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月刊プレイリストボーイ2023年11月号

【今月のプレイリスト】

1.Kariyado/maco marets
投げやりっぽいけど癒される不思議なラップ。とにかく大喜利みたいな韻踏みとか、ヤンキーめいた仲間イズム?みたいな日本語ラップの苦手イメージを覆してくれた。アタックの弱い声とコトバがシンプルに音として心地良い。

2.Trans-Island Skyway/ドナルド・フェイゲン
前曲の「Kariyado」から、そういえばドナルド・フェイゲンのソロアルバムに「Kamakiriad」ってのがあったよなぁという単純連想。ウォルター・ベッカーのプロデュースであり、音的にもスティーリー・ダン復縁的予感が漂うが、これ、ひとことでいうとリズムトラックが軽めのスティーリー・ダンやんな?

3.Porifemo/マルコ・カステッロ
堀込高樹(KIRINI)のラジオでかかっていて気になった曲。耳あたりは良いが相当ヘンテコ。パッと聞きのボサノヴァイメージは瞬殺され、自由に拡散されるリズムとメロのしなやかさ。イタリア語の語感も相まって新しい快感。

4.花茶/青柳拓次
それまでずっと英語で歌っていたリトル・クリーチャーズの青柳さんが初めて全編日本語のソロアルバムを出したのは2007年。今ではフツウに日本語で歌われているが、コトバと情景を心地良い音として響かせるスタイルはここからはじまったのだな。二胡がさらに心地良い。

5.ソングライター/カーネーション
昨日出たばかりのカーネーションの新譜から。とりあえずザッと聴いたところ、この曲が心に引っかかった。つい先日ラジオに出演していた直枝さんが、歌詞について「地面から2〜3センチ浮いた感覚で歌ってる」と言っていたのだけど、その微妙に地に足をつけることを拒むような印象と重なった。明後日の梅田TRAD、超楽しみ也。

6.TIME/浜崎貴司
前曲から歪つなシームレス。こちらは無理矢理地に足をつけさせれ、現実のいちばん見たくない部分を突きつけられたあげく「だから何かを残すべきなのさ」と迫られる。狂ったピアノの圧迫感がすごい。

7.Mess It Up (Purple Disco Machine Remix)
/ローリング・ストーンズ

ビートルズの「Now And Then 」に対しては「今の技術ってすごいよね」以上の感想を持つ人が、実際はどれくらいいるのだろうか?という性格悪い疑念を拭えぬ。そこへ来てストーンズってば、最新曲をこんなにいなせなデスコにしてもキマるのだから、やっぱり現役の大師匠ですね。

8.Ronnie,Talk to Russia/プリンス
殿下が時の大統領ロナルド・レーガンへ「ロシアと対話せよ!」と訴えた歌。アメリカに対してもっともフラストレーションを覚えるのは、強いカードを持ちながらそれを人々を救うために使わないところ。イスラエルとハマスの休戦も、先月の国連決議案の時点でアメリカが拒否権を使わなければ、ここまで人が死ぬことはなかったんじゃないのか。

9.Ballad of a Thin Man(Live)/キャット・パワー
ボブ・ディランの1966年のライブ盤「ザ・ロイヤル・アルバート・ホールコンサート」をまるごと再現したライブカバーアルバムから。オリジナルの方は、実はマンチェスターのフリー・トレード・センターで録音されたものだが、キャット・パワーはタイトル通り、ロイヤルアルバートホールでライブレコーディングしている。歌う前に「Jesus」と呟いたのは、オリジナルのライブで観客がディランに向かって「ユダ!」と罵声を浴びせる場面があり、それにちなんだアンサーだという。重くてダルなフィーリングがおそろしくハマってる。

10.Live and Let Live /ピーター・ガブリエル
満月ごとに新曲を発表する企画はこれでフィニッシュ。いよいよ明日、新譜が出る。「Live and Let Live」は素直に訳すと「自分も生き、他者も生かす」という意味かな?と思ったが「持ちつ持たれつ」というふうに使うみたい。ともあれ宗教も産業も技術も政治も芸術も娯楽も、すべて人を生かすためにあることを、願ってやまない。


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