シーラカンス
昨日、水族館で働いている夢を見た。
自分はコミュ症で
その職場でかなり浮いてるような存在。
そんな場違いな自分に
大きな課題がのしかかってきた。
それは地方の水族館を
盛り上げるために搬入した
「シーラカンス」
の飼育係をする、というもの。
万が一にでも殺してしまったら
貴重生き物安全守る法
みたいなので裁かれて有罪になってしまう
とのことだった。
そんな重大任務
飼育員人生で初めてだったので
まずは家族にどうすれば良いか相談した。
職場では孤立してるので。
ネットで調べた情報をもとに
シーラカンスは温めることが
重要だということが分かったので
早速家で沸かした
お湯に浸しながら
これからの計画を立てることに。
何十分かしたあたりで
シーラカンスの様子を見に行っていた祖母が
やけに慌てふためきながら帰ってきた。
シーラカンスの息がない、と。
そんなはずはない。
ちゃんと温かいお湯に浸していたはずだし。
というか真水だったか?
やばい、しかもバケツだ。
こういう時ほど
粗がずんずん思い浮かんでくる。
自分が何もできずにいると
痺れを切らした祖母が
シーラカンスに何かを塗りたくり出した。
液状の片栗粉だ。
祖母は揚げるつもりなのだ。
死にかけのシーラカンスに何をすれば良い...?
人間だったら心臓マッサージと
人工呼吸と...電気ショック.....
この場合シーラカンスに
しなければならない適切な処置とは...
その時の自分は
祖母の応援をする
以外に意見は思いつかなかった。
とにかく片栗粉をべちゃべちゃ塗っては
揚げてを繰り返して
何とか形が硬くなったので
水族館に戻ることに。
できるだけ。
死んでないことを考えながら
展示エリアまで運んだ。
バケツからパリパリに
仕上がったシーラカンスを取り出し
水中に放つ。
ぽちゃん。
ズズズ....ズズズ......
ズン.......
シーラカンスが立てる波はなかった。
片栗粉なんか塗るからだ!
あのババア!
くそっ!!
クビだぁ.......
取り返しがつかないことやっちゃったよ......
地方の水族館を盛り上げるためのシーラカンス
俺、殺しちゃったよ.......
それから職員室みたいなのに入り
扉をノックし
「館長はいますか?」
と聞き一番最奥にいる
館長さんに事の顛末を説明した。
「あの、僕が飼育を
命じられたシーラカンスなんですけれども.....」
「うん」
「........殺してしまいました......」
「お前さ、マジで何なの?」
「すみません....(半泣き)」
自分のことのように飼育内容を一緒に
悩んでくれた母や祖母などの姿が
フラッシュバックし
胸の中に黒く渦巻くものを感じながら
めちゃくちゃスピーディーに泳ぐ
マンボウを眺めながら目が覚めた。
悲哀が凄かった。
クラス全員分の提出物を
無くした時の気持ちになった。
いつになっても
この気持ちにはなるもんなんだな。