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発達障害、ADHD、グレーゾーンとは一体なになのか

まず、私の元々の自己肯定感の低さの原因の一つであるADHDグレーゾーンについてお話しします。
だいぶADHDは知られてきたと思いますが、ある程度知られてきた分、「なんとなく」の知識で分かった気になっている本人、家族、周囲の人も多いのではないかと懸念しています。
誤った知識、解釈は時に自分や相手を傷付けます。

ぜひ、ご本人はもちろん、ご家族や身近な人に「発達障害かも?」と思う方がいる場合は、正しい知識を以て接してあげてください。
もしかしたら、あやふやな知識で考えて発した言葉が障害を持つ人達にトドメを刺してしまうかもしれませんので、まずは発達障害とは、ADHDとは、グレーゾーンとはなになのか、ご説明したいと思います。

まずは、基本的な「発達障害」「ADHD」についてお話します。



発達障害とは

①そもそも発達障害って何

「ADHD」「アスペルガー症候群」「自閉症スペクトラム」「学習障害」…
最近では随分と発達障害の名称が知れ渡りましたね。おそらく皆さんもある程度ご存知だからこのブログに辿り着いたのではないでしょうか。

そうはいっても、自身やその家族が当事者になるまでは、ざっくりとしか知らなかったりもします。それが一番恐ろしいことです。
何かしらの理由でADHDというものに興味がある、携わるのであればまずは正しい知識を持ち合わせて欲しいので、よくご存知の内容かもしれませんが敢えて書きます。

そもそも「発達障害」って何でしょう。どうやって治すの?
薬はあるの?そんな疑問をお持ちの方もまだまだいらっしゃると思います。
発達障害とは、病気のように後天的にどこかの具合が悪くなるのではなく、生まれつき脳の働きが特殊なものを言います。
つまり、先天的であり「完治」するものではありません。
なので、正確には「発達障害を治す」は誤りであり、
「発達障害に対応する」「発達障害と上手く生きていく」という認識でいなくてはいけません。

個性が強いというか、あくまでも性格や持って生まれた能力の部分であるということです。また、得手不得手に大きな差がある人も多く、普通の人が出来ることが出来ないのに、ある特定分野でものすごい才能を発揮したりする人も多いです。
だからよく、「デコボコがある」なんて表現をされたりもします。

その凸凹が上手く仕事や人間関係に活かせれば良いのですが、逆に人に迷惑をかける部分として発揮されてしまう時もあります。
そんな凸凹を少しフラットに近づけるためにお薬の服用が出来たりもします。
ただし、ここでも間違えてはいけないのは、発達障害の薬は「治す」ものではなく「対処療法」でしかないということ。
だから、周囲の人は発達障害の人に「どうにかして治して」と思うかもしれませんが、それだけは求めないでください。
それが出来なくて苦しんでいるのが発達障害の人たちです。
それほどに酷な言葉はないのです。

そして、ハッキリ言います。

ご本人も「なんとかしなきゃ!」なんて思わないでいいんです。
そんな絶対に叶わないことを願うのは、自分を追い込むだけです。
「さて、どうやってこの特性と付き合っていこうか」
「どうやったらこの特性は活きるのだろうか」
そんな風に人生の謎解きをしていけばいいのです。

②ADHDとは

では、たくさんある「障害」の中でも「ADHD」とは何者なのか。
ADHD、正式名称「注意欠陥多動性障害」
「Attention-deficit/hyperactivity disorder」の頭文字からADHDと言われています。

その名のとおり、集中力のなさや物忘れの多さなどの不注意(注意欠陥)や、落ち着きなくずっとソワソワと動いている、思いついたらすぐに後先考えず行動・発言してしまうなどの多動性や衝動性が特徴です。

集団行動が求められる小学生くらいから気付く人が増えていきますが、実はそれは多動性・衝動性が強い子の場合が多いです。
不注意が強い子は集団行動は問題なく過ごせるため見過ごされやすく、大人になり就職してから気付くケースが増えてきています。
これが近年よく聞く「大人の発達障害」。
何も大人になってから発達障害になったわけではないのです。気付かず大人になっただけです。

そう、「注意欠陥多動性障害」といっても、実は全員が全員、不注意も多動性も衝動性も発揮するわけではないのです。
どれかの特徴が強く、ピンポイントでおかしなことになるようなケースもあるのです。
次は、それぞれの特性に分けてもう少しお伝えします。

ADHD3つのタイプ

①不注意型

ADHDには大きくわけて3つの特性があります。それは以下の3つです。

・注意欠陥(不注意)
・多動性
・衝動性

これらにはそれぞれの特性があり、ADHDの中には全ての特徴がある人から特定の1つだけ発現する人もいます。まずは不注意型と呼ばれる、注意欠陥についてご説明します。

注意欠陥とは、簡単に言うとミスや忘れ物が多いなど、不注意が特性です。
例えば、子供の例でいうと、いわゆる「ケアレスミス」が多かったり、忘れ物が多い、約束を忘れてしまう、など。
社会人の場合、書類の不備や記入漏れが多かったり、スケジュール管理ができなかったり、出かけるときに何かしら(財布や定期、ノートなど)カバンに入れ忘れてしまったり。

