Google Payによる交通系非接触改札(オープンループ)においてロック解除、アプリ起動の必要がなくなる
ApplePayにおいてはエクスプレスカードとしてクレジットカード(海外のみ)あるいは交通系ICカードの登録を済ませておけば、スマートフォンをかざすだけで改札を通過できるようになっていたのですが、Google Payにはそれと同等の機能はこれまでありませんでした。日本を除いては。
しかしこのたび、各国のタッチ決済によるオープンループ技術の提供を行っているCubic Transportation SystemsとGoogleが契約を締結したことにより、各国の交通系ICカードのGoogle Payへの取り込みが可能になる見込みとなりました。
現段階ではどのカードが対応するのかは明らかになっていませんが、Cubicはこれまでニューヨーク、バンクーバー、シドニー、サンディエゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコのプロジェクトに参加していることから、最終的にはこれらの場所で使用されているICカードが利用できるものと予想されています。
これにより3つの利点があると考えられています。
1.ICカードのみ可能であった特別な料金体系が使えるようになる
タッチ決済による改札の通過は利便性が高いものの、あくまでもクレジットカードの決済機能を利用しただけものであるため高度な料金体系の利用が難しいという側面がありました。もちろんソフトウェア的にそれを実現することは不可能ではありませんがそれをしようとすると時間がかかりすぎ迅速な改札利用という面では実用に耐えないという状況が見られました。事実、ロンドン交通局では1種類の料金体系しか採用されていません。しかしICカードをそのまま移植するような形になればそれらの問題は解決します。定期や子供料金などにも対応できます。
2.モバイルICカードに対する管理が容易になる
これまでは物理ICカードのチャージなどは駅などに出かけて行って行う必要がありましたが、完全にモバイル化されるとそれとクレジットカードとの紐づけすることなどにより家に居ながらにしてチャージができます。
3.クレジットカードや銀行口座を持てない人にも対応できる
オープンループによるクレジットカードやデビットカードを使用した非接触改札の仕組みはとても便利なものですが、一方でクレジットカードやデビットカードを持てない人をどのようにカバーするのかが課題でした。しかしモバイルICカードを端末に取り込めるのであれば、あらゆるひとがスマートフォンで改札を通過することができるようになります。
とまあ、発表からはこのようなことがわかったのですが個人的な疑問について。
ApplePayではエクスプレスカードとして決済カードと交通カードの2種類の登録ができますが、今回のGoogle Payでも同じようになるのか。それとも交通系カードの登録だけなのかがわからない。あとどのくらいの処理時間が必要になるのかという点。実は処理速度でいうと例えばシドニーのOpal cardが採用しているMiFare DESFire EV1はFeliCaと同等のスピードであるといわれています。もっとも処理速度だけで物事は語れるものではなく、それを可能にする支援設備やプログラムが必要かどうかでも決まるでしょう。