『田舎の紳士服店のモデルの妻』
宮下奈都さんの作品。
私の好きな作家の一人である。
東京育ちで美人の梨々子。ある日夫がうつになり、都会から田舎へ。
田舎に住む梨々子の心境の変化が描かれている。
私が梨々子の立場であったら、とてもネガティブな心情になるだろう。
個人的に、町内会の運動会で夫と二人三脚をする話が好きである。
印象に残った文。
初めて会ったときに笑顔を見せてくれなかった人とはだめだ、と梨々子は思う。
↑ 私も同じである。
さっき部屋を出てから、すれ違った人。挨拶をした人、立ち止まって少し話をした人。これから病院で会う人。そして、今ここに立っている私。結局は、人だ。人と交わることで変わっていく私は、顔のある人との間に生きていく。今ここにしかない私。かけがえのない、何者でもない私。