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ADHDが就労移行支援でどんな訓練をしたのか書いてみる

この記事はこんな方に向けて書いています

  • 就労移行支援に興味がある人

  • どんな訓練をするのか知りたい人

  • 退職後しばらく働けてなくて体力的についていけるか不安な人

  • 就労移行支援で支援者や他の利用者との人間関係が心配な人


この記事の結論

ちゃんと自分に合ったところに通えば、訓練も人間関係もしんどくない


どんな訓練をしたのか

1. IT系の訓練

IT系のスキルが学べる就労移行支援を選んだので、IT系に絞ると下記のような感じでした。

  • html

  • css

  • JavaScript

  • php

  • WordPress

  • Google アナリティクス

  • Github

  • AWS

  • Photoshop

  • Illustrator

私は途中で就職活動に移行したので訓練は途中までになってしまいましたが、これ以外にももっとたくさんの訓練がありました。
一通り最後まで学べた訓練も、基礎だけさらっとしかできなかった訓練もあります。
また、本人の希望やスキルに合わせて勉強したい内容や順番は選ぶことができました。


2. ソーシャルスキルトレーニングや障害理解などの訓練

  • アサーティブコミュニケーション

  • アンガーマネジメント

  • 傾聴

  • 自己理解

  • セルフケア

  • 合理的配慮

これもここで挙げている内容以外にもたくさんあります。

興味のある方はそれぞれのキーワードで検索してみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、例えばアサーティブコミュニケーションなら

「自分も相手も損をしない、お互いにとってWINWINなコミュニケーション」
「怒って相手に攻撃的になったり、逆に自分だけ我慢して言いたいことが言えなかったりするようなコミュニケーションではなく、主張すべきところは主張しつつ、相手の意見も尊重するコミュニケーション

になります。

アンガーマネジメントや傾聴、自己理解なども、わかりやすく言えば

「就労移行支援を卒業して働き始めた時、職場で自分も周囲もしんどくならないコミュニケーションスキルを学んだり、障害の種類や特性、思考のくせについて学ぶ訓練」

です。

1は事業所によって内容がITだったりOfficeだったりと変わってくるかもしれませんが、2に関してはどの事業所もある程度共通している部分もあるんじゃないかなと思います。


訓練の流れや進め方

1. IT系の訓練の流れや進め方

ひとり1台ずつのパソコンで作業する上、人によってスキルも進度もバラバラなので、それぞれが個別でやりたいこと、勉強したいことを進めていきます。

IT系の訓練でわからないことがあった時は専用のチャットで質問します。
回答してくれる支援者はWebデザイナーやプログラマー、SE(システムエンジニア)としての業務経験がある人たちなので、どの方もわかりやすく教えてくれました。

質問は何度でもOKで、私はプログラミングがものすごく苦手なのでチャットのツリーがめちゃくちゃ長くなることがよくありましたが、それで怒られたりすることはもちろんありません。
わかるまで何度でも答えてくれます。

また、利用者同士で教え合って解決することも推奨されていました。
自分では理解している・できていることも、人に教えるのはまた別の難しさがありますし、教えることで自分の勉強にもなります。

前職がSEという利用者さんや、就労移行支援に入所する前にプログラミングスクールに通っていたという利用者さんもいたので、忙しくない時など
「全然大丈夫ですよ! どの部分ですか?」
と言ってもらえた時はありがとうございます!とお礼を言って私もよく質問させてもらっていました。

利用者同士で教え合うことは強制ではなく、そういうのが苦手な方やしんどい方はひとりで黙々と訓練していました。
それで他の利用者に何か言われたり、支援者から注意されることももちろんありません。

2. ソーシャルスキルなどの訓練の流れや進め方

事業所によって異なると思いますが、私が通っていた事業所では

  • スライドとテキストを見ながら支援者の説明を聞く

  • ノートを取る

  • 利用者同士で意見を出し合う

というような感じでした。

最後の「利用者同士で意見を出し合う」というのが私には色んな意味で効果的でした。

自分では絶対思いつかない見方や捉え方をする利用者さんや、真面目そうに見えるのに遊び心あふれる意見を出す利用者さんもいて、

  • 自分以外の他者の考えを知ることができる

  • 「こんな考え方もあるんだな」「こんな捉え方もできるんだな」と新しい視点や物の見方に気付ける

  • ふだん話したことのない利用者さんの意外な一面がわかる

というのもあって、毎回とても楽しかったことを覚えています。

もちろん意見を出すのも強制ではなく参加しないで他の利用者の意見を聞いている人、まだ他の利用者と一緒には訓練を受けられなくて、オンラインで自宅や別室から訓練に参加している人もいました。


訓練は役に立ったか

めちゃくちゃ役に立ってます。

IT系の訓練もソーシャルスキルなどの訓練も、障害者雇用で就労した後も進〇ゼミじゃないですが「あ、これ就労移行支援でやったやつだ」とよくなっています。


訓練は厳しい?

