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月刊プレイリストボーイ2024年2月号

【今月のプレイリスト】


1.The Wall Street Shuffle/10cc
ウォール街における、為替と株の混乱を歌った歌。『You need a yen to make a mark
If you wanna make money(金をつくりたきゃyenをマークしろ)』とあるように、この曲が発表された1974年当時には既に後の円相場急騰の兆しがあったのだな。今は日本yenが二束三文、なのに日経平均株価は連日最高値を更新するという、わけのわからん21世紀。自分にとって生涯ベストLiveである1995年サンケイホール公演でのオープニングはこの曲だった。

2.高雄へ行かなきゃ/宇宙人
台湾総統選挙に因んで。シティポップというよりは90’Sの匂いがするなぁと思って気づいたのだが、寧ろ初期渋谷系のルーツであるアズテック・カメラにかなり近くないだろうか。台湾人の親日イメージはさて置き、彼らの微妙なシティポップ&ネオアコ感は渋谷系由来な気がする。

3.春、白濁/岡村和義
一瞬、スティーヴィー・サラスかと思ったが、これならシアター・ブルックとかで良くね?とか、ちょっぴり捻くれた捉え方をしたくなる。岡村靖幸と斉藤和義の折衷案としては、ベタとは言わんが妥当過ぎる。全体的にブースト気味のサウンド処理も、90年代のミクスチャロックみたいで、今聴くと〈ひと昔前感〉に閉口してしまう。まぁそれでも文句なしカッコいいのだけどね。

4.クレイジーの中華街大作戦!
/クレイジーケンバンド

今月は出張で数日横浜に行っていて、中華街の近くに宿泊していた。わりとヘヴィな仕事での滞在だったので、旅情的なエモさとは程遠いが、それでも旨い台湾料理屋に行ったりして、束の間楽しんだ。『♪上海で喰い忘れた』が『シャンッ!』てなる、譜割りの強引さがウケる。

5.Blue Valentine's Day/大瀧詠一
『クリスマス・イブ』もそうだが、この人たちの歌に出てくる男どもは、奥手っぽい癖に恋人たちのイベント事にやたらこだわるよね。こだわるのはいいが、ツメが甘いんだ。それを棚に上げて、さも自分は純粋ですみたいな顔して悲恋を嘆くなど、笑止千万。これはいい曲だけどね。

6.My Funny Valentine
/マイルス・デイヴィス・クインテット

バレンタインに因んだ選曲と見せかけて、アルバム『COOK'IN』』収録のこのテイクは、実は25日に行われた大阪マラソン由来だったりする。ニヤッとしたあなた、JAZZファンですね。私はちがいますが。あははは。

7.EXPO2000/チョコレートウォッチバンド
バレンタインの流れでこのバンドの曲を選んだのだとしたら、発想がいよいよゴンチチの『世界快適音楽紀行』化して来た。このガレージサイケの揺らぎ、沸騰、不条理感。強いて世情に照らすならば、まともに開催できるかどうかわからない、そもそも何の博覧会かもわからない、予算だけが闇雲に膨張する2025年某メガEXPO。あのグロいポンデリングみたいなマスコットキャラが街中に繁殖するのにも通じる不条理感。別に通じねぇか。

8.Hell No!/ダニエル・ブルックス&
The Clor Purple ensemble

映画『カラーパープル』のサントラから。ダニエル・ブルックス扮するソフィアは男からの(或いは白人からの)支配・抑圧に対して一貫して『Hell No!(真っ平ごめんよ!)』と言い続ける。あの作品のメッセージのCoreはこの歌にあると思っている。

9.Miss Celie’s Blues(Sister)/
タラジ・P・ヘンソン

映画『カラーパープル』のサントラからもう一曲。奔放なブルース歌手シュグが、セリーへの敬意と親愛を込めて『sister』と呼びかける歌。辛い境遇に耐え続ける人生を生き、卑屈になりがちなセリーの表情が歌の力で明るくなる。この歌は85年のスピルバーグ版でも歌われていて、どちらもいいシーンだったな。

10.Impossible Germany/ウィルコ
いよいよ来週はウィルコの来日Live。この曲聴けるかな。『Hotel California』よりも完璧な、このトリプルギターの長尺ソロを生で聴けたら幸せだろうな。

11. Bella / Les Yeux Bleus /
Estore's Song/
ジャースキン・フェンドリックス

映画『哀れなるものたち』のサントラから。エマ・ストーン扮する主人公ベラのテーマソング。要所要所に映し出される超広角レンズによる歪曲画面と、この音楽のマッチングにより、ベラから見た歪んだ世界を、ともに見ることができる。PS.米アカデミー賞、期待してます。

12.どうして髭を?(feat.KIRINJI)/LAGHEADS
昨日リリースされたばかり。LAGHEADSの曲に高樹さんが歌詞をつけて歌ったコラボ曲。こう言ってはアレだが、やっつけ感が否めない。それでも男が髭をたくわえる心理をイジワルな視点で揶揄するセンスはやっぱり高樹さんだな。

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