そう、普通はちゃんと落ち着いて確認したり注意していれば防げること。
それが分かっていながらも何故かできない…
何度も確認しているはずなのに見落とす、忘れる、ミスをする。
これを繰り返してしまい気を付けているはずなのに治せないのが不注意型です。

本人たち、とくにADHDを自覚している人なら尚更、人よりも何度も、何度も確認しているのにできない。でも周囲からは「ちゃんと気を付ければ済むことを毎度、毎度やらない人」「サボる人」「手を抜く人」として映る。
本人の努力に対して周囲の評価が全く見合わない。努力すればするほど、その虚しさは募る。

そんな苦しさも特徴の一つだと私は考えています。

②多動型

続いては多動性についてです。これは一番「発達障害」と周囲が認識しやすいタイプかもしれません。

じっとしていられず、すぐに立ち歩いてしまう。
いつも手足など身体のどこかをソワソワと動かしている。
ずっとしゃべっている。等々。

決めつけて見て欲しくはないですが、学年に一人くらいそういう子いましたよね。また、そういった子は周囲から見ても「障害者」であり、実際診断が下っていたりもしたと思います。

理解されない苦しみよりも、どちらかというと「障害者」として何もかも出来ないように見られたり、変人扱いされたり、露骨に周囲となじめないケースが多いです。
グレーゾーンや大人になってから、ではなく幼少期から「発達障害」と診断されるケースが多いのも多動型です。また、一般的に男性によく表れやすいこともあり、「ADHD=男の子の障害」と認識されやすいのもそういったところからきています。

③衝動型

こちらも「不注意型」同様に、「発達障害」と繋がりが見えにくいことも多いのですが、
衝動買いを繰り返してしまい、気付けば支払きれないほどのクレジット請求がきていたり、思ったことをすぐに口にしてしまい相手を不快にさせてしまったりといった後先を考えられず行動してしまうのが特徴です。
また、順番を待つことができなかったり、誰かの話を遮ってしまったりなどもあります。

それが発達障害からくるものである場合も、周囲からはただ、ただ「空気の読めない人」と映ってしまい、本人の意図しないところで評価が下がっていたりします。

また、衝動的に行動するので、時に危険を顧みずに飛び込んでしまいケガをしたり事故にあったりするケースもあります。

④複合型

①~③までのタイプの特徴をお話してきましたが、これら全てが発現している人、1つだけ当てはまる人、2つ当てはまる人、全部当てはまるけど特に1つだけ特徴が強い人、など千差万別です。

むしろ、これらが複合的に表れている人の方が多いはずです。
そして、日常生活に大きく支障をきたしていると「発達障害」と診断されるまでに至るケースが多いです。
もちろん、診断方法は各クリニックによりますし、検査を受けるので、「日常生活に大きく支障をきたす」という非常に主観的なものを主軸に考えてはいけません。

ただ、そのレベルになってくると、診断されるケースが多いということです。

「発達障害の人」ではなく「個人」と向き合う


最後に、とても大切なお話です。
ここまでADHDの3つのタイプや複合型についてお伝えしてきました。
特徴として例も出しました。

ただ、忘れてはいけないのは、あくまでも一例に過ぎないということ。

ADHDといっても、その特徴の現れ方は当たり前ですが千差万別。
顕著に1つのタイプが現れる人もいれば、2つ現れる人、2つなんだけど、1つの特徴が特に目立つ、支障をきたしている人、などそのバランスは人それぞれ。

また、「不注意型」といっても、特定条件が揃ったときにだけミスをしてしまう、「多動型」でも頑張ればじっとしていられる(でも本人はものすごくしんどい)、怒りに関してだけ衝動的になってしまう「衝動型」などその特徴の現れるシーン、頻度、抑制の加減も人それぞれです。

発達障害の知識をつければつけるほど、その一般論で自分や相手を見てしまいがちですが、どこまで行っても向き合うべきは「自分」「その人」です。
全ての特徴が当てはまる人なんていないんです。

そして、矛盾しているようですが、全ての人に当てはまる部分があったりもします。

ケアレスミスしがちな人、おしゃべりな人、すぐ欲しいものを買ってしまう人。

みんながみんな発達障害でしょうか?
違いますよね。

発達障害の人の特徴は誰にでも当てはまるんです。
ただ、ちょっと頻度が多かったり、レベル感が違ったり、それによって日常困っていたり、誰かに迷惑かけていたり…
それこそ、「デコボコ」が普通の人より振り幅が大きいといったイメージでしょうか。

発達障害やADHDの知識は正しく持ち合わせるべきです。
ただ、その一方で、その知識だけを信じて自分や目の前の人を見失わないでください。
突き詰めるとその人の個性でしかないんです。
足の遅い人に早く走れと言っても無理なように、その人に何ができて、何ができないのか、どんな思考のクセがあるのか。

大切な自分、相手と向き合うこと。これに尽きるんです。
これって障害者相手じゃなくても人間関係で大切なことじゃないですか?

どうか、一般論で知った気にならないでください。
本人と向き合うことから逃げないでください。
次回は、グレーゾーンについてお伝えします。

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