真のプロフェッショナルとは。少女の心を動かした、ある女子サッカー選手の話
今春から始まった中高生年代の女子サッカークラブ・LINDA SMILES
有り難いことに、現時点で17名の選手達が集まってくれました。
いろんな子がいます。それぞれの背景、境遇、経緯はさまざま。
それぞれが本当に個性豊か。一人一人の違いもあり過ぎて、それがまた実に刺激的。そんな毎日を過ごしています。
しかし
ただひとつ共通していることがありまして
「とにかく誰もGKをやりたがらない」
笑
GK志望の子がいないため、試合のたびに「GKどうする?」「シーン」というお決まりの展開となり、雰囲気が悪くなります。泣
仕方なく「順番で」となるも、やっぱり専門職だから素人には難しい。失点もそりゃ多くなる。そんな日々でした。
そんなムスメたちに起きた、ちょっとした奇跡の話。
先日、WEリーグ「ノジマステラ神奈川相模原vsアルビレックス新潟レディース」のフラッグペアラーをさせてもらいました。
フラッグペアラーだけでなく選手をハイタッチでお出迎えしたり、試合前や試合後にはたっぷりと交流させてもらったりでそれはそれはみんな大喜びで。本当にありがとうございました。
(この日のことはまた別で詳しく書きます)
フラッグペアラーのお仕事の後は、みんなで試合観戦。
試合はノジマが圧倒的にボールを握り何度も決定機をつくるけれど、アルビレックス新潟レディースGK・平尾知佳選手のスーパーセーブ連発で何度も決定機を阻止。
そのうち後半にアルビレックス新潟が先制し、このまま終われば、現在最下位のアルビレックスは一気に順位が跳ね上がるという絶好のシチュエーションでした。
後半終了間際、ノジマにPKのチャンス。
ここでもまた、平尾選手がPKをストップ。
しかし跳ね返ったボールを押し込まれ、1−1の同点になったところで試合終了。
アルビレックス躍進の希望がフイになってしまう、そんな形での劇的な結末だったのです。
試合後、まるで敗れたかのようにピッチにうずくまる平尾選手。
なかなか起き上がれないほど。遠目から見ても明らかに泣いているのがわかる。
一回立ち上がり歩き出しても、またうずくまってしまう。
それほどに悔しかったのだろうし、この試合にかける想いが相当なものだったのだろうということも、ひしひしと伝わってきて。
奇跡の話はここから。
そんな平尾選手に、完全に心を奪われた中1女子がふたり。
そのふたりが
「GKやってみたい」と、この日その場で伝えてきてくれました。
試合前にお出迎えのハイタッチをしたときから、平尾選手のそのイケメンぶりと醸し出すオーラと雰囲気にうちの選手達はみんな魅了されたようでキャーキャー言ってたのだけれど、試合を見て、なおさら心を掴まれた模様。
試合には勝てなかった。失点も献上した。
でも
サッカー少女ふたりの胸を打ち、心を動かした平尾選手。
真のプロフェッショナルって、まさにこういう選手のことをいうのだと思います。本当に、心から尊敬します。
アルビレックス新潟レディースの山本社長にも僕からそのふたりの話をし、山本さんが試合後にその場で平尾選手に伝えてくれました。
試合後、一緒に写真撮ってもらったりサインしてもらったりした時にふたりからも平尾選手に直接、GKやることにしたという話もしたようです。
平尾選手も喜んでくれていたみたい。
もう一度言います。
本当のプロってこういうことです。
「プロだから結果が全て」
そんなことを言うJリーガーもいますが、それは大きな間違いだと断言できます。
ファンの心を動かす。それが真のプロです。
そんなことを胸に秘めながら、その人達に届くように全力で戦うのが本当のプロフェッショナル。
そして本当に、この日初めて彼女のプレーを見た少女の心を動かし、大きな一歩を踏み出すきっかけをくれた平尾知佳選手。
僕からも改めてお礼を言いたいです。本当にありがとうございます。
少女ふたりの心が動いた、奇跡の話でした。
ちなみにこのふたりには、GKとフィールドの二刀流、前半GKで後半フィールド、もしくはその逆、という大谷翔平システムでしばらくやってもらうことにします。がんばれー