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今さら聞けない印刷&デザイン用語その6 「ケヌキ合わせ」

こんにちは。アドパブリシティのタカヒロです。今回も、今さら聞けない印刷&デザイン用語シリーズの「け」から始まる言葉を4回に渡ってご紹介するシリーズ第2回になります!さっそくいきましょう!

[前回の記事はこちらから]

[ケヌキあわせ]

それで、トップの毛抜きはただの洒落なの?と思うかもしれませんが、実は裁縫用語にも同じワードがあります。

ケヌキあわせのお話をする前に、印刷には「ノックアウト」と「オーバープリント」という2つの方法があることについて説明したいと思います。まず「オーバープリント」は、カラー印刷で違う色を上から重ねて印刷することで、前面と背面の色が重ねて印刷されることをいいます。
たとえば下地に上からスミ(黒)を重ねる際、オーバープリントが適用されていないと上の色の形に合わせて下地が切り抜かれます。これを「ノックアウト」と言います。そのまま出力すると下地色と文字の間に紙の伸び縮みによりズレが生まれ、わずかに白い隙間が空いてしまうので、それを防ぐための機能で「ノセ」とも言われます。

スミ(K100%)以外のオーバープリントは、特殊なケースをのぞき使われません。基本はノックアウトで印刷することになります。しかし、そのままでは先ほど述べたように隙間ができてしまうので、「トラッピング」とよばれる、わざと上下の色同士の境界が少し重なる様にすることで、版ズレしても紙の色が出ないようにする機能を使います。
この「トラッピング」「ノックアウト」を日本語で言っているのが、今回のケヌキあわせなのです。ただし、印刷の現場ではこの2つの意味を混同して使われることがよくあります。

毛抜き2

一つ目の意味としては、ケヌキ(毛抜き)合わせとは、版ズレを防ぐための処理の一種で、データの色と色の境目を毛の太さくらい、ほんの少しだけ重ね合わせることで、ずれても紙の色が出てしまうことを防ぐことができる処理になります。トラッピングとのことですね。

・・・もう一つの意味は、明度差が大きい色同士の場合、逆にわずかな隙間を設け、色が重ならないようにすることもケヌキあわせと呼びます。こっちはノックアウト、またはヌケなどとも呼ばれたりします。

このように、「トラッピング」や、「ノックアウト」とよばれる処理と同意にされているので、調べてみると説明がまちまちになっています。

ちなみに裁縫用語では、縫い糸などを見えない様に隠すための「きせ」という部分を作る時に、縫い糸からきせまでの2枚の布をぴったり同じ長さにすることをこう呼びます。

毛抜き3

もちろんトラッピング=ケヌキ合わせ=ノックアウトというわけではないのですが、これはどっちが正しいというよりは、どっちも正しいと捉えた方がいいのかもしれません。印刷者やデータ制作者など目線の違い、時代の流れ、それぞれの環境でのワードの浸透具合、その他もろもろなど、色々な物事が絡み合っていった結果、こうなった・・・?といった感じなのかもしれません。

いかがでしたか?
今回は若干ふわふわした終わり方になってしまったかもしれないですが、それだけ色々なデザイナー達や色々な歴史を共に歩んできた、生き証人のような言葉だというのをしみじみと感じてみるのもいいかもしれませんね。

ただ、わからないときはどっちの意味かどうかはちゃんとしっかり確認をとりましょう。わからないときは相談する、ちゃんとしたコミュニケーションもいいお仕事の第1歩です。

次回は「け」からはじまる言葉第3弾!お楽しみに!