『闇祓』

辻村深月さんの作品。

原野澪のクラスに転校してきた白石要は、澪に対する怪しい言動から澪に避けられてしまう。


今まで本を読んできた中で一度も味わったことがない感覚を抱いた。

登場人物に対して「もうこれ以上やめてくれ」と言いたくなるくらいだった。

最初の章と最後の章で要に対する印象ががらりと変わった。

最後の章で今までの出来事が繋がるとは思っていなかった。


印象に残っている文

褒められると嬉しかったが、褒められるためにしている、というわけでもなかった。いい人ぶってるとか、そういうことではなくて、ただ、そういうものだからやるべきだ、と思っているだけだ。

「自分がひたすら嫌われたくなくてやってることは、弱さだから。弱さにつけ込まれんだよ。変わらなきゃダメだよ」

「飛び降り自殺をする人って、人を巻き込もうとしてしまうんだって、聞いたことがある。無意識に、下に人がいる時を狙って落ちようとするんだって」

その瞬間、背筋をひやりと冷たいものが落ちる。仕事を持つ母親と持たない母親の間に、ある種のわだかまりがあることを、いろんな場面ですでに経験している。

「相手にかけてほしい言葉。みんな、悪くないって言ってほしい。あなたの正義が正しいって認めてほしい。そうしてくれる相手には、みんなどこまでも自分の話をしてしまえる。委ねてしまえる」


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