世界遺産の隣の地ビール、反射炉ビヤのビール5本 1000BeerChallenge(272-276/1000)
■地ビールだった反射炉ビヤ
反射炉ビヤの反射炉は、韮山反射炉のことです。韮山反射炉は伊豆半島の付け根の中央くらいにある、鉄の精錬に使われた反射炉の遺跡。江戸時代末期に欧米の動向から鉄の必要性を感じた幕府が、韮山代官の進言を聞いて造ったものだそうです。
2007年には世界遺産に登録されていますが、それ以前から観光名所としても有名でした。
観光名所があれば近くで地ビールをつくりがちだったのが、1990年代後半の地ビールブームのころ。反射炉ビヤも、1997年に韮山反射炉のすぐ隣、物産館の中で創業しました。典型的な地ビールという感じです。
その後、地ビールブームがどこかへ行ってしまったり、韮山反射炉の世界遺産登録があったり、浮き沈みはあったでしょうけれど、ともあれ韮山反射炉は生き残ってきたようです。
■クラフトビールになった反射炉ビヤ
2016年、反射炉ビヤはリブランディングを行なったとのことです。典型的な地ビール感から脱却して、クラフトビールとして売り出していこうという方針だったのではないかと推測します。
ラベルはポップになり、ネーミングも独特になり。これはヤッホーブルーイング路線かな。
そしてビールの種類がとても多い。醸造所としてはそれほど大規模ではないはずですが、限定生産ビールを次々とつくっているようで、公式サイトのラインナップページにはたくさんのビールが並んでいます。
定番ものは地域の歴史的人物の名前が使われていて、限定ものは原料や製法から名付けられている、という雰囲気。
実際に醸造所まで行ったわけではなく、たまたま酒屋さんで見かけたものですが、まずは5本飲んでみました。
■[beer272] 伊豆メキシカンラガー
■ビール情報
名称:伊豆メキシカンラガー
メーカー:反射炉ビヤ
産地:静岡県
タイプ:ラガー
アルコール度数:5%
価格:500円くらい
入手場所:出口屋
■味わいメモ
外観:金色。
アロマ:熟成香。麦っぽさ。酵母っぽさ。
味わい:熟成香。麦の香ばしさと甘さ。ホップ感。バターのような甘み。酵母感。
ボディ:ライトボディ。
色はラガーらしい金色です。香りはそれほど強くありませんが、麦っぽい甘さと香ばしさが中心に感じられます。そして酵母感もあるような。
味わいは意外と甘いな、という印象です。口当たりも熟成香か麦の甘みが感じられ、ボディでも軽すぎないコクのある甘みがあります。それに加えて、弱めですがホップっぽさと苦味、そして麦っぽい香ばしさも出てきます。喉越しは香ばしさがすっきりさせてくれる感じ。
メキシカンラガーという名前ですが、軽すぎることはなく、きちんと味のあるラガーでした。
好き度:★★★
■[beer273] 百花レモネードシェイクIPA
■ビール情報
名称:百花レモネードシェイクIPA
メーカー:反射炉ビヤ
産地:静岡県
タイプ:Hazy IPA
アルコール度数:6%
価格:500円くらい
入手場所:出口屋
■味わいメモ
外観:濁った明るめの麦わら色。
アロマ:熟成香。フローラル感。柑橘感。ホップの苦味。酵母っぽさ。
味わい:熟成香。柑橘感。フローラル感。ホップの苦味。酵母感。
ボディ:フルボディ。
ヘイジーということで、濁りがあります。柑橘感のある香りの奥に、甘い香りもあるような。言われてみればレモンではなくレモネードの匂いかな。ホップの華やかさと苦味の香りもあります。
口当たりは甘めのレモンっぽい雰囲気。そこにホップの華やかさと苦味が重なってくる感じです。濁りもあってややずっしりしている気もしますが、柑橘感で爽やかに流れていきます。後味はレモネードって感じする。
