FULL-OPTION EDH ルール説明
日本国民が人生で必ず一度はプレイしたことのあるカードゲームと言えば……?
そう、大富豪/大貧民ですね。
ところでこのトランプゲームには、様々なオプションルールが存在します。
呼び名さえ複数あるこのゲームには、地域ごとのローカルルールが多数あり、デジタルゲームでプレイする場合でも、プレイヤーが自由にルールを採択できるよう、オプション画面ではかなり細かくルールが決められるようになっています。
言うなればこれは大富豪/大貧民というゲームに、高い自由度があるということの証明でもありますね。
そしてこのルール設定機能は本来、プレイヤー間での共通認識を取りまとめるもの、ストレスを軽減するためにあるものなので、「やったことのないルールで遊んでみよう」ということにはならないはずです。
でも、もし……全てのオプションルールをオンにして……
大富豪/大貧民と同じくらい……自由度の高いゲームで……
普段やらない特殊なルールを全部同時に行うとしたら……
……どうなってしまうんだ!?
■基本ルール
統率者戦のルールを用います。
初期ライフやデッキ構築や禁止カードに関するルールは、後述するオプションルールで変化する部分以外は一般的な統率者戦に準拠します。
プレイヤー人数は4人で遊ぶのがいいでしょう。
■構築段階でのオプションルール
・プロキシ使用可能
実物のカードではない、プロキシカードの使用を許可します。表面では何のカードかわかるようにし、デッキ構築時には必ずスリーブ等を用いて、他のカードと区別できないようにしてください。
印刷用のデータを作るときはプロキシカードメーカーがなんやかんやで楽。作成したpdfをネットワークプリント経由でファミマとかで印刷するとよいでしょう。
・銀枠使用可能
アンシリーズ、銀枠のカードの使用を許可します。
6面ダイスやステッカーなどの外部アイテムを用いる場合はなるべく自前で用意するのがよいでしょう。
https://lotuspetal.diarynote.jp/201712021524541208/
↑2017年のアンステーブル発売当時、期間限定でEDHフォーラムが銀枠使用可能ルールを提言していたときの使用禁止リストです。
ですが期間限定でのルールということもあり、明らかに精査されたものではなく、元の海外ページのURLもう死んでるし、なんか適当でいいでしょう。
・デジタルゲーム専用カード使用可能
MTGArena等のデジタルゲーム内でのみデザインされたカードも使用可能です。印刷機等を用いてプロキシカードを作ってください。
ランダムを用いるもの、永続的な効果を強いるものに関しては、カードを使う側がゲーム内と同じ処理ができるような何らかの措置を用意してください。MTGArenaにおける「抽出/探す」のような挙動は本来、対戦相手に非公開の情報として処理しますが、ライブラリートップから当てはまるカードが公開されるまで1枚ずつ公開していき、それまでに公開したカードはライブラリーに戻してシャッフルする、のような挙動になるでしょう。
……挙動テスト用のカード、《Library of Congress》は使用禁止にします。なんでこんなこと書かなきゃいけないんだ……《大会常連、スパイク》で持ってくるのもだめ!
・ヴァンガード使用可能
ゲーム開始前、マリガン開始前の段階でヴァンガード・カードをオープンし、統率者領域に置きます。
ヴァンガードにはそれぞれ「手札補正子」と「ライフ補正子」が設定されており、初期手札の枚数や初期ライフに影響を与えます。それらの値による増減を行ってからゲームを開始します。
能力を持ったヴァンガードはゲーム中、それぞれの能力を発揮します。効果内でランダムを用いるものは、無作為であることを他のプレイヤーにわかるようにしてください。
Magic Onlineでのみ配布されたヴァンガードも使用可能とします。カードの印刷は各自で行ってください。
……ただし《Momir Vig, Simic Visionary Avatar》を使うのは、ランダムの再現ができないので、Kamirのシステムが用意できるときのみ可能とします。
strmさんの頑張りにすべてがかかっている
……《Jhoira of the Ghitu Avatar》もstrmさんがシステムを用意してくれるまではだめ!《Stonehewer Giant Avatar》もだよ!
