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「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」待ち焦がれている時間が、何よりしあわせでした。

どうも、安部スナヲです。

当初の公開予定、2020年4月から3度の延期を経て、やっと今月公開となった007シリーズ25作目「ノー・タイム・トゥ・ダイ」

この映画は、15年に渡りジェームズ・ボンドを演じて来たダニエル・クレイグの卒業式でもあるので、それこそ祭典のような意味合いを持つ特別な作品です。

ダニエル・クレイグは模範的ボンド像から逸脱しているというイメージから、見事に「史上最高のジェームズ・ボンド」になった男(ま、アンチも少なくないですが)

この記念碑的な最新作を通して、私なりにクレイグボンドを振り返りながら、映画の感想を述べたいと思います。

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【ごめんねダニー】


ダニエル・クレイグが6代目ジェームズ・ボンドを襲名した時、007ファンから熾烈なバッシングを受けました。

誰がそんなことを調査したのか「国民の71%が反対」という風評まで出回ったそうです。

これについては、やれ「暗い」「弱そう」「ジャガイモ頭」と、いくつか理由(というか悪口ですが)はあるようですが、その中で興味深いと思った悪口を挙げてみます(ごめんねダニー)

まずは髪の色です。

イアン・フレミングによる原作小説ではボンドは黒髪であるという設定で、それまで演じてきた5人の役者たちも全員が黒髪です。

ところが、ダニエル•クレイグは金髪。この点で特にオールドファンから「邪道だ!」という反感が強かったようです。ま、染めりゃいいじゃんってハナシですがね。

そしてもうひとつ、これは言い得て妙だなと思うのですが、(ご、ごめんねダニー)007の中で最も人気があり、評価も知名度も高いとされる「ロシアより愛を込めて」(1963)

私も大好きで、Tシャツまで買っちゃいました。

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その作品に登場する敵方・スペクターの殺し屋、グラントを演じたロバート・ショウという役者に、クレイグはとても似てるんです。

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「ロシアより愛を込めて」のグラント(ロバート・ショウ)

このグラントという男は魑魅魍魎が凌ぎを削るボンドの敵役の中でも特にインパクトが強いキャラクターです。それだけに余計にボンドのイメージが崩されてしまうように感じた人が多かったのでしょう。言うなれば、八名伸夫にとても似た感じの人が遠山の金さんを演じるようなもんです…ってわかるか?

【ボンドは一日にして成らず】

映画のパンフレットに掲載されているインタビューにて、クレイグはこう答えています。

最初にボンドを演じた時、役作りに3カ月かかった。それが今では1年くらいかかっている。

(公式パンフレットより)

そうです、八名伸夫が金さんになるのは容易ならぬこと(もうええっちゅうねん)

主に個人的所感でもってクレイグが演じたボンドを振り返ってみると、まず彼が初めてジェームズ・ボンドとしてスクリーンに登場した「カジノ・ロワイヤル」(2006)は、ボンドが00(ダブルオー)エージェントに就任したばかりの、言わば駆け出しの頃の物語なので、イメージするボンドとちがっていても、逆にそのことがキャラクターの棲み分けとして効果的だったと感じています。

そして2作目の「慰めの報酬」(2008)も、前作と基本的には地続きのハナシなので、同様の役柄を演じていることに違和感はなかったです。

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そうするとやはり、不動のクレイグボンドを確立したと感じたのは3作目「スカイフォール」(2012)です。

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前述のインタビューにおける、1年ががりの役作りが、功を奏しているのかどうかはわかりませんが、この作品での彼の佇まいはどう見ても「あ、ジェームズ・ボンドだ!」と思わせてくれます。それでいて過去のどのボンドよりもかっこいいんです。

これとその次の「スペクター」(2015)は、どちらもショーン・コネリー期の007へ回帰しつつ、斬新さを感じさせる作風。例えるなら外観はライカのようなオーセンティックなデザインでありながら、最新性能を搭載したデジタルカメラのようなイメージでしょうか。

