bayamo.の新EP『Slow is Fast 』でメロウな世界と演奏技術に酔いしれる
マルチに楽器を操るLAのミュージシャンによるブレイクビーツとジャズの融合に、豊かな情景を感じることができます。
bayamo.はLAを拠点に活動するプロデューサーでマルチインストゥルメンタリストです。彼は、Thundercatやdimlite、Makaya McCraven等の素晴らしいアーティストが引き合いに出されるような、独学で熟練した才能ある演奏家です。
ドイツのベルリン、ケルンのJakarta Recordsで彼のデビューEP『Slow is Fast』がリリースされました。ブレイクビーツ、ジャズ、ファンク、ヒップホップ、エレクトロニカ等の多様な音楽ジャンルを取り入れ、ジャンルに縛られない、豊かでメロウなサウンドを生み出しました。彼は、このアイディアを完成させるのに自身のスタジオで多大な時間を費やしています。
今作の『Slow is Fast』(遅いは速い)という矛盾を感じるタイトルですが、彼の有機的なサウンドは、ゆったりとしたチルなムードでありながら、あっという間に聴けてしまうでしょう。オープニングの「First Light」からジャズの影響を感じる熱狂的なグルーブに引き込まれます。また、注目すべきトラック「Tailwind」は光が差し込むようなシンセサイザーから始まった後に、彼の巧みなギターの技術が感じられます。朝の寝起きの微睡みの中、ベッドで聞きたくなるような「Morning on Laurel Canyon」では、60年代〜70年代にかけて生み出されたウェスト・コーストロックの聖地、ローレル・キャニオンに敬意を示します。キラキラとしたシンセサイザーの音が印象的な「Honey」は、浮遊感のあるメロディが美しく、恋に落ちたばかりの若い恋人たちを連想します。最後を締めくくる煌びやかな「detach」の情緒的なサウンドに、抜け出せない甘い夢に深く落ちていくようです。この8曲のトラックが収録された本作は、目を瞑るとサウンドスケープが広がっていきます。まるで彼の何気ないある日の休日を撮ったショートムービーでも観ているような気持ちになります。
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