見出し画像

チェアリングをしてみよう

ずっと前からやりたいことがある。


────ここから読み飛ばしてOK────

タスク管理のwebサービスを新しく導入するたびに、おれは毎回GTDに挑戦して、そして続かずに失敗している。今はDiscordでタスク管理を行っているが、GoogleKeepやTrello、Evernoteを使っている時もあった。
GTDのフローでは最初に、「その時自分の脳内を占めているやりたいこと・やらなくてはいけないことを全て書き出す」というのを行う。
頭の中を一度整理することで、改めて今一番自分がやらなくてはいけないタスクを明らかにするというやり方だが、このフローでは「海外旅行に行きたい」のような、今すぐに実現するには金銭的にも時間的にも不可能な、何なら自分の中でも優先度はかなり低いタスクも同時に書き出すことが推奨されている。
最初に頑張ってやりたいことをすべて出し、本当に頭の中を真っ白にすることが重要だからだ。
そのあとは書き出したタスクを全て「すぐやること」「すぐにはやらんこと」「やるのに計画がいること」「いつかやりたいこと」に分類して、すぐやることのタスクを一つずつ処理していく……みたいなフローだったと記憶している。
そのタスクの分類と、すぐやることのタスクへ集中する際、毎回同じところで失敗している。

画像1

失敗したところで死なないのでそれはいいのだが、それが何度も続くとどうなるかというと、膨大な「いつかやりたいこと」のリストだけが無限に残る。
画像は2年くらい前に残したリストだが、タスクの分類自体を何なら間違えているように思う。観たい映画や読みたい本があるならタスクの分類してる時間でさっさとコンテンツを摂取しろよカスがよ

しかし言うてもこれらはおれの中から出てきたタスクたちである。時が経ったことでさすがに今はもういいかなというタスクもあるが、数年ごしにずっとやりたいと思っていたこともここには紛れていた。
タスク管理に使っているDiscordのやりたいことチャンネルにも日々やってみたいことが追加されていく。これらを今までと同じように風化させないためにはどんどんやっていくしかない。
今日がその第一歩である。


────ここまで読み飛ばしてOK────



チェアリングして〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



鷺ノ宮「おうまさん、チェアリングしよ」
おうまさん「いいよ」



ということではじめてチェアリングに行った。


チェアリングの生みの親たちがチェアリングの説明をしてくれている記事。これを読むととりあえずさっき貼ったツイートの写真が転載であることがわかる。画像が荒ければいいのか
公言してないけど実はおれはパリッコさんとスズキナオさんのファンで、御二方の記事を読んで中野の飲み屋に1人で行ったり西成へ飲みに行ったりしている。街歩きと酒呑みの心の師匠だ。

そしてこういうのは記事の通り気の合う友達と行くべきだろう。おうまさんとは去年知り合ってから何度も飲みに行く仲で、ゆるキャン△のブームとかもありキャンプも行ったりするやつなので、アウトドア的な楽しみもわかるピッタリの友人と判断した。なんなら前日も練馬で飲んでいた。



ということで当日、とりあえず池袋に12時集合。ドンキで椅子を買うところからはじめてみよう。郷に入っては郷に従えの精神で、しっかりと安い椅子をキープする所存だ。

画像2

そうしてアウトドア用品売場の端で爆安の椅子を発見。というかこれ以外にアウトドア椅子が売っていなさそう。値段は999円のものと1290円のものがあり、寸法はほぼ変わらないが1290円のもののほうが心なしか重さが軽い。
店飲みならいざしらず、これが外飲みとなると290円の差イコール、酒換算で二杯以上変わってくるだろう。少し迷ったが安い方を購入することにした。ちなみにおうまさんは1290円のほうを買っていた。

画像3

耐荷重80kgの文字に一抹の不安を覚える二人。おうまさんは97kg、鷺ノ宮もしっかり83kgある。現代社会が生み出したクソデブモンスターたちだ。他に選択肢がないのでどうにもならないが、これで椅子ぶっ壊れたらウケるねと笑いながら会計を済ます。

