USUMシングル環境の考察とPT構築 ~技の性能とタイプ相性からの考察~
今回はポケモン対戦のシングルプレイヤーに向けた投稿です。こういったコラム記事は他のポケモンプレイヤー達もnoteで投稿するような風潮が生まれれば良いなと思います!笑
さて、本題。現在のUSUMシングル環境では、上位ランカー達のPT構築記事は以下の『ぽけっとふぁんくしょん』に多くまとめられています。
このサイトをご覧頂くとお分かりかと思いますが、現在のシングル上位環境で使われているPT構築の殆どは使用率50位以内のポケモンで構成されています。使用率上位100匹まで拡げると、個性的なメタも網羅した現在のシングル環境をそのまま映し出せるほどです。
そのため限られた範囲の種族同士でのメタゲームを攻略することは、そのまま勝率に結び付くこともあるほど重要であると言えます。
しかし、実際に構築を組んでいると「あれが無理だからこれを入れて、そしたらそれが無理になるから……」を延々と続ける思考のループに陥ることがあります。これでは強い構築、勝てる構築は組めません。
今回はその思考を上手くまとめるための考え方から考察してみようと思います。
"地震"がシングル環境の中心にあると考えてみた場合
まず始めに、皆さんはポケモンのシングルバトルで最も性能の高い技はなんだと思いますか?
僕はそれを"地震"だと考えていて、その理由は
①地面タイプの技で、タイプ相性で有効なタイプが5つもある。
②威力100でデメリットなし。(威力100以上でデメリットの無い技は少ない。)
③わざマシンで覚えさせる技で、多くのポケモンが覚える。
この3要素にあると考えています。つまり地震はシングルバトルでとても頻繁に使用される技なのです。
そうした地震を主役に置いた視点で、環境を考察します。
まず、この地震は地面タイプの技なので飛行タイプや浮遊特性などで無効化できます。これはとても大事なことで、有効範囲が広く火力も高い頻繁に使用される技が無効化されるのはシングルバトルの選択肢である交代を使った戦術に直接関わってきます。
例えば、残りHPが半分程度のメガガルーラとその地震で撃破圏内にいるギルガルドとの対面を考えてみましょう。そこでメガガルーラは地震でしかギルガルドが撃破圏内に入らないため、地震を打たざるを得なくなります。そうした時に後ろにメガガルーラより速い素早さ調整を施したメガボーマンダがいたとします。そうすると、ギルガルド側の安定した選択肢として「地震に合わせてメガボーマンダに交代し、捨て身タックルなどの高火力打点を先に打ってメガガルーラを撃破する、または交代させて流す」手段が採れます。
このように、地震の性能が高いために飛行タイプや浮遊特性などの"浮いているポケモン"を交代で繰り出すことは、現在のシングルバトルで交代戦術の基本的な動きです。
この動きが頻繁に発生するため、一般的にはPT構築に浮いているポケモンを入れることは定石となっています。
では、その浮いているポケモンは具体的に何を採用すればいいのでしょうか。
USUMシングルで浮いているポケモンはわずか10種だけ!
その観点について考察がなされているのが、こちらのAdamsさんの記事です。
上記の記事で語られているように現在のUSUMシングル環境で使用率の高い"強い浮いているポケモン"は、メガボーマンダを筆頭にメガリザードンY、霊獣ランドロス、テッカグヤ、霊獣ボルトロス、ギャラドス、グライオン、エアームド、サンダー、ロトム系統のわずか10種に限られます。
そうした中で、全体的なステータス値と持ち技に優れ、龍の舞で展開でき、羽休めで回復までできて、なんでもできてしまうメガボーマンダがやはり最も強く使用率の高い浮いているポケモンとされています。
メガボーマンダを浮いているポケモンとして採用することの価値は
①地面タイプの技などへの受け出し性能が高い。
②高い素早さと高火力で有効範囲に優れた攻撃技を持つ。
③龍の舞で突破力を持ったり、羽休めで回復して交代サイクルを持続させられる。
以上の要素にあると考えられ、文句無しのUSUMシングル環境最強のポケモンであることが一番の決め手です。
では、種類が少ないとは言え、ここまで強いポケモンが多くのプレイヤーに採用されているのであれば、地震は採用すべきではないのでしょうか?
そうではありません。地震は多くのポケモンが覚える高性能な地面タイプの技ですので、そのまま鋼タイプや電気タイプなどへの有効打として積極的に採用すべき技です。しかしその技が強いからこそ、浮いているポケモンに空かされるという環境要因の相対的なデメリットが発生します。その問題をどうすれば解決できるでしょうか?
浮いているポケモンに有効な技とは
現状、浮いているポケモンの多くは飛行タイプのポケモンです。
つまり飛行タイプの弱点である電気タイプ、氷タイプ、岩タイプの技は、地震を打つタイミングでサブウェポンとして打つに値する技なのです。電気タイプの技は、霊獣ランドロスや霊獣ボルトロス、グライオンなどの無効化される飛行タイプが多いためサブウェポンとしてはあまり適さず、岩タイプの技もストーンエッジが殆どの最大火力ですが命中率が不安定で、しかも霊獣ランドロスの威嚇などによって火力を抑えられるため、交代際の選択肢としては難がある。
ではやはり、氷タイプしかありません!