結構な種類があるけど頑張って探してね。
・英雄/英雄アーティファクト使用可能
ゲーム開始前に、英雄カードを最大3枚まで、自分の場に置いた状態でゲームを始めることができます。
英雄カードはヴァンガードとは異なり、統率者領域ではなくパーマネントとして場に置き、効果を発揮します。
また英雄・アーティファクトを用いる場合は、ニクスへの旅プレリリースでの「神殺しを鍛えよ/Forge a Godslayer」クエストに則り、追加効果のテキストを得ることができます。プロキシで構わないので、テキスト欄に追加効果を記入するとよいでしょう。
詳しくはwikiをよんでね。
■ゲームプレイ時のルール:各プレイヤーの追加行動
・アーチエネミー/魔界大決戦
計略カードを集めた「計略デッキ」をひとつ用意し、シャッフルして場に置きます。
各プレイヤーの第1メインフェイズの開始時に、計略デッキの一番上を表にし、ターンプレイヤーがその効果を得ます。持続効果でない計略カードの誘発型能力の解決が終わるか、またはターン終了時に表にしていた計略カードをデッキの一番下に置きます。
(本来の「魔界大決戦」は各自が計略デッキを組んで持ってくるルールですが、流石に大変だと思うので、現在全70種の計略カードを1枚ずつ用意した共有計略デッキを使います)
・Explorer of Ixalan
ゲーム開始前にマップ・タイルを並べて、マップを作ります。プレイヤーは自分の「斥候マーカー」を1つ持った状態でゲームを始めます。
各プレイヤーは自分のターンに1回、ソーサリー・タイミングで「discover」を宣言し、1マナからのマナコストを払うことで、マップの外側のタイルから1枚を表にし、そこに書かれている効果を得ることができます。
タイルは全部で三種類が存在します。
イベントタイル:めくれた時点で効果が発動する。打ち消しはできないが、スタックは積むことができる。解決後、ゲームから除外する。
クエストタイル:めくれたら自分の場に公開しておき、達成条件が満たされたら効果を解決してから、ゲームから除外する。
サイトタイル:めくれたら自分の場に公開しておき、そのゲーム中ずっと効果が発動します。サイトタイルを持っているプレイヤーに戦闘ダメージを与えたプレイヤーは、そのプレイヤーの持っているサイトタイルを1枚奪うことができます(Conquer/征服ルール)。
discoverを行って、より低額のタイルが隣接していない場合のみ、3コスト・6コストのタイルをdiscoverで選ぶことができます。そのターンに新たにdiscoverできるようになった、より高額のタイルひとつに、斥候マーカーを置いておくことができます。
斥候マーカーが置かれたタイルはdiscoverで選ぶことができません。自分の置いた斥候マーカーは、次の自分のターンの開始時にタイルの上から取り除きます。
(要するに、急に3コスト以上のdiscoverはできない/自分で辿り着いた3コストのタイルは急に対戦相手にdiscoverされない、という意味です)
・プレインチェイス/単一次元デッキルール
ゲーム開始前に次元カードを集めた「公共次元デッキ」を用意し、シャッフルして場に置きます。
ゲーム開始時、最初のプレイヤーのターンの開始前に、次元デッキの一番上のカードを表にします。プレイヤーは自分のターンの間、次元カードのコントロールを得ます。
各プレイヤーは自分のターン中、ソーサリー・タイミングで次元ダイスを振ることができます。プレイヤーはコストとして、そのターン中に次元ダイスを振った回数と等しいマナを支払います。
(ターン中1回めのダイスは0マナ、2回めは1マナかかるということです)
出目が無の場合:何も起きません。
出目がカオス・シンボルの場合:表になっている次元カードの「あなたがカオスシンボルを出した時〜」という効果が誘発し、スタックに置かれます。
出目がプレインズウォーカー・シンボルの場合:表になっている次元カードを次元デッキの一番下に戻して、次元デッキの一番上のカードを表にします。
(本来の「プレインチェイス戦」は各自が現象カードを含めた次元デッキを組んで持ってくるルールですが、流石に大変だと思うので、現在全74種の次元カードを1枚ずつ用意した公共次元デッキを使います)
■NPCプレイヤー
特殊カードを使って自動的に攻撃してくるNPCを追加します。
・チャレンジ・デッキ① ハイドラとの対峙
ハイドラのチャレンジデッキから、《ハイドラの頭》を2〜4枚出した状態でゲームを開始します。
各プレイヤーのターンが一周した後、ハイドラのターンを行います。
ハイドラのターン開始時、ハイドラの頭をすべてアンタップします。
ハイドラのライブラリーの一番上のカードを公開し、唱えます。
ハイドラは各プレイヤーに、ハイドラがコントロールするアンタップ状態の頭1体につき1点、精鋭の頭1体につき2点のダメージを与えます。
各プレイヤーは、ハイドラのコントロールする頭・クリーチャーを直接攻撃できます。1体の頭・クリーチャーを複数のクリーチャーで攻撃することもできます。
致死ダメージを負った頭は破壊され、ハイドラの墓地に置かれます。
