映画紹介「クロコダイルダンディー」
大学4年生になった。正直仕事なんてしたくない。
自然に囲まれた田舎でのほほんと暮らしたい。 昼からビールを飲みながら好きな本を読みたい。心地よい風が吹く木陰でまどろみたい。 お金も最低限あればいい。 欲はなく決して怒らず、いつも静かに笑っていたい。
しかし、現実はそうはいかない。 働かざる者食うべからず。仕事はしなくちゃいけない。
「働きたくない」「働かなきゃいけない」
この二つの相反する欲望と現実に対して、前者を心の奥底に押し込んで、後者に“やりがい”という言い訳をちらつかせながら折り合いをつけていくのが、「大人」になるということなのかもしれない。
岡山駅を行き交う人々の表情はどこか冴えない。“心”を“亡くす”と書いて「忙しい」とはよく言ったものだが、僕たちは本当になにか大切なものを亡くしてしまったのかもしれない。
暗い話になってしまった。コメディ映画を紹介する。
「クロコダイルダンディー」は、1986年公開のオーストラリア映画。 オーストラリアの奥地で生活している“クロコダイルダンディー”ことマイケル・ダンディー(ポール・ホーガン)が、はじめてのニューヨークで巻き起こす騒動をえがいている。 彼をニューヨークに誘う女性新聞記者のスー(リンダ・コズラウスキー)との恋愛模様も実にほほえましい。
マイケルの都会の常識に染まっていない自由な行動に、僕たちは思わずにやけてしまう。それと同時に、彼は僕たちが亡くしてしまったなにかを気づかせてくれるかもしれない。