氷タイプの技は無効タイプがなく、高性能な特殊技の冷凍ビームや多くのポケモンが覚える冷凍パンチなど、技の種類に恵まれています。そして更に、浮いているポケモンの仮想敵であるメガボーマンダや霊獣ランドロス、グライオンなどにタイプ相性で4倍の倍率がかかります。
以上のことから、僕は「地震を覚えるポケモンには氷タイプの技を仕込むべき!」と考えました。
つまりカバルドンに氷の牙や、霊獣ランドロスにめざめるパワー氷を採用することは理に適っていると言えます。
氷タイプの技はめざめるパワー氷にするのが最も手軽なのですが、できればもっと性能の高い氷技で地震と一緒に相手へ負荷をかけたい。となれば、地震と氷タイプの技をどちらも自身のタイプ一致として使えるマンムーが候補に挙がります。次点で、親子愛特性で状態異常の氷付けを見込めるメガガルーラでしょうか。
今回はマンムーについて主に考察します。
地面枠・マンムーの底力
マンムーは氷タイプのポケモンだけあって、氷の礫や氷柱針など、非常に多くの高性能な氷タイプの技を覚えます。
そのマンムーの性能を、上記の主旨を踏まえて最大限に発揮するためにはどのような型に調整すればいいのでしょうか?
それには3通りの提案があります。
①AS襷テンプレ型
ステータス:実数値(努力値)185-182(252)-101(4)-*-80-145(252)
特性/持ち物:厚い脂肪/気合の襷
技:地震/氷柱針/氷の礫/ステルスロック
マンムーと言えば、誰もが真っ先にこの型を思い浮かべるでしょう。
そのマンムーが一番オーソドックスでありながら、そのまま最もマンムーの性能を引き出しています。
水タイプや格闘タイプなど相手からの有効打が多いため、気合の襷で"行動保証"を確保して対面性能を上げています。相手の身代わりや襷に対して氷柱針、展開後の削れたメガボーマンダなどを処理するための氷の礫、序盤の展開補助としてのステルスロック使うことで、サポート役もこなせます。
この型に難点があるとすれば、ダメージを受けて襷が割れたあとの突破力の足りなさから、相手の展開起点になってしまう問題です。
これはマンムーが早期に交代するか相手に落としてもらって後続のポケモンで上手く対応するしかありません。そのため、対面構築と呼ばれるPT構築に採用されることが多い型です。
②AD基調氷Z型
ステータス:187(12)-200(252)-101(4)-*-102(172)-109(68)
特性/持ち物:厚い脂肪/氷Z
技:地震/氷柱落とし/氷の礫/地割れ
この氷Z氷柱落としによって、212-169-109のテンプレ調整のカバルドンを確定1発で沈めることができます。氷タイプに無効タイプが無いことと、地面タイプの一致地震の圧力から浮いたポケモンに交代してきた相手へ最大の火力で負荷を与える型です。また、相手がポリゴン2などの数値受けを出してきた時のために、B<Dのポリゴン2ダウンロード対策調整と、地割れの採用で隙のない突破範囲を意識しています。
この型のマンムーを数回のサイクル戦で場に出すだけで、相手への負荷は非常に大きくなると見込めます。
③AC珠フリーズドライ型
ステータス:185-198(236)-100-122(252)-80-92(20)
特性/持ち物:厚い脂肪/命の珠
技:地震/フリーズドライ/氷の礫/身代わり
命の珠の火力補正によって、地震でギルガルドなどの多くの高耐久ポケモンが1発撃破圏内に入ります。命の珠の良いところは、氷の礫などの先制技やフリーズドライなどの特徴的な効果の技を物理・特殊関係なく火力を上げられること。
カプ・コケコや霊獣ランドロスなどにこのマンムーを繰り出した場合、相手はカプ・レヒレやゲッコウガ、ギャラドスなどの水タイプに交代することが少なくありません。そうした場合に、リスクを取って読んだ地震を打つよりも安定して一貫させられるフリーズドライが有効です。耐久無振りゲッコウガやギャラドスを1発撃破圏内、H振りカプ・レヒレを2発撃破圏内です。
またフリーズドライは特殊技なため、威嚇や鬼火などによる物理火力の妨害を受けても有効なところが更に特徴的です。
身代わりはメタグロスとカプ・レヒレで後続の選択肢が分岐したときの安定した選択肢として用意しました。
以上のように、マンムーを如何に通すかを考えることで、USUMシングルバトルの構築がより組みやすくなるのではないかと考えました。
実際にPT構築をする際には
マンムー/ボーマンダ/ギルガルド/カプ・コケコ/テッカグヤ/スイクン
のような構成にして、マンムー+ボーマンダの圧力を主軸に置きながら、テッカグヤ+スイクンのように相手のマンムーへの交代先を2種置いて見かけ上の負荷を分散させるように組むと良いのではないでしょうか。
今回は技の性能とタイプ相性による考察を、地震と浮いているポケモンの対比からマンムーの可能性を提案しました。
このように、環境分析からの演繹的な思考でメタゲームを考えることは、ポケモン対戦をプレイする上で非常に重要です。
それでは、次回の考察でまたお会いしましょう!