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年末・年始テレビ番組の視聴率をチェックしてみました

明けましておめでとうございます。アドパブリシティのRYUです。本年もよろしくお願いします。12月20日に先代社長が亡くなり、年末年始は大変慌ただしかったのですが、ようやくこうして記事をUPできるようになりました。新年最初の記事は、個人的に気になっていた「年末年始のテレビ番組の視聴率」について調べてみたいと思います。果たして、どの局のシェアが大きかったんでしょうか?

まずは大晦日を検証

さて、まずは大晦日から見てみましょう。例年最多の占有率を持つ「NHK紅白歌合戦」の視聴率は、第1部 (19:30~20:55)31.5%、第2部 (21:00~23:45)34.3%。合計では過去ワースト2、第2部だけでみると過去ワーストという結果でした。

司会者の顔ぶれも大幅刷新!した昨年の紅白歌合戦

例年「ワースト」と批判されている紅白ですが、個人的にはちょっと気の毒な気がします。通常テレビドラマやインターネット上のコンテンツは「特定の層に絞ったターティング」を行い、ターゲットに合う制作内容とすることで視聴率を上げるのですが・・・。
紅白歌合戦は子供からシニア・シルバー層までが視聴する「ターゲッティングが不可能な番組」です。時代に逆行する設定で制作せざるをえないのに未だ30%台の視聴率を挙げられるのですから、大健闘ではないでしょうか。
また、最近は「そもそもテレビを見ない」「テレビを持っていない」層が増えるなど、ターゲットの問題以外の「逆風」が増えているのも見逃せません。

紅白の裏番組はテレビ朝日が健闘

そして・・・大晦日で毎年話題になるのは「紅白の裏番組」です。結果から申し上げると、今年の「裏紅白」で最多の視聴率を挙げたのはテレビ朝日の『ザワつく!大晦日 一茂・良純・ちさ子の会』でした。

長島一茂さん、石原良純さん、高島ちさ子さん

いずれも、ちょっと友達になるのは難しそうな「濃い」方々ですが、第1部(18時~20時)の世帯視聴率が11.2%、第2部(20時~23時)の世帯視聴率が10.0%と2桁を記録しました。テレビ朝日が「裏紅白トップ」となった原因はいくつか考えられるのですが・・・。

日本テレビ「笑って年越し世代対決」

まず、いきなりネガティブな話になってしまいますが「日本テレビの自滅」が大きな要因でしょう。日本テレビが紅白の裏でオンエアした『笑って年越し!世代対決 昭和芸人vs平成・令和芸人』の世帯視聴率は第1部(17時~18時)が5.3%、第2部(18時~21時)が7.0%、第3部(21時~24時30分)が5.1%と低調でした。2年前までこの枠でオンエアしていた『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に笑ってはいけないシリーズ』を下回る視聴率であり、企画変更が裏目に出た結果となっています。

かつて紅白裏番組トップだった「ダウンタウン ガキの使いやあらへんで」

また、最近発表された2022年10月クール関東平均視聴率(2022年10月3日~2023年1月1日)では、テレビ朝日が個人全体・世帯視聴率共に3区分で1位を獲得する「3冠王」になりました。「そもそも今年後半は全体的にテレビ朝日が強かった」という背景もあり、視聴者が「いつも見るからテレビ朝日を見ていた」という可能性もありそうです。

視聴率12.1%を記録したテレビ朝日「M-1グランプリ2022」

テレビ朝日は『報道ステーション』をはじめとするプライム帯ニュースベルト番組のほか、『相棒season21』『ドクターX』などのドラマが好調。大型特番も『M-1グランプリ2022』(世帯視聴率12.1%)、『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2022』(同6.5%)、『池上彰のニュースそうだったのか年末SP』(同7.3%)、『アメトーク年末5時間半SP』(同7.2%)が軒並み好結果でした。そして!『FIFAワールドカップカタール大会 日本×コスタリカ戦』(11月27日)では世帯視聴率42.9%を記録しています。

