『テロリストの処方』
久坂部羊さんの作品。
「勝ち組医師」を狙った連続テロ事件が起こる中、全日本医師機構の総裁となった狩野のもとにも脅迫状が届く。
医師の免許更新制度や医師の階級制など、狩野は興味深いことを考えるなと思った。
裏社会を牛耳るグループに対して、琴美は強心臓だなと感じた。
奄美大島に行ったことがないので、いつか行ってみたいと感じた。
安達が自分の思いを浜川に語るシーンが、とても印象に残っている。
印象に残っている文
時代の流れと言えばそれまでだが、問題は勝ち組と負け組の分かれ目が、必ずしも医師としての優劣によらないことだ。いくら優秀でも、患者を集められなければ負け組になるし、医師として凡庸でも、口がうまくて商売上手な者は勝ち組にのし上がれる。
医療における自由と平等は専門性の高いテーマで、一般の人は両方を求めるだろうが、実際には両立しない。すべての患者に平等な医療を行うと、よい医療を選ぶ自由が制限されるし、金持ちがよい医療を選ぶ自由を行使すれば、平等な医療は損なわれる。