフトビールブームなんですね。
同じようは状況が、かつて「地ビール」にもありました。
1994年に法律が変わって小ロットでもビールをつくって良いことになり、日本全国各地で地ビールがつくられるブームがあったのです。
地ビールブームは結局のところ、適当につくっただけの美味しくもないビールが淘汰されるような形で収束していきました。今では集客力のある有名観光地以外では、ちゃんと美味しいビールしか生き残れていないというイメージです。ザ・市場原理。めでたしめでたし。


■地ビールの代表的成功例

コエドビールは1996年から製造されています。まさに地ビールのブームを生き抜いてきた生粋の地ビールです。川越という土地も、大消費地である東京には近いものの、観光地としては(小江戸という名前はそこそこ知られてはいるものの)、そこまでの集客力はないでしょう。むしろ都心で働く人のベッドタウンです。
つまり、地ビールとして産声をあげたコエドビールですが、きちんと美味しくなければとっくに淘汰されていたであろうと考えられます。
そんなわけで、美味しいはずである。


■コエドさんは一捻りしてくるタイプ

クラフトビールというと、作り手がこだわりを貫いたり、贅沢な原料をつかったりしているビールと言われることが多いみたいです。原料を贅沢に=ホップをどっさり→とりあえずIPAつくろう!という安易な発想に流れがちなイメージもあります。
しかし、コエドビールはそれを許さない。メインどころのラインアップはピルスナー(瑠璃)の他、インディアン・ペール・ラガー(伽羅)、そしてセッションIPA(鞠花)なのです。
ネーミングもひねってるのか、ヤンキーの家系なのかな。
伽羅、瑠璃、鞠花、あれ、花は華って漢字使った方が良かったのでは。


■[beer021]COEDO伽羅

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COEDOビールの代表格は伽羅と瑠璃でしょう。鞠花もわりとよく見る。白と漆黒はたまに見る。その他にもいくつかのバリエーションがあります。コラボものや限定ものも結構ある。
今日の伽羅はインディアン・ペール・ラガーというタイプとされています。IPA、インディアン・ペール・エールはよく聞きますが、IPLは聞き慣れません。つまるところは、IPA並みのホップの量で、ラガー酵母で発酵させたものとのこと。
一般には、エールは味が濃くて香りも豊か、ラガーは軽めで爽快、という特徴があります。ということはIPLは、ホップを使って香り豊かにしたけれど爽快なビールになる、と考えることができます。


■ビール情報

名称:COEDO 伽羅
メーカー:コエドブルワリー
産地:川越
タイプ:インディアン・ペール・ラガー
アルコール度数:5.5%
価格:260円くらい
入手場所:ビックカメラ


■味わいメモ

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外観:ちょっと赤みかかった濃い琥珀色。
アロマ:ホップとフローラルの混在するシンプル目の香り。少し甘め。
味わい:華やか。熟成香とホップ。少し柑橘っぽさ。
ボディ:ミディアムボディ

華やかでフルーティな甘みが最初にくるので、わりと賑やかで楽しい。ちょっと柑橘系の酸味を感じつつ、ホップの苦味に集約されていくので、重たさは感じずにさらっと切れて流れていく感じ。
飲み進めていくと苦味と酸味が良い感じにこなれて一体になっていくような印象で、全体として良いところに収まるような。

好き度:★★★★

ちょっとだけ大人しいかなとも思うのですが、最近はクラフトビールって言っておけばお値段が高くなっても許されるだろうって風潮の中で、比較的お安くこの味わいならば大満足だなとも思うのです。


■[beer022]COEDO瑠璃

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インディアン・ペール・ラガーの伽羅に対して、瑠璃はピルスナー。これが一番シンプルで、コエドの中心と言うべき一本かもしれません。


■ビール情報

名称:COEDO 瑠璃
メーカー:コエドブルワリー
産地:川越
タイプ:ピルスナー
アルコール度数:5%
価格:260円くらい
入手場所:ビックカメラ


■味わいメモ

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外観:琥珀色。
アロマ:熟成香。甘めの華やかな香り。
味わい:フルーティな甘さ。ホップの苦味。
ボディ:ミディアムボディ

シンプルでわかりやすい気がします。口当たりは甘い印象なのですが、苦味はしっかりしてて、正統派って感じ。ボディにもコクと言うのかまったり感があって、余韻はまた熟成香。
甘、苦、甘、ぷはぁ。

好き度:★★★★


■[beer023]COEDO鞠花

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鞠花はセッションIPAとのこと。セッションIPAは、ホップをたくさん使って芳醇にするIPAの方向性のままで、アルコール軽めに仕上げて飲みやすくしたタイプだそうです。アメリカあたりで流行ったのが広まったそうな。


■ビール情報

名称:COEDO 鞠花
メーカー:コエドブルワリー
産地:川越
タイプ:セッションIPA
アルコール度数:4.5%
価格:260円くらい
入手場所:ビックカメラ


■味わいメモ

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外観:金色。
アロマ:爽やか目のホップ。フローラル感。
味わい:フローラル感。フルーティな甘さ。ホップの苦味。
ボディ:ミディアムボディ

複雑な華やかさ、純粋な苦味、すっきり爽快。この3つの要素がバランスよく成立するんだねえ、という印象です。
フローラル感が最初に来ます。ふわふわっと華やかで楽しい。その次に苦味が突撃してきます。華やかさの霧の中を、苦味が竹槍持ってまっすぐ走ってくる感じ。ボディは確かにやや軽め。でもフィニッシュでフルーティーな熟成感がじわっと通り過ぎていくのがまた良い。

好き度:★★★★★

お値段的にお手頃ということもあって★が伸びた面もあるけれど、これはとても好きなビールです。


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ビール代になります。