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作ろう! 歴史シナリオ ~19世紀ドイツ舞台のCoCシナリオができるまで~

歴史×CoC、楽しい~~!(沼を掘り掘り)
こんにちは。瑛さんです。

この記事は歴史×CoCなシナリオがワンチャン増えないかなという思惑の下に執筆されています。自分のシナリオ書くプロセス公開したら、ひょっとするとひょっとして同志が増えたりしないかな~。そうではなくても「こんな感じで書けばいいのか~!」って人が増えて、いろいろと盛り上がるといいな~~~って思います。


はじめに

2021年、「長き19世紀の燐光」というCoC歴史シナリオWebアンソロジーを企画しました。そのときに自分も1本シナリオを書きました。この記事では、このシナリオができるまでの過程を紹介したいと思います。


スケジューリング

個人で作成するぶんにはあんまり気にしなくていいと思う項目。でも企画モノとかアンソロとかイベントあわせとかで書くときには最初に考えておいたほうが良い項目。

  • 構想期間

  • 執筆期間

  • テストプレイ期間

  • 修正期間

だいたいこれを見積もっておくといいでしょう。考えつつ書いたり、修正加えつつテストプレイしたりと、順番が前後したり重なったりすることは割とあります。拙作「愛しき未来の子供たち」の場合、それぞれの期間はこんな感じ。

  • 構想期間……1ヶ月

  • 執筆期間……2ヶ月

  • テストプレイ+修正期間……あわせて1ヶ月

合計4ヶ月でした。やってみた感覚としてはシンプルな線形シナリオでプレイ時間が3~4時間(ボイスセッション基準)のシナリオだったら、歴史モノかどうかとかテーマとかコンセプトに限らずこれぐらいの期間でコンスタントに作成できそうだな~、という感想です。これで線形じゃなくて非線形になったりだとか、単純にプレイ時間が6~8時間になったりだとかした場合、作業時間も増えるだろうなあという見込みです。

ちなみに、CoCでの前作(ロスト救済シナリオ)(およびそのルネサンス期イタリアバージョン)が構想執筆テスプ完成まででそれぞれ1.5ヶ月、エモクロア×ドイツ史シナリオは(長年温めてきたネタなので構想期間がゼロだったとはいえ)執筆着手~テストプレイ~完成までが約1ヶ月という爆速ハイペースでした。これはたぶん参考にならない数字。



構想期間

着想を得る

「こんなシーン書きたいな~」とか「こんなクライマックスいいよね」とか「この歴史人物黒幕にしたら面白そうやんけ」とか、いろいろありますよね。推敲や精査は後回しにしてやりたいことをひたすらアウトプットするのがおすすめです。レッツひとりブレインストーミング。

拙作「愛しき未来の子供たち」の場合は、6版の『マレウス・モンストロルム』をパラパラめくっているときに、偶然知っている歴史人物を見つけたのが着想に繋がりました。というかその歴史人物が神話生物扱いだったんですよね。なので「おまwwww マレモンに居るのかよwww んじゃ黒幕なwwwww」ってなりました。素直ですね。そのぐらいのノリです。


概要仮決定

自作のテンプレに当てはめて大体の項目を仮置きします。これは仮置きなのであとから変えることも全然ありえるな~ぐらいのノリです。それでも自分は一応仮置きすることにしていて、なんでかっていうと、なんとなくシナリオっぽいカタチが見えてくるのでやる気がアガるからです。あと真面目な利点として、大まかな枠組みを言語化して形に残しておくのは大雑把な指標になります。人間の内面に着目したしっとりソロシと、4人で親玉カルティストをブっ飛ばしに行くシナリオでは大雑把な指標からして違うので。

タイトル:愛しき未来の子供たち(仮)
舞台:1901年ドイツ
人数:3~4人
時間:6~8時間(ボイセ)
戦闘:あり

時代地域はドイツの「帝国の時代」でやると決めていたので、1875-1914年のどこかになることは確定していました。ただ、詳しいことは未定。1901年にしたのは、ドイツ帝国成立の30周年なんで、イベントごとにかこつけた神話的陰謀があったことにするのに丁度いいかな~っていうぐらいの理由です。人数については、オーソドックスな探索と冒険と、戦闘でのクライマックスを予定していたので、3~4人としました。プレイ時間が6-8時間というのは、最初は「ドイツ各地を自由に行き来してほしい」=「非線形シナリオになる」という予定だったので、このぐらいのプレイ時間になるかなあという見込みでした。


構想&歴史調査

概要を仮決定したあと、構想を組み立てながら色々調べていきます。シナリオに使えそうなエッセンスを歴史から引き出してきたり、逆にシナリオに合うような歴史的出来事や場面を探したりなどしていきます。ある程度歴史に詳しかったら決め打ちができるんでしょうが、私は一方で起承転結(あらすじ)を考えつつ、もう一方で調べていくという両輪スタイルです。だいたいこれをやっている期間に手元の資料がバカスカ増えます。

「愛しき未来の子供たち」の場合、1901年=ドイツ帝国成立30周年で、その祝賀ムードの裏に神話的陰謀があったことにするのはめちゃめちゃ盛り上がりそうなんで、アリだなと思ってました。そう、「歴史の裏に隠された神話的陰謀」、これめちゃめちゃ歴史シナリオのロマンだと思います。なので、ドイツ帝国成立にも神話的陰謀が潜んでいたことにして、30年のあいだ企てが蓄積されてきていて、それが探索者たちのタイミングで決定的になろうとしている、探索者たちは神話的陰謀を阻止しなければならない……! とか、楽しいじゃないですか?! 楽しいですね!!!! あとせっかくなら歴史的名所でのクライマックス戦闘したいよね!?? ベルリン大聖堂のクソ長い階段を登りきった先で敵を見据える探索者とか劇的で映えますよね!!????

