秋田・山形大雨災害~小規模河川の氾濫~
一昨日(2024/7/24)から大雨となった秋田県・山形県では、直轄河川である子吉川やその支流石沢川(秋田県)、最上川(山形県)とその支流など、大規模な河川で越水・破堤による氾濫が発生しました。
私は関東にいるわけですが、関東は梅雨明け直後の猛暑が酷いもので、東北でこのような大雨となる予報となっていたことをまったく知り得ておらず、朝のニュースを見て驚きました。
大河川の氾濫
子吉川や最上川は、名の知れた河川で、すなわち流量の大きい河川であり、まだ全容がよくわかっていないものの氾濫の影響は非常に大きなものになりそうです。どちらも歴史的にたびたび氾濫を引き起こしてきた河川で、治水対策としての河川整備が実施されてきているところですが、今回の雨では流域内の観測点で24時間雨量が観測史上最大となっており、流下能力を超えた大雨となってしまったものと推察します(今後、この雨の検証と治水対策の見直しが進められるでしょう)。
小河川の氾濫
大規模な河川の氾濫が取り上げられる一方で、当然ながら小規模な河川の氾濫も複数発生しています。
たとえば、秋田県にかほ市の仁賀保駅周辺ですが、駅西側の大沢川と、東側の琴浦川に囲まれた範囲では浸水害が発生していました。下図は国立研究開発法人防災科学技術研究所 水・土砂研究部門より、令和6年7月24日からの大雨の被害状況をまとめたサイトより引用したものです。
(URL: https://mizu.bosai.go.jp/key/20240724)
そのほか、山形県酒田市内の河川による浸水害の状況についても、上記防災科技研HP内で速報的に報告されています。
五反沢川(上小阿仁合村)の氾濫
さて、私は秋田県上小阿仁合村の五反沢川(米代川水系、支流阿仁川の支流小阿仁川の支流)に着目します。五反沢川の氾濫の様子は、ABS秋田放送の空撮動画により確認することができました。
上小阿仁合村では、隣接する五城目町とともに、7/25 21:50に120mm以上の時間雨量が発生したとして、記録的短時間大雨情報が発表されていました。このときすでに子吉川では複数箇所で氾濫が発生していたので、秋田県は北から南まで大変なことになっているという思いで注目をしていました。
水位変化
近隣河川の水位の様子を見ていると、急激な水位上昇が発生しており、こちらもどこかで氾濫が発生するか?と思っていました。下図は五反沢川ではありませんが、近隣河川の阿仁川の米内沢地点の水位変化です。7/25夜から急激な水位上昇が発生していることがわかります。
比較として、最上川の古口地点の水位変化図を示します。古口地点は最上川と鮭川の合流点下流です。
大規模な河川は、洪水到達まで少し時間がかかり、やや緩やかに水位が上昇し、緩やかに低減する一方で、小河川は水位変化は急激なものになっています。これは私たち一般市民もよく理解しておくべきことで、大河川には雨が止んでからもしばらくは近づいてはいけないということであるし、小河川には大雨とともにすぐに増水することから速やかに川から離れる必要があるということになるかと思います。
氾濫の様子
YouTubeにアップロードされた動画から、氾濫の様子を少し整理してみたいと思います。五反沢川の位置を下図に示しました。五反沢川は下図の上流側に約40㎢の集水面積を持っています。集落は下図の範囲に集中しています。
氾濫が発生したのは、川が大きく蛇行している箇所で、右岸側の堤防が破堤した様子です。破堤した箇所からは濁水が流出し、広く水田を覆っています。その一方で、水田の中に点在する建物は微高地となっており、動画撮影時点では水没はしていないように見受けられました。微高地として造成されており、水害対策が功を奏したように見えます。
子吉川や最上川の氾濫の様子と比べて特徴的なのは、ここでは破堤地点から明らかに土砂が流出・堆積している様子が認められることです。五反沢川は山地との距離が近い河川であり、大雨で少なからず土砂の崩壊が発生しており、生産された土砂が流下してきていることが推定されます。
現状では五反沢川の氾濫に対して、土砂生産がどのように影響したのか、河床上昇が氾濫の要因になったかなどはわかりませんが、流域治水を考えていくうえで、水の影響と、土砂の影響のそれぞれの対策が必要となってくるものと思います。今後、調査が進められていくと思われるので、注視してみようと考えているところです。
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