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【EDH】チェインコンボ型《永久忠義の義丸》《トリトンの英雄、トラシオス》デッキ 100枚解説



ジェネラル紹介


Yoshimaru, Ever Faithful / 永久忠義の義丸 (白)
伝説のクリーチャー — 犬(Dog)
これでない伝説のパーマネント1つがあなたのコントロール下で戦場に出るたび、永久忠義の義丸の上に+1/+1カウンター1個を置く。
共闘(両方が共闘を持つなら、あなたは統率者2体を使用できる。)
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 《永久忠義の義丸》は白単色の共闘を持つ伝説のクリーチャーです。その特徴は何といっても1マナという軽さ。早期にジェネラルを出すことはEDHにおいてメリットが多く、また相方に緑の共闘を選ぶことによって簡単に《ガイアの揺籃の地》のクリーチャーカウントを稼ぐことができます。
 能力は1マナなりのものではありますが、タフネスが上がるため1点火力でついでに死ぬようなことはなくなる強さがあります。


Thrasios, Triton Hero / トリトンの英雄、トラシオス (緑)(青)
伝説のクリーチャー — マーフォーク(Merfolk) ウィザード(Wizard)
(4):占術1を行い、その後あなたのライブラリーの一番上のカードを公開する。それが土地カードであるなら、それをタップ状態で戦場に出す。そうでないなら、カードを1枚引く。
共闘(両方が共闘を持つなら、あなたは2体の統率者を使用できる。)
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 《トリトンの英雄、トラシオス》はシミックカラー2マナの共闘ジェネラルです。不特定4マナ起動で占術をしながらドローできる優秀な能力を持っているため、様々な共闘デッキで採用されています。
 カードをドローし始めるタイミングは若干遅めですが、一度レンジに入ってしまえば継続して安定したアドバンテージを稼いだり、《種子生まれの詩神》など特定のカードとのシナジーによって爆発的なドローをしたりとかなり強力な存在となります。


構築の経緯

 デッキを構築するに至った最初のきっかけは、当代最強のデリーヴィー使いである友人が「ジェネラルを変えるかもしれない」と言い出したことでした。あれほどデリーヴィーにこだわりを持っていた彼に乗りかえるとまで言わしめたデッキは何なのか、非常に興味を持ったのです。
 結論から言うとそれは《鋭い目の航海士、マルコム》と《トリトンの英雄、トラシオス》の共闘デッキでした。一見、共闘のメリットのひとつである「固有色を増やせる」ことを放棄しているような組み合わせですが、コンセプトがかなり面白く、デッキリストも綺麗に仕上がっていました。Moxfield上で一人回しをしてみた感触も良く、これは組んでみたいというワクワク感があったことを今でも覚えています。
 しかし、やはり「固有色を増やせないのはもったいないなぁ…」「ソルリングを1ターン目にサーチできない色でマルコムを採用するのは微妙だなぁ…」という考えはどうしてもぬぐい切れません。そこでトラシオスの相方に《ロフガフフの息子、ログラクフ》を据え、最序盤のマナ基盤と統率者ピッチの強さを全面に押し出す形を模索することにしました。
 まずは、マルコムトラシオス(以下マルトラ)の「ガイアの揺籃の地をアンタップできるクリーチャーを出し、何度もコピーしながらトラシオスでデッキを掘り進める」というコンセプトを継承しつつ、《雲石の工芸品》や《船砕きの怪物》とログラクフのシナジーにコピークリーチャーを巻き込んだ無限マナのギミックを加えてデッキを作り、対戦を繰り返しました。
 以下URLがその際のデッキリストです。

https://moxfield.com/decks/YPrT14Ez7EGUkS8_mknm-A

 その結果、「強いは強いんだけど、クレイドルへのアクセスがいまいち」「赤の強みが活かしきれていない」「マイオナ感がない」など、複数の問題点が浮かび上がってきました。
 それを先の友人にフィードバックしたところ、「白を混ぜると《雨ざらしの旅人》と《戦争門》が入るよ」「てかログラクフを義丸にすれば《新生化》で《フェアリーの大群》出るんじゃね?」と言われ、確かにそれもそうだな…色の強みも活かせるし…ピッチを構えたり雲石や蟹の種になりやすかったりするメリットはそのまま…何よりマイオナ感に溢れている…となり、ついにチェイン型『忠犬ヨシ公♂』デッキが爆誕することとなります。


