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食糧支援、生理の貧困支援に携わる人たちに知ってほしいこと

■フードバンク支援を通じて思うこと

私は、日本ではめずらしい、困窮する一般家庭への直接的な食糧支援を行う老舗のフードバンクの副代表をしている。
(ちなみに、活動費等はすべて寄付から賄っています)

今日も、経済的虐待を受けている若者のところへ、食糧を運ぶ。
食糧を渡すたびに、根本的な問題解決のための相談支援を行い、継続して支援していく。

いままで、いくつもの世帯、個人が、それをきっかけに福祉や医療の支援に繋がっていった。

食糧支援は、相談支援の入り口であり、本質的な問題が解決するまでの対処療法でもある。

いっぽうで、フードバンクご利用者の方に、生活保護をすすめても、『人様のお世話になるわけにはいかないから』と拒否されることが多い。
フードバンクの利用はありで、生活保護はなし、と思わせてしまうのは、なになのか?なにがそうさせているのか?

現在、大きなうねりのなかで生理の貧困への問題提起と、支援(生理用品の無料配布やトイレへの無料設置)が拡がっている。こうした展開に私は概ね賛成の立場である。
一方で、問題の本質が置き去りにされることにならないかという危惧ももっている。

■生理の貧困、問題の本質はどこなのか?

月数百円のナプキンが買えないとしたら、その背景には、過度の困窮や、虐待・経済的DVないしはその両方がある
生理用品への高額な出費をしている場合には、生理があまりに頻繁だったり、経血が多すぎたりしていることが多く、なんらかの疾患が背景にあることもある。

とある県では、モデル校(高校)でトイレへの生理用ナプキンの無料設置が始まった。
ただし、今までも保健室では無料で提供していたし、提供時に様々な声かけをし、それを通じてさまざまな問題の発見や、相談支援、指導を行ってきた。

無料ナプキンを設置することは、確かにスティグマを産まないかもしれない。『問題を知られない権利』もあるだろう。養護教諭との相性の悪さで援助希求できないということもあるだろう。
生活保護を受けることができない大学や専門学校生、初潮をむかえたばかりで自分の性的成長の受容がすすんでいない児童生徒がまだ多い小中学校では、さらにメリットが大きいかもしれない。

しかし、一律に生理の貧困対策として、学校トイレにナプキンを設置することで『本質的な問題がかくされたままになってしまう』こと、『援助希求の機会を奪ってしまうこと』『健康教育の機会を奪ってしまうこと』、場合によっては、『自身の健康や、おかれた環境への違和感の萌芽を阻害しうること』への危機意識をどれだけの人が持っているのか。

よきことは、本当によきことなのか?
もっとよいやりかたはないだろうか?

すべての支援で言えることだが、その視点を決して失ってはいけない。

■支援者の皆さんに提案したいこと

□政治家の皆さんへ
・生理用品の軽減税率を適応してください
・生理用品を買うことさえ負担の大きい人たちがいることを『当たり前』にせず、公的な支援や困窮対策を行ってください
・生理の貧困はじめ貧困問題を、民間・共助にまるなげせず、公的責任として支援を行ってください

□支援者、教員の方々へ
・食糧や無料ナプキンの配布、設置の際には、困窮や虐待・DV、月経過多等への啓発、相談窓口等の情報提供を行うカード、チラシ、ポスターなども設置してください
・本質的な問題はどこにあるのか?その解決を取り組む必要があるという視点をもちつづけましょう
・必要かつ可能であれば各種相談窓口への同行を行ってください

□食事や生理用品の入手、購入に困っているみなさんへ
初めて、相談窓口を尋ねることは勇気がいるかもしれません。いままで、水際作戦はじめ心ない支援者、医療・福祉の関係者に傷ついてきたかもしれません。
もし、信頼できる人たちがいれば、その方々と一緒に、生活保護や虐待・DV支援、病院など各種相談窓口に相談に行ってみませんか?
窓口相談を訪れる決心ができなければ、まずは、あなたがかかえる生きづらさを誰かに相談してみませんか?


食事や生理用品に不自由するのが『当たり前』の社会にならないように、それぞれが一歩づつ。

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