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ヒューガルデンを奪われた小西酒造の逆襲。VEDETT 1000BeerChallenge(123/1000)

■ベルジャンホワイトとは

VEDETTはベルジャンホワイトというタイプに分類されるビールです。ベルジャンホワイトは、名前の通りベルギー独特のホワイトエールです。通常のビールで使われる大麦麦芽だけでなく、麦芽にしていない小麦も使い、コリアンダーとオレンジピールで香りづけをするのが特徴。ホップの苦味が少なく、小麦の優しい雰囲気と、スパイシーな香りが楽しめるビールです。
ベルジャンホワイトで最も有名なのがヒューガルデンでしょう。ヒューガルデン村あたりでつくられていたビールが広まって、やがてベルジャンホワイトと呼ばれるようになったということもできるくらいに、代表的なベルジャンホワイトです。


■ヒューガルデン争奪戦

ヒューガルデンは数奇な運命を辿っているビールです。もともとはヒューガルデン村周辺でつくられていたローカルなものでした。それが、世界的に高まったピルスナーの人気に押されて一度は途絶えてしまいます。
しかし1966年に復活、今度は定着します。
しかししかし、その後醸造施設が火事で焼けてしまい、自力での復活を断念、世界的なビールブランドを複数所有する、インベブの出資を受け傘下に入りました。そしてその資金力・流通力によって世界的に拡大路線を歩むようになっています。

日本では伊丹市の小西酒造が1988年にヒューガルデンの輸入を開始、当時はベルギービール自体の知名度もありませんでしたが、じわじわと成長させていきました。その後ベルギービールブームがやってきます。2005年頃にはヒューガルデンの認知度もかなり上がっていたように思います。
そのベルギービールブームに乗ろうとしたのか、人気が上がっていたヒューガルデン自体を欲しがったのかはわかりませんが、ここでアサヒビールが登場します。2008年にヒューガルデン製造大元のインベブと提携、ヒューガルデンの日本への輸入販売権を、悪い言い方をすればかっさらったような形になりました。
さらに、その10年くらい後には、アサヒビールがラインナップの再編成を行ったのにあわせて、今度はインベブが日本へも直接流通させるようになりました。

ベルギーの村生まれだったヒューガルデンちゃんは、いつのまにやら世界的巨大資本を渡り歩くセレブになっていたのです。

■小西酒造の逆襲

さて、本題はVEDETTです。
小西酒造は江戸時代から続く老舗ではありますが、資本力ではアサヒビールやインベブにかないません。日本でヒューガルデンを育てたという自負はあっても、扱えなくなっちゃったらどうしようもない。
そこで目をつけたのがVEDETTでした。
VEDETTは、ベルギーの老舗ビールメーカーであるデュベルのつくるベルジャンホワイトですが、発売は2008年。ちょうどそのころヒューガルデンが売れなくなった小西酒造が、日本に輸入し始めたわけです。
いわば小西酒造の逆襲、ヒューガルデンへの刺客、仁義なき戦いの幕開けです。


■[beer123] VEDETT

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パステルカラー風のポップなデザイン。ベルギービールのこってり感とはちょっと違うイメージです。


■ビール情報

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名称:VEDETT
メーカー:DUVEL MOORTGAT
産地:ベルギー
タイプ:ベルジャンホワイト
アルコール度数:4.7%
価格:3本1000円
入手場所:やまや


■味わいメモ

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外観:淡い濁った麦わら色。
アロマ:麦の甘さ。熟成香。柑橘感。酵母感。スパイス。
味わい:熟成香。柑橘感。スパイス。麦の甘み。酵母感。
ボディ:ミディアムボディ。

見た目はスタンダードなホワイトエールという感じの色と濁り。
香りもわりと普通な印象です。小麦っぽい甘い香りと、コリアンダー。柑橘感と酵母っぽさも。
味わいはやや軽めに感じました。柑橘感と熟成香みたいな甘さがあり、ちょっとコリアンダー的なスパイス感。ボディの酵母感が意外と弱かったのかもしれません、優しい小麦って感じで、飲みごたえって感覚ではありません。後味でちょっと苦味もあります。

好き度:★★★

全体的に軽いけれど、なにかが足りないってわけではなく、それぞれの要素はきちんとあります。あっさりした味付けにしてますってイメージでしょうか。悪くはないけど、必殺の刺客って感じでもない。

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ビール代になります。