デッキリスト

https://moxfield.com/decks/mA7YBdAuQ0KFgH3kjWSnag


デッキ概要

 先述した通り「クレイドルをアンタップしながらトラシオスでデッキを掘り進める」というコンセプトを持ったチェインコンボデッキです。
 プレイの指針としては、義丸やトラシオスを早期着地させながら相手を妨害、豊富な土地サーチからクレイドルを置き、フェアリーの大群・流浪のドレイクなどのフリースペルクリーチャーを唱えて土地をアンタップ、トラシオスを複数回起動しながら追加のコピー呪文やサーチ呪文で無限マナのパーツを揃えて勝つ、という戦い方を目指します。
 比較的遅めのレンジを見据えた構築であるため、序盤の少ないリソースの中で妨害を要所にうまく使って丁寧にプレイすることが求められる、難易度の高いデッキとなっています。


コンボ解説

無限マナコンボ

 トラシオスが吐き先となり無限ドローにも繋がるので、無限マナを出せるコンボは積極的に狙っていきます。


船砕きの怪物》+α

 最頻出の無限マナコンボです。
 主に義丸とアンタップクリーチャーを交互に出すことでループを発生させます。クレイドルがあることが理想ですが、最低限《はびこり》があればフェアリーの大群で4マナ発生するため、義丸と大群の合計コストである3マナを消費しても浮きマナを増やしていくことができます。



雲石の工芸品

 構造は船砕きコンボと同じですが、クリーチャーサーチよりもアーティファクトサーチの方が少ないデッキなのでこちらの方が機会は少なくなります。
 船砕きよりもマナが軽いことがメリットです。ただカウンターは当たりやすくなっているのでそこだけは注意。ポン置きはヘイトが爆上がりするので、基本的にはやめておきましょう。



パリンクロン

 一枚コンボです。
 手札に戻すコストと唱えるコストの合計である【⑦青青青青】を超えるマナが土地から確保できれば無限マナ。



フィニッシュコンボ

 無限マナ・無限ドローまで確定したあとの勝ち手段です。
 状況に応じて変わるので順番に紹介していきます。


破滅の終焉

 コンボと呼べるかは怪しいですが、一番シンプルに勝てるのでわかりやすいです。墓地に落ちている場合は《永遠の証人》で回収します。相手のブロッカーは船砕きでバウンスしているので攻撃は通ります。万が一クリーチャーが足りない場合は《春心のナントゥーコ》でトークンを増やして対応します。



ザルファーの魔道士、テフェリー》+《船砕きの怪物》+α

 こちらは《一つの指輪》でプロテクションがついたプレイヤーがいる場合のコンボです。テフェリーですべてのクリーチャーカードに瞬足が付与されるので、相手のターンに再び無限マナを発生させてから《パリンクロン》を無限にキャストしたり、《永遠の証人》で回収した呪文を無限にキャストしたりすることで土地以外のパーマネントを全バウンス(基本でない土地は母性樹を回収してすべて破壊)、そのターンに唱えれられる呪文まで含めすべてを無効化できるのでほぼ負けることがなくなります。返しの自分のターンに破滅の終焉を撃って殴り切りましょう。
 《忍耐》をデッキに入れれば自分のターンでも《フェアリーの黒幕》を無限に起動して相手をライブラリーアウトさせることができます。テフェリーでフタをしているので妨害も食らいにくいです。

 

カテゴリ別カード解説


①コンボパーツ

《フェアリーの大群》《流浪のドレイク》《パリンクロン》
 土地をアンタップすることができるフリースペル。これらをコピーすることでクリーチャーカウントが増えるので、クレイドルから加速度的にマナが出るようになります。

マネドリ》《フレッシュの複製体》《幻影の像》《ファイレクシアの変形者》《替え玉》
 コピークリーチャー。コンボパーツでありながら無駄牌にならない、むしろアド源となるびっくりカードたちです。普段使いとしては使い方が難しいのがネック。

《船砕きの怪物》《雲石の工芸品》
 解説済み。破滅の終焉X=7は終わりの合図。

《放浪の吟遊詩人、イーサーン》
 ほぼ一枚コンボ枠。
 相手のエンドに詩句1で雨ざらしの旅人⇒自分メインに雨ざらし起動⇒持ってきたクレイドルから詩句2起動⇒フェアリーの大群が着地⇒クレイドルをアンタップしてコンボが始動します。