画像4

おうまさんがサーモスの缶を冷やすやつに興味を示したため、ドンキのちハンズへ。缶ごと冷やせるタンブラーで、ちょっと高いものを買えばフタが付けられるようになっている。おうまさんは普通のキャンプにも持っていけるとそのちょっと高いやつを欲しがっていたが普通に在庫がなかったので諦めた。

画像5

画像6

度を越したクソデブの二人、かつうち一人は収入のない無職なので、ガッツリ食べたい&金銭的に得をしたいと考えたら昼飯は当然シェーキーズの食べ放題一択だ。何に気兼ねすることもなくハチャメチャな量のピザを腹へと収納していく。なぜなら今日はこれから最高の休日が待っているのだから……

画像7

夏空〜


画像8

そうしてやってきたのは石神井公園駅だ。チェアリングの先達たちが皆水辺へと向かっていたので、水のあるところがいいよねということになった。石神井公園は池を囲む形で作られた自然公園なので、座るスポットにも事欠かないであろう。かなりチェアリング初心者向けの場所と言える。


オタク


画像9

ちなみに本日のデッキ。左の二本がおれで、焼酎を買ったのは途中の自販機で割り材を無限に買ったら最高だと思ったから。おれに合わせる形でブラックニッカを買うおうまさん。このとき、これを止めていれば………


そうしてだらだらと歩きながら公園に到着。流石に真夏日だけあって汗ダラダラ、そこらじゅうでセミが爆音で鳴いていてダンスフロアは超満員。日陰に入ったとて大して涼しくもないが、とりあえず往来する人々の邪魔にならない位置に椅子を設置。


画像10

バキって行ったらこえ〜〜〜〜〜〜

画像11

こえ〜〜〜〜〜〜〜

画像12

大丈夫でした


画像13

椅子に座ってチューハイを開けた瞬間、完全に夏のすべてを手に入れた。
小さい頃、夏になるたび毎年キャンプに行っていたときの懐かしさと、それから今年の夏の思い出……福岡のミリオン6th、ナナシスの5th、Roseliaの単独、C96の一日目と三日目と桃井はるこ単独、シャニのサマパ、神戸の音セス……それらの総括としてカチッとハマった感覚があった。

画像14

おうまさんは隣で、おれが夏コミで買ったハロハピの二次創作小説を読んでいる(皆月蒼葉さんの『ハロー、アゲイン。ハッピーワールド。』です)。サイコーにチルだ。暑いけど。


このスポットでわかったこと
夏の公園は虫がメチャメチャ来るので虫除けかかゆみ止めは必須。とくに蚊は入れ食いフィーバータイムで全身刺される。横着しないで長ズボンのほうがいい
・椅子についてる缶入れるポケットはマジで優秀。これがあるのとないのとじゃ全く違う。椅子を買うときの重要ポイント
・折りたたみ式のローテーブルはあるとかなり神だが、食べ物は置けるけど荷物が置けない。この日は天候次第では作業するために二人ともiPadを持ってきてたけどクソ邪魔だったので、地面に直置きしても大丈夫なバッグで来るか荷物は最小にするほうがいい
・何ならBGM流そうかなと思って夏の曲のプレイリストを持ってきたけど、全く必要なし。セミの大合唱を聴きながら空眺めてるだけで足りる
・つまみも多くいらないし、なんなら酒もいらないような気がしてくる。実際350ml缶が全然減らずに二時間くらいここにいた


往来の邪魔にもならず天気も良いからずっとここにいても良かったけど、せっかくのチェアリングだしと思い酒がなくなったところで移動してみることに。自販機があれば焼酎が無限に飲めるので、文明のありそうな方向を目指す。

結局自販機を探して公園の反対方向まで歩いていたらコンビニへたどり着いたので、割材ついでに水をしっかり購入。おうまさんは味がちょっとついた炭酸水と氷入りのカップを買いハイボールをバリバリ作るモードに突入していた。

