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「DUNE/デューン 砂の惑星」次回作にピークを持って行くつもりだな。

どうも、安部スナヲです。

カルトSFというイメージが強かった「砂の惑星」ですが、今回ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるこの映画をきっかけにその背景を知ってみると、これこそがSFの古典というか、むしろ教典と呼んでもいいような作品だったんですね。

でありながら、何故これまでまともな映画が作られなかったか(この言い方はホドロフスキーやデヴィッド・リンチに失礼かも(⌒-⌒; )

最大の要因は、あの壮大な幻想世界の映像化を常識的な予算で実現するには、まだ技術が充分に追いついていなかったことにあるようですが…

しかし、本当に大切なことは、どうやらそこではないようです。

【これってSWじゃね?】


こう言っては野暮かも知れませんが、私はこの映画を観ている時、どうしても「スターウォーズ」とオーバーラップさせずにいられませんでした。

というのもストーリーの要旨は、銀河系での権力争いだったり、特別な運命を背負って特別な力を秘めた少年が成長していくハナシだったりするワケです。

ほんでもって人の心を読んだり操ったりする特殊能力(フォース?)が出て来たり、SFチックな乗り物、装置、武器、コスチューム、その他オリジナルガジェットも目白押し…てか、そもそもアナキンやルークの本籍地であるタトゥイーンって砂の惑星ですやん!

むしろ「どこがちがうかゆーてみぃ!」と言いたくなるほど重なる要素が多いです。

しかしこれらは、フランク・ハーバートの原作小説「DUNE /砂の惑星」が、あまねくSF作品に与えた影響の証でもあります。

とはいえ、スターウォーズは1977年から現状2019年まで、常に映像技術の進化と歩調合わせて新作を公開し、斬新なSF世界を構築し続けた唯一のSF映画。いかに小説版DUNE のアイディアが元ネタになっている部分が多いにしても、こと宇宙戦争映画としてはスタンダードな指標にならざるを得ません。

で、そのスターウォーズと比べて、この映画がどうだったかと言うと、ハッキリ言って映像面におけるSF世界はスターウォーズを凌ぐ完成度だと思います。

とにかくワンカットワンカット、いちいち壮観で美しい。

すべてのビジュアル要素と空間が、緻密に計算し尽くされているのが画面から伝わってきます。それでいてそれぞれのシチュエーションで違和感や不自然さを感じさせる部分もほとんどなくて、今まで見たこともない筈の幻想世界にスッと入り込めてしまいます。

例えばSFの価値が、宇宙とか惑星とか未来都市といった非現実世界に、どれだけ気持ち良く身を委ねられるかにあるとするなら、ここまで完璧なSF世界はないかも知れません。

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【シャラメ!シャラメ!シャラメ♡】


スターウォーズをも凌駕するSF世界と映像美を見せてくれるこの映画ですが、いちばんの見どころはズバリ、キャラクターだと思っています。

特にアトレイデス一族と、砂の惑星アラキスの原住民・フレメンの人たちは、男性も女性も皆一様に勇敢でカッコ良く、全員に惚れちゃいます。

それほど魅力的なキャラクターたちの中で、一等星のように輝くのが主演のポール・アトレイデス役、ティモシー・シャラメです。 

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まず上映開始から、ものの5分でシャラメの星の王子様ナイズドされたキラキラ感、透明感、そして凛々しくも愛くるしい眼差しにコロッとやられました。

そこから画面に彼が映る度に胸が、胸が、苦しくなるぅ…もうロマンチックが止まりません。こんなにドキドキしたのは「毎度おさわがせします」の中山美穂以来かも知れません。

シャラメについて、ユニセクシャルなイメージを持つ人は多いと思いますが、彼が不思議なのは人種的にも中性的というか、どの人種にも属さない感じがするところです。

そして物語上のポールは15歳ですが、何だか永遠に歳をとらなさそうな非人間的なムードも湛えていて、こういう寓話的世界にこれほどピッタリな人はいないんじゃないかと思います。

【ドゥニ・ヴィルヌーヴの夢】


前回、「燃えよ剣」の記事にて、「原田眞人監督は、司馬遼太郎作品へのこだわりは誰にも負けないという心意気で映画を作っている」というようなことを書きましたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴにとってのDUNEも、正にそれです。

1965年に発表された、そのSF小説の革命的作品の映像化は、当時から最先端を走らんとする映画人の悲願でありながら、その壁は厚かったようです。

冒頭述べたように、予算や技術の問題もありますが、ネックとなるのは、やはり小説におけるストーリーのボリュームを2時間前後の映画的尺にどうまとめるか。

色んな監督や製作者で企画が持ち上がっては流れ、いよいよ行き着いたアレハンドロ・ホドロフスキーによって、選りすぐりの精鋭を集結した製作陣と奇抜なキャストを擁して製作が進められましたが、これも頓挫します。結局実現したのは1984年のデビッド・リンチによる映画と2000年のテレビシリーズ。

しかしドゥニはそのどちらも腑に落ちず、歯痒いを思いをしていたようです。

10代の頃からその小説を愛読し、いつか自分の手で映画化することを夢みていたドゥニの頭の中には、既に「DUNE」の世界があり、仮に自分がやれなくても誰かがやるべきだと、ずっと思っていたそうです。

原田眞人にとっての司馬遼太郎もそうすが、つまりは熱心なファンによる「オレならこうする!」という飽くなきモチベーションとビジョンこそが傑作を生む源であり、それに敵うものはないのだと思います。

すべての作り手にそうあって欲しいものですね。

ちなみに今回ドゥニが手掛けたこの映画は、はじめから前後編に分けることが前提で作られています。

しかし、実際に後編を作ることができるかどうかは興行成績しだい。つまりドゥニはイチかバチかの賭けに出たワケです。

この一点をとってみても、ドゥニの覚悟と自信が窺えます。

幸い映画はヒットし、先頃2作目の製作が正式発表されました。

今作は、ザックリ言えば惑星アラキスに移り、ポールがアトレイデス家頭領の座を継承するまでのハナシなので、本当の戦いはこれからはじまる筈。なので次回作は絶対おもしろいでしょう。もう今からワクワクします。

ところで次回作ってエピソード何?

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出典:

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』オフィシャルサイト 大ヒット上映中!


『DUNE/デューン 砂の惑星』、2作目の製作が正式決定 2023年10月に公開予定 | cinemacafe.net


DUNE デューン 砂の惑星 : 作品情報 - 映画.com


「DUNE/デューン 砂の惑星」公式パンフレット

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