『物語の種』

有川ひろさんの作品。

Webマガジンで募集した物語の種を、有川さんが小説にした作品である。


遺影を一緒に撮影するというのが良いと感じた。

地方によって昔から伝わる歌の歌詞が違うのが、面白いと感じた。

ヤモリがテーマの「ぷっくりおてて」が一番好きな話である。

「Mr.ブルー」では、リモート会議をテーマにしてこのような話が書ける有川さんがすごいと思った。

銀婚式や金婚式については知っていたが、鉄婚式や銅婚式があるということを知らなかった。

男役に男がときめく現象についてMr.ブルーが解説する場面が、とても面白かった。


印象に残っている文

変則的リモートワーク。リモートリモートと急に叫ばれ出したが、結局は出社しないと細かいニュアンスや何かが上手く運ばなかったり、お偉いさんが年代的にリモートが不可能だったり。人間は電子の海だけで生きていけるようにはなっていない。

植物を見慣れていない人にとって、見分けるポイントはまず色、次に色、その次も色らしい。

「お義父さんのことが一段落ついたら旅行に行こうか」「いいけど、どうしたの急に」「いや、あたしたちも遺影になるような写真を更新しとかないと」

コドモの世界において運動ができるということはパスポートをひとつ持っているに等しい。取り敢えず周りに一目置かれる。

女の敵は男だったり女だったりだし、男の敵も女だったり男だったりだろうし、そのときどきだ。属性を分類することにあまり意味はない。結局はそいつがどんな奴かだ。靴底にへばりつくガムは落ちている場所を選ばない。

宝塚歌劇で上演されたロミオとジュリエットは、フランスでフレンチロックミュージカル版として上演されたロミジュリの日本語版であり、そこには「死」という抽象的な役柄が登場する。台詞は一切なく、登場人物が憎悪や怒り、絶望などネガティブな感情に支配されるような場面で現れて、登場人物たちにまとわりつくような舞を舞う。原作冒頭の「口上」にある「死の影に怯えとおした二人の恋の一部始終」という文言を象徴するような役だ。舞だけで不吉な存在感を表出せねばならないので、凄まじいダンスの技量が要求される。

その後、二人の手つなぎは恋人つなぎに昇格し、体温を分かち合うように寄り添った。彼のほうはといえばクールビズなのに服が全身モイスチャーになるくらい汗だくである。恋の力は不快指数も乗り越えるのか。

標準的な体験ってしといたほうがいいんだよ、多分。みんなが知ってる基準を知らないのって、気がつかないうちに損したり苦労すること多いし。

「生まれる前からファン⁉︎ どゆこと⁉︎」「ごめんごめん、これは宝塚用語でファン歴がお母さんやおばあちゃんの代まで遡れるファンが名乗る慣用句的なもので、類語として前世からファンとかも」「息するように謎の宝塚ミーム入れてくるのやめてもらえます⁉︎」


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