正月三が日もテレビ朝日が首位

さて、大晦日に続いて元旦から3日までの「三が日」の結果を見ると・・・こちらもテレビ朝日がゴールデン枠(午後7~10時)、プライム枠(午後7~11時)で2冠を獲得しています。

「格付け」に毎年出演している乃木坂48

 元日は人気番組となった「芸能人格付けチェック!お正月スペシャル」が13・1%(視聴率は午後6~9時)、ドラマ「相棒season21元日スペシャル」が8・1%と高視聴率。2日放送の「夢対決 2023 とんねるずのスポーツ王は俺だ!! 5時間SP」も7・8%、3日放送の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん 新春SP」も7・5%と、全体的に好調でした。
結果として、三が日平均では9年連続のゴールデン枠トップ(9・0%)、15年連続となるプライム枠トップ(8・4%)の2冠を獲得しています。

なぜテレビ朝日が強いのか?

思い返すと数年前までテレビ視聴率は日本テレビが首位だったのですが、なぜこんなにテレビ朝日が強くなったのでしょうか? バラエティ番組中心のフジテレビや日本テレビが飽きられたからなのか?と考えていたら、FRIDAYデジタルがもっと深い部分でまとめてくれていました。

テレビ朝日ドラマの「勝利の方程式」

この記事を読むと、まず「テレビ朝日のドラマには2つの強みがある」と指摘しています。第1の強みは枠の固定化。確かに水曜夜9時は「刑事ドラマ」枠、木曜夜8時は「木曜ミステリー」枠で何年にもわたって固定されています。木曜夜9時の枠はジャンルフリーですが『ドクターX』など、こちらも数字が獲れるコンテンツが揃っています。

そして第2の強みは徹底したシリーズ化。ドラマ『科捜研の女』は1999年にスタートし、既にseason22!まで続いています。2000年スタートの『相棒』はseason20。『特捜9』も『新・警視庁捜査一課9係』に引き継がれseason12まで続きました。

ドラマ「科捜研の女」の内藤剛志さんと沢口靖子さん

ご覧のように、極端なまでの固定化とシリーズ化で視聴者を離さない!テレビ朝日の戦略が功を奏し、長期的に安定した高視聴率を得る結果となっています。またシリーズでありながら、これらのドラマは常に「1話完結型」。前回のストーリーを思い返す必要がないので、テレビ朝日の主要視聴者である高齢者に優しい設定です。

G(ゴールデン)P(プライム)枠の4局視聴率推移

テレビ朝日の憂鬱

しかし、そんなテレビ朝日も安易に喜んでいられない事情がありました。現在の高視聴率を支えているのはシニア層で、若年層の視聴率は低いのです。市場が加齢すれば、いずれ視聴率は激減することが予想されます。
では他のテレビ局が若者に強いか?というと、さほど大きな差はありません。若者はどこに行ったのでしょうか?

メディア定点調査2022 世代別:週当たり媒体接触時間

以上のグラフは、博報堂メディア環境研究所が発表している「メディア定点調査2022」の「世代別週あたり媒体接触時間」です。こちらを見ると、全世代で見てもテレビよりWEB(パソコン+タブレット+スマホ)の接触時間が既に長くなっていることがわかります。10代にいたっては男女ともにテレビの視聴時間はスマホ視聴時間の半分以下に留まっています。全世代でテレビ視聴時間が低下しているのでは、どんなに頑張っても?個々のテレビ番組の視聴率は上がりません。

K-POPから紅白に出場した「IVE」

・・というわけで、調べてみたら年末年始の視聴率はテレビ朝日の圧勝!ただし将来を考えると、地上波テレビ全体の不安な行く末が明らかになりました。長年広告代理店で勤務してきた私としては、マスメディアを応援したいところなんですが・・・考えてみたら私自身も「毎週必ず見る」テレビ番組は既にありません。残念ですが「大きな時代の流れには抗えない」というのが結論になりそうです。 (RYU)

※昨年まで恒例だった「元旦新聞広告まとめ」記事はこちら!今年は年末に先代社長が逝去したため弊社が対応できず、WEBコンサル坪井さんの個人記事です。