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#5 - インタビュー Part 2/3

Strip Joint ドラムの西田です。前回に引き続きインタビュー記事をお届けします。

今回は、レコーディングや個々の曲についてお話ししていきます。

(※注記 編集の都合上、第3回として投稿予定だった記事を今回にまとめて組み込み、第3回には新たなインタビューを追加することにしました。)

第1回 メンバー編成の変遷について/音楽性の変化について
第2回 レコーディングについて/ドラム制作について/Hikeについて/Liquidについて/Consolationについて
第3回 岸岡個人インタビュー

では、インタビューをどうぞ!



レコーディング


アルバムのレコーディングはどんな感じだった?

島本 レコーディングはレーベルが押さえてくれたスタジオとエンジニアさんで。1泊2日で11曲録ると。レコーディングに入ると上手くいって、1日半でトランペット以外の楽器は録り終わった。

島本「Liquid」では岸岡がレコーディング中に泣くということが起きて。それは重要な瞬間だったと思う(笑)。今思えば笑ってしまうが、その現場に居た時は私も結構感極まるものがあって。無理と思っていたことを成し遂げる、みたいなことがStrip Jointではあまり無くて。誰でも簡単にできるようなことに時間をかけてしまうことが多い。それが悪いとは思わないが、どちらかというと不器用なバンドかなと思ってたのが、サクサクと作業が進んで良いものができたという実感があったし、それに達成感を覚えたであろう岸岡が歌いながら泣くというのは、くるものがあった。だからその時に収録したテイクを使おうとレーベルオーナーも言ったし、そういう意味ではすごく良いレコーディングだったかなと思っている。

岸岡 流れで2、3テイクとって、次の曲に進んでいく感じで。


前からあった曲だから思い入れがあって感極まった?

岸岡 全く活動できなかった時期もあって、やっと辿り着いたので。



ドラム制作について


制作について。ドラムはどうやって作っている?

西田 今回のアルバムでは岸岡がデモを作って、そのデータをDAW(※1)に入れて、スタジオに行ってマイクを立てて、俺が思いついたのを叩いて録って。それを岸岡に送って、それを岸岡が採用したりしなかったり、組み替えたりして。

Sonic Boom


結構一人でやってると。

西田 もちろんすり合わせはする。「Liquid」はデモに入ってたものをそのまま叩いた。最初のデモはドラムがなく、イントロが変拍子みたいな面白い感じだった。曲が復活して岸岡が出してきたのが、イントロも普通の拍子のコード弾きで。フックがなくなったと思ったが、次のデモでピアノのフレーズと、土台にシンプルなドラムが加わって。反復する気持ちよさが良いと思ってそのまま叩いた。でも同じようなシンプルなフレーズをずっと叩くのは難しい。


ドラムが印象的な曲も多い。Oxygenの2回目のバースのフレーズなど。


西田 あのフレーズは、3・3・2で、3拍子と思いきや4拍子になっている。あれは岸岡のデモからそうなっていた。


岸岡がドラムを決めることもあると。

岸岡 最近はドラムも打ち込んでいることが多い。

西田 スタジオもないのでドラムは宅録できないので、そこは結構試行錯誤した。最終的にはDIYなやり方に。

岸岡 西田は、俺が出すものと自分のスタイルとの間で葛藤があるし、いちいちスタジオに行かないといけないので大変だったと思う。相当な回数、デモのために一人で録音しに行ってくれた。

西田 年末年始は吉祥寺のサンロードを何度も往復した。宅録で打ち込んだものと生で録ったものは質感が違って、もう別の曲になってしまう。だからやっぱり生でやらないとダメだねと。大掛かりなプリプロ(※2)は機動性がないので、今回は一つの解決策としてそうした。

(※1)DAW:Digital Audio Workstation。パソコン上で音楽制作するためのソフト。
(※2)プリプロ:プリプロダクション。先にレコーディングの青写真を作っておくような作業。




「Hike」について


「Hike」が最初弾き語りだったと聞いてびっくりして。弾き語りのデモがどうなったらサーフ・ロック的なあの感じに着地するのか気になる。

西田 やっぱりコード進行かな。「夕陽のガンマン」(※1)じゃんと。

島本 その時期、弾き語りから曲を作る挑戦をする時期で、「Hike」のデモが上がって、その時に岸岡の家に集まった。みんなでこういう感じだよねと一旦言葉で共有してから、スタジオに入る動線を作り上げていた。西田は「夕陽のガンマン」みたいなリファレンスを上げてきて。私はその段階でリフを思いついていた記憶がある。

岸岡 Ennio Morricone的なものと、それからThe Doors、Eaglesはイメージしていたと思う。その辺の入り口としてはThe Last Shadow Puppetsだった。

島本 ヴィブラスラップ(※2)が鳴りそうな。

岸岡 保守的な世界観みたいな感じ。

島本 CakeやSpoonなど、USのバンドも参考にした。

雨宮 トランペットのイメージも西部劇みたいな感じにしてる。馬に乗ってパカラッパカラッみたいな。

富永 テルミン(※3)みたいなアナログシンセの音は、「夕陽のガンマン」に出てくる音を探して作った。音はThe Last Shadow PuppetsやThe Doors、旋律はShocking Blueの「Venus」って曲を参考に。ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」で流れるシーンがすごく好きで。スタジオに入った時私はいなくて、後でメンバーが合わせた音を聴いて、それに合わせたいなって思って入れたっていう経緯。

岸岡 「Hike」のアレンジは俺もびっくりした。

発信したものが違う形で返ってくるのは良いなと思う。考える側は大変だとは思うが。

島本 楽しかった。5年かけてようやく出来るようになったという感じ。そういうふうに出来るようになってから密にやりとり出来る様になった。そうなるまでは、私じゃなくてもいいじゃんみたいな感じがお互いあったと思うけれど、そうなってからは、このメンバーである意味みたいなものが出てきたのかなと思う。

(※1)「夕陽のガンマン」:1965年のイタリア映画。音楽はEnnio Morricone。
(※2)ヴィブラスラップ:打楽器。
(※3)テルミン:電子楽器。アンテナの間に手をかざして音を出す。

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