完全に事業所によると思うのですが、私が厳しいと思ったのは数回くらいです。

IT系の訓練に関しては、その人や内容にもよりますが難しいと感じることもあるかもしれません。
ただ、私の場合わからないところはチャットで質問すればいくらでも答えてもらえる環境が整っていたので、その点でしんどさを感じたことはなかったです。

ソーシャルスキル系の訓練もスライドの速さやノートを取る時間は
「すみません、まだ全部ノート取れてなくて」
とお願いすれば次のスライドに移るのを待ってくれるので焦らずノートを取れましたし、まだ他の利用者さんと一緒に参加するのしんどいな…という時期は

  • オンラインで自宅から参加

  • オンラインで事業所の別室から参加

という方法も選べたので、ちょっとずつ慣れていけました。

厳しいと思ったのは就職活動が視野に入った頃からです。

障害者雇用とはいえ一般企業に就職することが目標なので、面接の練習でノックの回数やバッグの置き方、障害や特性についての説明の仕方について細かく指摘されたり、以前から指摘されていた話し方のくせや傾向についてより厳しく指摘されるようになりました。

ただ、指摘された内容はすべて就職活動や働く上で重要なことばかりだったので、
「しんどい、けどありがたい」
「がんばろう」
と指摘されるたびに自分に言い聞かせてました。

訓練の進め方やペースについては、きちんとした事業所なら利用者の希望や体調、障害特性に合わせて細かく調整してくれます。

ただ、就職がいよいよ現実味を帯びてくると厳しくなってくるかもしれません(これも利用者のことを思ってくれているからこそです)


どんな雰囲気?

事業所によってまったく変わります。

私の通っていた事業所の利用者さんたちは
「みんなそれぞれできることとできないこと、得意不得意がある」
ということを理解していて、
「自分ができることを頑張ればいい」
「体調や精神面でできない時もある。それでもいい」

と思ってくれていたように思います。

また、支援者も利用者も
「訓練のペースも、就労移行支援を卒業した後に進みたい道ややりたいこともみんな違う」
「みんなそれぞれ違ったペースでできることをやればいい」

という前提があったので、

  • (体調や精神面の影響で)今はまだできないこと

  • (障害特性などで)これからもずっとできないこと

があっても誰も何も言いません。
「そういうもの」とみんな普通に受け止めています。

個人的に事業所の雰囲気や利用者はその事業所の方針や考えを映す鏡だと思っているので、実際に見学や体験に行ってみて
「良さそうな雰囲気だな」
「自分に合いそうだな」

と思ったらその直感は意外と外れないと思います。


人間関係しんどくない?

事業所の雰囲気のおかげか、1年就労移行支援に通って
「あの人と話すのしんどいな」
「この人ちょっと苦手…」
みたいに思ったことはありませんでしたが、少しずつ慣れてくるまで私もものすごく怖かったので不安はよくわかります。

「人間関係が不安」
「他の利用者さんと話すのはまだちょっと怖いな」

という人は、

「少しずつやっていきましょう」
「他の利用者さんと話しても話さなくてもどっちでも大丈夫ですよ」
「無理に他の利用者さんと関わろうと頑張らなくてもいいですよ」

と言ってくれる事業所だと安心だと思います。

きちんとした事業所なら、その人の体調や精神面に合わせて他の利用者と関わる必要がある訓練の量や頻度などを調整してくれます。


逆に
「発達障害の二次障害でうつがひどくてしばらく引きこもっていたので、まだ人と関わるのが怖いです」

と不安を感じている利用者に対して

「うちの利用者さんは良い方たちばかりだから大丈夫ですよ! 最初から週5で訓練入れて他の利用者さんともどんどん会話していきましょう!」

と言ってくるような支援者や事業所は警戒したほうがいいです。


私の場合

前職を退職後、就労移行支援に通い始めるまで1年ほどうつで引きこもっていたので、初日は通所するのもものすごく怖かったですし、始めのうちは訓練後の掃除など他の利用者さんと一緒にやる作業も参加できませんでした

「他の利用者さんはできてるのにな」
「怖いと思ってしまってできない自分が恥ずかしいし、他の利用者さんにも申し訳ない」
自分を責めてしまってつらかったです。

でも、支援者さんが「ちょっとずつで大丈夫ですよ」と言ってくれて、何度も相談に乗ってくれたり他の利用者さんと関わる訓練やタイミングを調整してくれたりしたので、本当に少しずつ少しずつ通所できる日や他の利用者さんと関わる訓練を増やして行けました。


まとめ:自分に合った事業所・信頼できる事業所を選ぶのがいちばん大事

冒頭でも書きましたが、
「ちゃんと自分に合ったところに通えば、訓練も人間関係もしんどくない」です。

もし通っていて「しんどいな」と感じることがあるとしたら、

  • 自分の希望や障害特性に合わない方針・雰囲気の事業所

  • 今の自分の体調や精神面ではちょっと厳しいレベルの事業所

に通っている可能性もあります。

また、人間関係も訓練も、ちゃんとした事業所や支援者ほどその人に合った関わり方やペースを提案・配慮してくれます。

利用者が

「人間関係が不安です」
「最近訓練がちょっとしんどいと感じてしまいます」

不安やしんどさを訴えた時、適当に流したり、寄り添ってくれずにどんどん訓練を進めたり他の利用者との会話を勧めたりする事業所は論外です。

ちゃんとした事業所・自分に合った事業所を選ぶためにも、見学や体験はとても大事です。

就労移行支援はまず「安定して通所できるようになること」が重要なので、自分に合わない・自分がしんどい事業所を選んでしまうと通所や訓練が苦痛になってしまって元も子もありません。

自分に合った事業所を選んで、入所前も入所後も、「自分がしんどくない、楽な状態」でいるための手間や工夫は惜しまないでください。


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雪(ADHD@初めての障害者雇用で就労中)
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