また公園に戻り、来た方向とは逆の方へ足を進める。途中ふつうに売店らしきものがあったが逆サイドのコンビニへ行った徒労を思い出してしまうので寄らない。今日は負けを認めないスタイル。


画像15

そうしてたどり着いたこの場所、水面のすぐそばへ椅子を設置したら視界一面が池で、鴨が目の前を泳ぐのを観ながら夕陽がゆっくりと沈んでいく時。何もしない時間、完全に理想の老後の楽しみを手に入れてしまった。このまま急に70歳とかになっても問題ない。むしろいまこれを楽しんだら、おれは老後になにすればいいんだ?

立ち寄ったコンビニで買っておいたシャボン玉、ほんとうに良かった。風向きで変な方に飛んだりして、最後の夏の一日として最高の瞬間が訪れていたなと思う。

が、結局気の合う二人なので夕暮れもそこそこにクソみてえな下ネタを言い合ったりしていて、目の前の景色だけを楽しむという境地には至れなかったように感じる。そこそこ酒の入りも早い。つーかおうまさんが自家製のハイボールをガブガブと飲んでいる。
この位置は池の方向に向かって微妙に傾いていて、自分やゴミとかが池に落ちないようかなり気をつけていたが、おうまさんが立ち上がる際にバランスを少し崩してカップを傾け、椅子を濡らしてしまう。
言うてポリエステルなので大丈夫だろと思っていたら、なんか椅子を持ち上げて縦に振りはじめるおうまさん。元の位置に戻ってきて組み立て直すと、なんだか建てつけの悪い箇所がある。
こっちにハメるんちゃう?いやこっちじゃね?とか言いながらあっちこっちに引っ張っているうちに、
ポキッと。

……折れた箇所はよく見ると片側にグッと凹んでいたので、多分耐荷重をオーバーしていたのが直接の原因だと思う。振り回すことでそれに引導を渡してしまった。


まあでもこれでよかった気がする。チェアリングの椅子は結構デカくてかさばるし荷物も邪魔だ。景色観ながらチルするのに、本当は椅子も酒もいらないのだ。あってもいいのは気の知れた友人とシャボン玉くらいだ。
ちなみにこのあとも真っ暗になるまでここで飲んでいたらおうまさんが座りながら寝始めたので、起こして大泉学園のほうのバス停で解散して西荻へ帰りました。


結果:チェアリングすると、なんやかんや楽しい


チェアリングは、たぶんアウトドアの「最小単位」だ。最低限の椅子を用意することで、外に出る理由と外に居続ける理由を作ることができる。実際、行ってみて自分の中のキャンプ行きたいな〜という欲がかなり治まったのを感じた。

チェアリングという枠組み自体が絶妙なところにある。欲求で言ったらもっと高層ビルのふもととか広場とかでも座って飲んでみたいが、そうなってくると往来が多かったり迷惑行為になるかもしれないし、椅子なしで飲んでいる人も多い。誰もいない自然を楽しみたいとかになるとそれはキャンプ行った方がいいですよということになる。酒呑み発祥の文化だからレジャーとして100%認められてはいないし、ロケーションとシチュエーションに左右されるから一人でやって楽しめるかどうかも難しい。そういった様々な諸々を全部まとめて一言で「チェアリング」と総括されている。
実際に自分で行ってみて、誰彼構わずやってみてねと言うつもりはなくなった。ただこういう遊びがあって、興味があったらやってみてという話をするときに名前があることがとにかくありがたい。検索すると出てくることも。

自分の周りでも酒は飲みませんが…という人が増えているので、ちょっとしたアウトドアという方向で広がっていったほうが面白いかもな、と思った。



こうして2019年の夏は
ほとんどの人々にとっていつもの夏と同じように当たり前に過ぎて行った…


おうまさんへ

眠くなるまで酒を飲まないでください

鷺ノ宮より



(おわりです)

サポートしていただけると、ありがたい気持ちでブックオフに行くことができます