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アンパンマン・ヴィシャス

 夢の中から夢の女の人に起こされたさ
頭のかなり錯雑とした存在しない女の人で僕に『何が怖いのか?』耳元で尋ねてきて、そこで眼が醒めたし 何が、って、いまはおめぇが怖ぇわよ

 個人差があるのであまり参考にはなりませんだけど中〜長期の眠剤を飲むと僕はかなり悪夢に見舞われるもののそれを飲まないと眠れないので起きているか悪い夢を観ているかです

 夢の中のサスペンスな気分に支配、されているから、部屋がすげえゴーストリな感じ
こんな気持ちを何万回、体験しただらう、自分自身の破滅の予感に自らが震えている、自分が怖いと思うものを自ら強く呼び起こして 考えると省エネだな、DIYの精神というやつかがはは

 金縛りのまま、部屋の中を見回す 警戒を行うのである なにか恐慌の起こる予感は満ちて、とっても独りぼっちだと思う 
眠剤はまだ効いていて、いまの自分は普段より心身ともにかよわい、弱っているときは当たり前のことも脅威に感じてしまうものだ、ですよね?

 何万回とこういう気分を再生されて、僕は大人になった 大人にちゃんとなりきれていないので僕はみじめだが、こういうとき、何を心の中で想起させるべきか少し分かっている 心の中のヒーローズ、信じていて必ず守ってくれるものを強く思い描くこと 

 直近に体験したインパクトが心の金縛りから救ってくれる事は多い 小さい僕はアンパンマンにめちゃくちゃ助けてもらった 空腹は絶対的な悪でありそれを己を犠牲にして助けてくれる彼はマジモンの善いマンだった ありがたい その感謝の気持ちは今でもときどき思い出す

 大人になったみじめな僕はアンパンマンを常時、体験してはなかなか暮らせないが、そのかわり昨夜はシド・ヴィシャスの伝記を読んだばかり

 シドはセックス・ピストルズというバンドで血まみれになったりベースをブンブン振り回したりした素敵なベーシストで、つまり自分の大切なステージを、その透き通った心の赴くまま必死に守ろうとした人であろうと思う 

 自分を救ってくれたものを必死に自力で守ろうとする姿は美しい筈だと感じて、ベースを構える彼の姿を思い浮かべる

 ふと昨夜、弾いていたエレキギターが枕元に転がっているのに気付く 何か恐ろしいものが現れたとしたらコイツをブンブン振り回して報いたれと思う、ちょうどシドがベース振りかざしたように 

そのとき奏でたメロディは小さな単音でも、いつか大きな和音にかわり、きっと素敵な曲になる

 純粋なパンクスの姿を観ている内に空が黒から藍にやわらぎ始める、一先ず助かった、僕は微睡んだ

一先ず助かったなぁと言う気持ちの連続だ
うわぁびっくった!ってなる事ばかり 
ながらウトウト考え込んでいるとカーテンのない部屋に熱っぽい朝の光が射しこんで眼が醒めた 

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