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【宇和島市の魅力発見!】自然と人の奇跡の合作、海の宝石『宇和海真珠』


こんにちは!Dear Uうわじまゲストハウス&カフェのオーナー、西田さおりです。 うわじま市民ライターとして、地域の魅力を発信しています。すでに宇和島市のファンである方にはもちろん、まだ宇和島市を知らない方に、とくに読んでいただきたいです。 3年前、東京から移住してきた私が日ごろ感じている宇和島市の魅力は、この3つ。
「地域の人のやさしさ」
「自然が豊かで、年中楽しめる野菜や果物が大きい・味が濃いこと」
「とくに冬期には魚が美味しいこと」

そして最近は「美しい真珠がとても身近にあること」も魅力の一つだなと感じるのです。真珠には、老若男女があらゆる場面で着飾ることができる、控えめな上品さがあると私は思っています。日常遣いができるので、私も真珠のネックレスやピアス、指輪をその日の気分に合わせてコーディネートしています。 全国的に有名な他県のものと比べるとあまり知られていませんが、宇和島市の真珠養殖は令和3年時点で全国2位の漁獲量を誇ります。宇和島市の特徴でもある複雑に入り組むリアス式海岸が、真珠の養殖には欠かせない独特の環境・生態系を作り出しているのです。 今回は、宇和島市津島町で、家族で真珠養殖を営む増田雄亮さんにご協力いただいて、宇和海真珠の魅力を皆さんにお伝えしたいと思います。

一粒の真珠が作られるまで

家族総出で母貝への挿核作業(珠入れ作業)に取り組む増田さんたち。手先の器用なお母さまも、94歳になるおじいさまも、主戦力です。

増田さんにまず教えていただいたのは、真珠が作られるまでの手順です。条件の整った特別な海の環境で、養殖業者が長い時間と深い愛情をかけて、一粒の真珠は作られます。その期間は、なんと4年。真珠を育むあこや母貝が、ゴマ粒ほどの大きさから、しゃもじほどの大きさになるまでに2年。育った母貝を仕立てて、真珠の核となる玉を入れます。それに真珠層が巻かれていく様子をこまめにチェック、メンテナンスをしながら、完成した真珠を取り出すまでに、さらに2年待つのです。多くの宝石と同様、自然界で生まれますが、さらに人の手によって丁寧に育まれる、たくさんの奇跡が詰まった宝石が真珠なのです。それゆえに、色も大きさも輝きも肌触りも非常に多彩です。宇和島市で真珠養殖が盛んになり始めたのは60年ほど前のことらしいですが、世界史の教科書にも掲載されているクレオパトラが身に付けていたという逸話も存在するほど、真珠の歴史は長いのです。(クレオパトラの時代には「養殖」という概念は存在せず、手つかずの自然界で奇跡的に生まれた真珠を身に付けていたことでしょう。)

母貝業者と養殖業者による分業制なのだと、パネルの制作者で増田さんの姉である恵子さん。


増田さんの工房を訪ねてまず視界に飛び込んできたのは…なんだこれ!?泡風呂のようなこちらは、あこや貝の卵をぬく機械で、白いモコモコは全て卵なのだそう。


画面左がいわゆる「成功」作。真円~真円に近い形で、照り・色ともに最上級です。対して右は色も形も大きさも様々。宝石商には買ってもらえませんが、まがいもなく本物の宇和海真珠。いわゆる「規格外品」ですが、これらを使ったリーズナブルなアクセサリーも、市内各所で入手できます。

作り手の「真」心がこもった「珠」が真珠なのかなと考えます。海の環境、母貝の体調、不純物の有無や多少によって、様々な状態の真珠が育まれますが、取り出すまでは誰にも、何もわかりません。

真珠養殖業の魅力

つぎに増田さんには、真珠養殖をしていて楽しさややりがいを感じること、また大変だと感じることについてお話を伺いました。増田さんたちご家族は、昭和61年から真珠養殖を本格的にスタートしました。それまでは増田さんの祖父やご親戚があこや母貝を育てていたそうです。前項でご紹介したように、母貝を育てる業者は、真珠を作り育てる業者とは異なります。宇和島市の真珠養殖業者のほとんどは家族単位で経営されていて、その軒数も多いです。自分たち家族の他にも地域では真珠を育てている家がたくさんあり、共通の話題で盛り上がったり苦楽を分け合ったりしてゆるやかでも確かな絆で各家庭が結ばれていることが、幼少期から感じていた養殖業の魅力であり、仕事の楽しさだと増田さんは答えてくれました。同じ地域で同じ仕事をしている他の家に対して、ライバル視するのではなく仲間意識が芽生えていることに私はとても驚きました。恵子さんは「みんな、お互いの仕事の大変さをよくわかっているから、いつも気にかけ助け合っている。」と教えてくれました。ありがたいことに、真珠の値段が上がってきていて、家業に将来性を見出した若い世代が都会から宇和島市に帰ってきて、事業を継承している家が増えているそうです。「これまでは自分が一番の若手で周囲から可愛がってもらっていたけれど、いつのまにか後輩が増えて教える立場になり、気を引き締めないと。」と増田さん。

複雑に入り組む宇和島の海岸線。丸いブイの下にはあこや母貝の網が。

愛おしい存在、真珠

最後に、「みなさんにとって、あこや真珠はどういう存在なのでしょうか?」と私から増田さんたちへ質問をしてみました。「難しい質問だ」と少し考えた後、にやりと笑って「慈しむべき生き物でもあるし、愛でるべき宝石でもある」と答えていただきました。「綺麗な真珠を作ってほしいと思いながら貝を育てているし、いざ珠だしをして出荷を見送るときには緊張もするが思い通りの真珠が完成していると誇らしい」と。この回答に対して、生産者として素晴らしい心もちだなぁ…と、私は思わずため息が出てしまいました。「実際に自分が作った真珠を身に付けている人やその場面を見ることはできないけど、想像するだけで楽しい」とも聞かせていただきました。私は宇和島市民として、いつも眺めている海で作られている奇跡の宝石を、これからも身に付けて気分の高まる日々を過ごしていきたいと思います。

増田さん、ありがとうございました!

ご協力いただいた増田雄亮さんについて

今回の記事にあたり、取材にご家族で快く応えてくださった増田さん。2022年には、宇和島市の第11代目パール王子として、宇和島市の魅力をPRされました。増田さんと姉の恵子さんは、ご実家で養殖されている真珠を使ってアクセサリーをデザイン・制作・販売されています。詳細はInstagramをチェックしてみてください!


「にじいろ」の真珠。私も持っています。シンプルで洗練されており、日常使いがしやすいです。粒が大きめなことも嬉しいポイント!気分が上がりますよ♪

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