ボールと時間を支配できる、日本のベルカンプ
先週金曜日に行われたJリーグの開幕戦、『川崎フロンターレ ー 横浜Fマリノス』のゲームで、三苫薫がみせたスーパートラップに思わずぶったまげた。
右からのクロスに走り込み、ダイレクトボレーでシュートを打つと見せかけて足に巻き込むように持ち替え、相手を外したプレー。
残念ながら勢いがつきすぎてシュートはGKに止められたが、後半25分という時間帯にあのトップスピードであれをやるんだから、今の彼はかなり身体も心もコンディションが良く、当然自信満々で、なおかつこれだけ騒がれてもまだ、遊び心を忘れてないということでしょう。いやぁ、ほんとにぶったまげた。
お待たせしました。では映像をどうぞ。
映像を見返したら、背後から追ってくるマリノス岩田のことを2回も確認してますね。岩田が寄せてきてるということを先に見越して、あのスーパートラップを準備していたのか。はたまた、ボールに触る瞬間の閃きか。どちらにしても凄い。
岩田にしてみたら、自分が三苫に2回も見られてることがわかってる。だから迂闊に足を出せなかった。でも寄せなきゃ打たれるし⋯という四面楚歌状態だったのではないかと。
先日、三苫薫はドリブラーではなく『かわいい顔したサイコパス』だ、というコラムを書いたばかりなのですが、このプレーを観て、それがさらに確信深まりました。
自分のプレー残像を相手にチラつかせながら相手の心理と行動を手玉にとってしまう、二面性で相手を殺す最狂スナイパー。
ドリブラーの顔をしたアタッカーでもあり、もっと言えば
ボールと時間を支配できる選手、とも言えると思います。
当然、ボールに対する圧倒的な自信と技術があるから、対面する相手にボールを奪われる不安がない。相手は自分のこれまでの残像を見せられて葛藤しながら寄せてくる。でも抜かれたくないからなかなか飛び込めない。
「それならパス出しちゃうしシュート打っちゃうもんね」という薫くん。
行けば抜かれ(ドリ)行かねば刺され(パスorシュート)
これ、相手からしてみたらたまらんじゃないですか。そんな残酷な間合いで相手と対峙できる。つまりここで、ボールを支配してるのは当たり前のこと、相手の時間を止めて狂わせ、ピッチ全体の時間をも変えちゃうことができる。
相手を 「え」 と止めることができる。
観客も 「え」 って止めさす男。かわいい顔して脳内ヤバい。
これからもっとエグさを増して、変態性も増して(これたぶんこちらの想像以上に突き抜けそう)
あの、ベルカンプのようになってほしい。
(サッカー史に残る伝説の変態トラップは1:40〜)
ベルカンプも、かなりのサイコ性を持った選手で大好きだった。極度の飛行機恐怖症というのもなんか好きw
ボールだけでなく時間も支配するプレーヤー、三苫薫。Jリーグで屈指のアドリブラー。海外に行っちゃう前に、一日でも早くスタジアムで生ミトマカオルを観たほうがいい。彼ひとりを観るだけでも、チケット代の元は充分に取れると思います。
日本のベルカンプに、早うなっておくれ!
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