というモチベをとにかくアゲて、マレモンにいた顔見知りの歴史人物(※神話生物)の来歴とか足跡を調べていきます。特に1901年の段階でどうだったかを重点的に調べていきます。ネットで調べただけで得られる情報はやっぱ現地語のほうが充実しているんで、現地語でググったり、博物館資料館のホームページを見たりしていきました。実はこの歴史人物(※神話生物)に関しては、手元に専門書があったのでそれを読み返したりとか……しましたね……。久々のドイツ語で死にそうでした。それで、追っていくうちに、「これ……ベルリンがクライマックスには……ならないですね……」となって、あえなくこの案がボツになり、最終的には完成稿の構想ができあがることになります。



執筆期間

ひたすら書いていくんですが、書き方にも個人的にはコツがあります。

起承転結(あらすじ)を先に書きます

なんだったら構想期間にくいこむぐらいの勢いで先に決めておきます。べつに起承転結じゃなくて序破急でもいいんですよ。どちらにせよ「結」に相当する部分まではっきりキッパリ書くようにしています。自分が書くときの指針になるだけなので、ネタバレもへったくれもありません。先に書いておいちゃいます。いきあたりばったりで書き加えたり削ったりしていくよりも、書き途中で迷子になる可能性がガッツリ減ります。

「結」部分については、8割……いや9割……(?)ぐらいは、クライマックス戦闘やチェイスがあるのではないのでしょうか。「探索者は魔術的儀式を止めなければならない」とか、「アーティファクトを破壊しなければならない!」とか「崩落する地下からチェイスで逃げ出す必要がある」とか「神格を退散させろ」とか……だいたいこんなパターン。とりあえずこういった最終的な大目標をはっきり書いておくと、終着点を見失わずにいけます。

あと探索者が全滅したらどうなるか(だいたい悲劇的なことになる)とかも、はっきりさせておくようにしています。だいたい世界が滅びます。探索者が探索する重要性がマシマシして良いと思います。


あともう一つの自己流のコツ。手記はあとで書く。NPCの手記とか黒幕の思いを綴った日記とかそういうやつです。具体的に描写するのは後回しにしています。というのも、書いている途中で「手記」の持つ役割が変わったり加わったりとか、こういうニュアンスも付け加えたいな~、とかいうのが出てくるからですねー。さいごにまとめて書いたほうが効率いい気がしています。個人的に。


ちなみに最終的な概要はこんな感じになりました。

タイトル:愛しき未来の子供たち(仮)
舞台:1900年ドイツ
人数:3人
時間:3~4時間(ボイセ)
戦闘:あり

最終稿



テストプレイ+修正期間

回してみて「微妙……」ってなったところを修正していく段階。テストプレイに関しては(特に俗に言う卓修羅さんをお呼びする場合)、ざっくりとでもいいので時期が決まった段階で先にメンバーを揃えて日程を確保しておくのがいいと思います。初稿が完成してからメンバーの日程調整して……ってしていると最終完成が永遠に未来になっていき、モチベが萎えてしまうので。

テストプレイの感想の聞き方については黒崎江治さんのこの記事が非常に参考になります。是非活用しよう。

個人的には、まずは見知った間柄のプレイヤーを集めて1回遊んでみるのがいいと思う。シナリオ執筆者であるあなたのキーパリングに慣れている友人たちを集めて、それでも違和感があったところは、最優先で直すべき課題だからです。

あと単純に一回遊べるとテンションがアガります。長い執筆期間、「早くこれネタバレしたい~」とか「人とこの展開について話したい~~!」とか、いろいろ溜まっていきませんか? 私はあります。ネタバレトークしたいけどネタバレしちゃうと初見で遊べなくなっちゃうジレンマってあるじゃないですか。それを気のおけない間柄で発散しておくのはモチベ的にGOODだと思うんですよね~~。

そして1回は野良……というか、「いつものメンバー」ではないメンバーでやるといいと思います。自分の癖を分かっていないプレイヤーにとってもシナリオが遊びやすいものになっているかどうかを見極めるためです。プレイヤーが全員公募だとシナリオどうこう以前のプレイスタイル事故が起こりがちなので、参加者に自分の友達を連れてきてもらうとかがいいかもしれないです。でもこれ勇気がいるんですよね……。がんばりましょうね……。

あとこれは私はやったことがないんですが、「テストKP」というテストの仕方もあります。書いた人以外のひとが読んで、ちゃんと理解して回せるかどうか確かめるものになります。これをやれたらすごいと思う。線形シナリオの場合は必要性は薄いとも思うけれど、非線形だったり特殊なギミックがある場合はやってみてもいいと思う。


おわりに

歴史シナリオ、構想の段階で歴史調査が入るだけで、あとは普通にCoCシナリオの書き方トークになりましたね。いやそうなんですよ。CoC刑事モノとかCoC学園モノとかCoC恋愛モノとかをやるのと同じノリで、CoC歴史シナリオもやっていいと思うんですよね。というわけでみんな書きましょう、歴史シナリオ。

歴史シナリオたのし~!


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