《生術師の使い魔》《訓練場》
 トラシオスの能力コストを軽減することでドロー枚数を増やす、縁の下の力持ち。使い魔はサーチしやすいのもポイント高し。

《春心のナントゥーコ》
 正直やばい。
 これがアンタップクリーチャーに付くとトラシオスでゲームが終わります。
 隠れたオリカ。

《ガイアの揺籃の地》
 このデッキの要。EDH界のバグ。クリプト禁止後の環境を定義していると言っても過言ではない…かも。
 これと《さびれた寺院》が組み合わさると宇宙。


②クリーチャーサーチ

《破滅の終焉》
 墓地からも探せます。
 あと《呪文探求者》からサーチできるので覚えておくと役に立つ。

《イコリアへの侵攻》
 破滅の終焉と似ていますが「カウンターが当たりづらい」「人間がサーチできない」などの相違点はあります。

《新生化》
 義丸からフェアリーの大群が出てくる。
 トラシオスからレインジャー長が出てくる。

《異界の進化》
 新生化の強い版。
 X+2マナ「以下」も探せるのが良い。
 あと緑マナのみなのでクレイドルから出せるのも最高。

《俗世の教示者》
 初手に《花を手入れする者》を持ってくるか、温存してコンボパーツを持ってくるかは悩みどころ。チェイン中に撃とうとするとトラシオスの起動コストが重くなりがち。

《エラダムリーの呼び声》
 こちらは手札に来るのでトップ解決になります。

《召喚の調べ》
 インスタントでコピクリやドレイクを持ってくる動きが読まれにくくて強いです。
 義丸を出すためにツンドラスタートすると後で緑マナ足りなくなりがち。


③土地サーチ

《雨ざらしの旅人》
 ログラクフから義丸に乗りかえた理由のほぼすべてがこれ。
 クレイドルサーチ後も持ってきたい土地は山ほどあるため、あまりにも強い。
 母性樹大田原も構えられるよ。

《戦争門》
 ほぼクレイドルサーチなのでこちらに分類しました。
 後引きでも全く腐らないのが良い。

《まき散らす菌糸生物》
 ほぼフリースペル。
 キッカーできるほどマナが余ることは少ないが要所では効く。

《輪作》
 最強土地サーチ。
 後半に撃つと消されるので、通りやすい序盤に早め早めのキャストを意識するのがコツ。
 「自分、輪作握ってるんで。マダラ門出てきますから動かないで下さい(しゃくり顔)」

《大ドルイドの魔除け》
 超絶ユーティリティカード。
 だがマナ拘束が重すぎる。ここは義丸よりログラクフに軍配が上がる。

《ウルザの洞窟》
 新参者。お試し枠。
 ジェネラル的にはなるべく無色ランドは増やしたくないけど、能力がデッキと嚙み合っているため採用。


④マナ加速

《アヴァシンの巡礼者》《極楽鳥》《貴族の教主》《花を手入れする者》
 優秀なマナクリたち。
 今回はラノエル三兄弟が不採用。
 もし入れたとしても緑マナが被りたくないので一人のみの採用が好みです。

《楽園の拡散》《繁茂》《はびこり》
 マナ加速でありながら半分コンボパーツみたいなもの。
 ひとつの土地にまとめて付けるか、リスクを回避するために複数に分散させるかは卓や展開を見て判断します。どうせ二個以上アンタップするので。

《息詰まる徴税》
 一枚無限マナコンボ。
 ヘイトは上がりますがそれ以上にリターンが大きいため採用。

《金属モックス》《モックス・アンバー》《太陽の指輪》《伝説の秘宝》
 伝説の秘宝がかなり強いデッキなので、二枚目として《永劫の活力》を入れてもいいかもしれないです。


⑤ドローソース

《エスパーの歩哨》
 言わずと知れたEDH最高峰のドロソ。
 コピーしたっていい。

《フェアリーの黒幕》
 優太。正直ムラがある。
 脳死で入れがちだが実は一考の余地があると思っている。

《神秘的負荷》《リスティックの研究》
 ゲームぶっ壊し屋さん。
 旧Twitterでたびたび火種になる。

《森の知恵》
 初手チューターからサーチしてくる選択肢もあるくらい強いドロソ。
 2マナで引いていい量じゃない。

《大あわての捜索》
 常に当落線上にあるカード。
 ハマれば強いが序盤に来るとハンドは減るため若干使いづらい。
 インスタントタイミングであることに活路を見出せるか。


⑥妨害

《金粉のドレイク》《荒れ模様のストームドレイク》
 クリーチャーサーチから持ってこれる妨害カード。
 ストームドレイクはコストを払わなければ純粋な除去として使える。