とにかく古臭くない、今の時代に相応しいボンドがクレイグによって遂に完成したという感動がありました。

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【で、結局今作はどやねん?】


そして今作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」

まず冒頭、雪と氷が張り巡らされた世界で、少女時代のマドレーヌと能面の男が攻防戦を繰り広げるシーンは不気味で美しくて最高にドキドキしました。

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そしてボンドとマドレーヌ(レア・セドゥ)の甘い睦み合いから一転、陰謀と疑惑に翻弄され、ひと暴れしてからの哀しい別れ…

そこへビリー・アイリッシュの主題歌と、オープニングタイトル。

期待値がピークに達したところで本編へー。

竹馬の友であるCIAのフェリックス・ライター(ジェフリー・ライト)の依頼を受け、DNAを特定して感染させることができるという恐ろしい細菌兵器を開発した科学者の追跡に乗り出すボンド。

仲間となる2人の超魅力的な女性エージェント、ノーミ(ラシャーナ・リンチ)とパロマ(アナ・デ・アルマス)を伴い、ジャマイカ、キューバと転戦し、これぞ007というアクションと華麗なシーンの数々。

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もう大興奮です!!!

今になってこんな007を、ど迫力のIMAXスクリーンで観られるなんて、待った甲斐があったなぁ。長生きもしてみるもんじゃわい。

ところが後半…

再びMI6に戻ってM(レイフ・ファインズ)と一悶着あり、例によってQ(ベン・ウィーショー)のITスキルを頼って黒幕のアジトを突き止めるまでは楽しめましたが…。

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そこから黒幕サフィン(ラミ・マレック)がことに及んだ動機と過去が明るみになり、最終幕となる攻防戦を向かうまでの展開がどうも乗れなくて、ダレてしまいました。

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そして何と言ってもあのラストはハッキリ言って「ないわ~」でした。

ネタバレ回避の為、詳しくは書きませんが、ストーリーや設定上のほころびと、2時間43分にも及ぶ上映時間の中だるみが重なり、それまでのテンションが衰えた感じです。

そこへ持って来て、殺し屋スパイ映画のスタンダードである筈の007が、花も毒もない、中途半端なヒューマニズムに落ち着いてしまったなぁという印象にたいそうシラけてしまいました。

人それぞれ感じ方はあると思いますが、私は007のようなエンターテインメント映画において、妙に現実的な幸福論、死生観、人生哲学を示唆されると、どうも片腹痛いわ!と言いたくなってしまいます。

そういうことから、ちょっとの間でも自分を開放したいから映画に没頭しているワケです。

最後は否定的になってしまいましたが、私はこの映画を観られて本当に良かったです。

上映延期が発表される度、007への想いは募り、たくさんある過去作を観返したりしながら、新作を楽しみにしている時間こそがまさに「ノー・タイム・トゥ・ダイ」でした。

ありがとうダニー!

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出典:

The Official James Bond 007 Website | No Time To Die JP


007 ノー・タイム・トゥ・ダイ : 作品情報 - 映画.com


007 カジノ・ロワイヤル : 作品情報 - 映画.com


007 慰めの報酬 : 作品情報 - 映画.com


007 スカイフォール : 作品情報 - 映画.com


007 スペクター : 作品情報 - 映画.com


ジェームズ・ボンド役に決まったダニエル・クレイグが受けたすさまじいバッシング…007として認められるまで(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース

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【007 悪キャラ】グラント(ロシアより愛をこめて) | Karmann Fish にうってつけの日

ボンド役を断っていた?ダニエル・クレイグと『007』にまつわる事実(コスモポリタン) - Yahoo!ニュース

【映画批評】007/ノー・タイム・トゥ・ダイとダニエル・クレイグ版ボンド完全総括!/高橋ヨシキ、てらさわホーク、柳下毅一郎【ネタバレ】


007/ノー・タイム・トゥ・ダイ公式パンフレット

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