頭・カードはすべて、戦場を離れた時に誘発する能力(英雄の報酬)を持っています。
頭・カードが1つ戦場を離れるたびに、ハイドラのライブラリーの上から2枚を公開し、その中のすべての頭・カードを戦場に出します。
ハイドラ自身にダメージを与える、またはライフを失う場合、代わりにその点数分のダメージを場に出ているハイドラの頭に与えます。
ハイドラにカードを引かせたり捨てさせたり、その他実行不可能な行動を引き起こす効果は無視します。
頭が墓地以外の領域に移動する場合、代わりにハイドラの墓地に置きます。
ハイドラの頭が全てなくなった場合、ハイドラの敗北となります。
・チャレンジデッキ② 大群との戦い
各プレイヤーのターンが一周した後、大群のターンを行います。
大群のターン開始時、大群のライブラリーの一番上から2枚のカードを公開し、それらを唱えます。
大群のクリーチャーがどのプレイヤーをアタックするかは、卓によって決めていいと思いますが、一番ライフの多いプレイヤーへアタックするルールがいいんじゃないかと思います。
大群がライフを失う場合、代わりに大群のライブラリーの一番上からその点数に等しい枚数のカードを大群の墓地に置きます。
大群にカードを引かせたり捨てさせたり、その他実行不可能な行動を引き起こす効果は無視します。
大群のクリーチャーが墓地以外の領域に移動する場合、代わりに大群の墓地に置きます。
大群のライブラリーの枚数が0枚であり、かつ、大群がクリーチャーをコントロールしていない場合、大群の敗北となります。
・チャレンジデッキ③ 神を討て
ゼナゴスのチャレンジデッキから、《覚醒したゼナゴス》1枚と、《お祭り騒ぎの群れ》2枚を戦場に出した状態でゲームを始めます。
各プレイヤーのターンが一周した後、ゼナゴスのターンを行います。
ゼナゴスのターン開始時、ゼナゴスのライブラリーの一番上から2枚のカードを公開し、それらを唱えます。
ゼナゴスのクリーチャーは、呪文や能力によって強制されない限り攻撃しません。
各プレイヤーはゼナゴスのコントロールするクリーチャーを直接攻撃できます。1体のクリーチャーを複数のクリーチャーで攻撃することもできます。
《覚醒したゼナゴス》が戦場を離れたとき、ゼナゴスの敗北になります。
・屠殺者ガラク
各プレイヤーのターンが一周した後、ガラクのターンを行います。
ガラクは自分のターンに一度、忠誠度能力をひとつ選んで起動できます。
ガラクがどの能力をどの対象に起動するか、ガラクのコントロールするクリーチャーがどこに攻撃するかは、誰かが選ばなければなりませんが……無作為に決めるか、一番ライフや手札の多いプレイヤーを対象に取るようにするとよいのではないでしょうか。
ガラクはプレインズウォーカーなので、攻撃対象に選ぶことができます。プレイヤーへのダメージ/ライフロスを忠誠度カウンターの現象に置換するか、破壊/追放/バウンスなど場から離れさせる効果を適用するかどうか等はプレイしてみて決めます。
■ローカルルール
その他細かいローカルなルールをオンにするのもよいでしょう。ここではひとまずロン・フォスターが公式で紹介してたEDH向けの特殊ルールから、オンにしておきたいルールを書いておきます。
・常時統治者
ゲーム中、最初に戦闘ダメージを与えたプレイヤーは統治者になります。
その後は統治者のマーカーを用いてゲームを進行します。
前述したNPCたちに統治者を奪われた場合、ターン中にめくる枚数を多くするか等のルールは卓によって決めてください。
・フリー《放浪者の小枝》
各プレイヤーは自分のターンに、ゲーム中1回のみ、ソーサリー・タイミングで1マナ支払うことで、ライブラリーから基本土地を1枚探し、手札に加えることができます。
(このフォーマットはゲーム中に意味不明な処理が大量にあり、ゲームのやり直しがめっちゃ大変だと思うので、こういった事故防止策は色々採用したいですね)
・OSEDHの事故防止オプション
素敵ですね。採用しましょう。
その他マリガン選択など、こういうローカルルールがあるぜというご連絡、お待ちしております。全部載せましょう。
■未来へ……
多くのマジック・プレイヤーの持つ能力……勝利への道筋を探し尽くすアンテナを持つものであれば、ヴァンガードなどを最大限利用して高速でコンボを決めるルートを取るでしょう。赤黒のデッキしか組めない鷺ノ宮も、地球人代表として宇宙から攻めてきたEDH星人と同じ卓につくなら、ログテヴェを握って地球を護ります。
言うまでもないですが、このルールは「そういうのじゃない」です。なんていうか……いつも行く店でまだ頼んだことのないメニューを一通り頼んでみるとか……明日集まる卓のレベルが低いと聞いたら喜々として使ったこと無いアンコモンのジェネラルを取り出して1からデッキを作り始めるとか……そういう人向けの遊びであることを一応断っておきます。
往こう、誰もまだ見たことのない景色へ───。
(おわりです)
追伸:写真は荻窪二郎 小豚野菜マシ味玉です
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