《イーオスのレインジャー長》
 スタックスのような役目を果たしながら、対話拒否をも兼ねているスーパークリーチャー。
 サーチ先は難しいですが、強いカードが揃っているのでなるべく最適解を持ってきたいところ。

《沈黙》
 最強の妨害札。
 「沈黙だけが裏目」な状況には見覚えが多いはず。

《否定の契約》《断れない提案》《狼狽の嵐》《精神的つまづき》《白鳥の歌》《マナ吸収》《激情の後見》《拒絶の閃光》《否定の力》《朦朧への没入》《意志の力》
 いわゆるカウンター。
 トラシオスのレンジに持っていくため少しだけ多めに採っています。
 《秘儀の否定》《遅延》などもスロットがあれば入れたい。

《蒸気の連鎖》《剣を鋤に》《サイクロンの裂け目》《断絶》《水没》
 除去枠。
 禁止改訂後は割とクリーチャー環境なので除去は多めにしておきたいです。
 デッキのスロットが空いたら最優先で《猿術》か《流刑への道》を入れます。
 蒸気の連鎖はアンタッパーやコピクリを戻せるので一歩抜けて強いです。同じ理由で水没も良い味出してます。断絶は呪文探求者から持ってくることも多いコンボパーツ。


⑦ユーティリティ

《永遠の証人》
 万が一の保険+コンボパーツ。
 初版絵が好きです。えちちち。

《呪文探求者》
 クリーチャーカウントの増える輪作。
 このデッキだと新生化や断絶など、選択肢が他のデッキに比べて多いため慎重に使う必要あり。
 最近ジャッジ褒賞よりも初版絵が好きになりつつある。

《ザルファーの魔道士、テフェリー》
 差し込み札かつ対話拒否なため、ここに分類しました。
 相手エンドに出しても除去を食らわないのが強み。

《悟りの教示者》
 正直抜いてもいい枠ではあると思います。
 初手ソルリングを脳死で持ってこれるデッキではないですし、雲石をサーチしようとすると後半にキャストせざるを得ない。がめつく森知恵リス研を出してもいいけど、せっかくジェネラルのヘイトが低いことを活かせないので考えどころ。なかなかにムズイ。

《神秘の教示者》
 こちらはジェネラルとの相性も良いので確定枠。
 サーチ先にも割と直球なカードが多いため、そこまで難しく考える必要がないのも利点。エンチューと違ってキープ基準にはならない。


⑧土地

《デュアルランド》《ショックランド》《フェッチランド》
 特に抜く理由もないのでフル投入です。

《雲海》《回復の温泉》
 《豪勢な大通り》だけ不採用。コンボパーツに青マナ要求が多いので。

《古えの墳墓》
 実家に帰ったら昔のストレージからテンペスト版が出てきて得した。

《耐え抜くもの、母聖樹》《天上都市、大田原》
 魂力土地サイクルの中で、母性樹だけ2マナなのはなぜ…?
 土地の中でこの二枚だけを拡張版にして手札で目立たせ、間違えたセットランドを防ぐという小テクがある。

《真鍮の都》《統率の塔》《風変わりな果樹園》《マナの合流点》
 EDHの強力な土地たち。
 個人的には統率の塔のことを「コマンダータワー」と言われるとちょっと気になる。雰囲気を「ふいんき」と言われるのに似ている。

《さびれた寺院》《水辺の学舎、水面院》
 クレイドルをサーチし終えたあとの土地サーチカードはこれらを持ってくるのが強いです。
 水面院は青マナの消費が激しくなるので「気づいたらチェインが繋がらなかった」となりがち。マナ計算はしっかりとしましょう。

《マダラの鉤爪門》
 能力てんこ盛り土地。
 輪作や雨ざらしで構えられるクリーチャー除去かつフェイズアウトなので相手は除去後の対処のしようがない。マナ加速にもなる。色マナも出る。強すぎ。


あとがき

 忠犬ヨシ公♂の100枚解説、いかがだったでしょうか。
 マルトラやログトラとの差別化はしっかりとできていると思いますし、なにより今回紹介した義丸トラシオスはコンボがギリギリ繋がっていく感じが非常に爽快感があって、構えることもできるチェインデッキとしてすごく面白味のある構築になっていると思います。

 この記事がみなさんのEDH欲をかき立てるきっかけになれば幸いです。もし対戦する機会がありましたら一言、「あれ見たよ」と言っていただけると泣いて喜びます。それでは、また。




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