Hazyにしてはホップ感が強くはないので、やや物足りない気はするのですが、柔らかいレモンの甘酸っぱさと合っている気はします。
好き度:★★★
■[beer274] オランジェ麦酒
■ビール情報
名称:百花レモネードシェイクIPA
メーカー:反射炉ビヤ
産地:静岡県
タイプ:ワイン酵母ビール
アルコール度数:5%
価格:500円くらい
入手場所:出口屋
■味わいメモ
外観:銅色。
アロマ:熟成香。麦っぽさ。カラメルっぽさ。酵母っぽさ。
味わい:熟成香。柑橘感。麦の甘み。スパイス感。バターのような甘さ。
ボディ:ミディアムボディ。
ワイン酵母を使ってつくったビールということで、独特なのでしょうか。やや濃い色をしています。香りもワインに近いかなという印象。バーレイワインのような、麦が凝縮されたようなイメージです。カラメルっぽさもあってややこってりした香りです。
ただ、飲んでみると口当たりは意外と軽くてクリア。柑橘感もあり、確かにオレンジだなという雰囲気です。そして麦っぽい甘みがあり、ベルギービールのようなスパイスっぽい感覚もあり、ボディは甘めでコクもあり、なんだか盛りだくさん。後味はさっぱり目のホップ感と柑橘感で、また意外と爽やかに。
見た目ほど重たくはないけれど、フレーバーがたくさん賑やかで面白いビール。
好き度:★★★★
■[beer275] 伊豆の杏セゾン
■ビール情報
名称:伊豆の杏セゾン
メーカー:反射炉ビヤ
産地:静岡県
タイプ:セゾン
アルコール度数:5%
価格:500円くらい
入手場所:出口屋
■味わいメモ
外観:くすみのある茶色。
アロマ:麦っぽさ。柑橘感。カラメルっぽさ。酵母っぽさ。
味わい:熟成香。柑橘感。麦の甘み。ホップの苦味。酵母感。カラメル感。
ボディ:ミディアムボディ。
セゾンにしては色が濃い気がしますが、小麦は使わず大麦だけとのことです。
香りはもやっとしてる印象です。酵母感があり、麦っぽさとカラメル風の甘い香り、少し柑橘感。
味わいは強くも重くもなく、バランス重視という感じです。柑橘感と酵母感、苦味と甘みも少しずつ。名前ほどではないけれど、杏なのかなっていう甘みとコクもあるような。後味は柑橘感中心で、少し苦味が残ります。
好き度:★★★
■[beer276] 頼朝
■ビール情報
名称:頼朝
メーカー:反射炉ビヤ
産地:静岡県
タイプ:ポーター
アルコール度数:6%
価格:500円くらい
入手場所:出口屋
■味わいメモ
外観:黒。
アロマ:麦の香ばしさ。麦の甘さ。ホップ感。
味わい:熟成香。酸味。麦の香ばしさ。焦げ感。ホップの苦味。
ボディ:ミディアムボディ。
反射炉ビヤの定番の中の1つ、頼朝はポーターでした。
色は黒。香りは麦の香ばしさを通り越した焦げ感が強い印象です。ロースト香では表現として弱い気がするくらいの焦げ感です。甘い香りもありますが、香ばしさが圧倒しています。
味の方も香りの通りっていう印象です。ローストした麦の焦げ感が強い。今までポーターを飲んでいて、もっと香ばしくて良いのにと思ったことはありましたが、焦げすぎって思ったのは初めてです。面白いけど、もっと美味しいバランスはありそうな気もします。
好き度:★★★
■個性とバランスの難しさ
反射炉ビヤのビールは、名前で特徴がわかるけど名前ほどのことはなくてバランス重視だなって思うこともあれば、最後の頼朝はバランス度外視の個性派だったり。なかなか振り幅が大きいようです。
バランス良くて飲みやすければ物足りないと言われ、個性を強めると面白いけどバランスがと言われ。ビールづくりって大変ですね。