『ブック・ジャングル』

石持浅海さんの作品。

大学卒業を控えた男子学生2人は、昆虫図鑑を見るために閉館された図書館に忍び込む。一方、女子高校生3人組は除籍本を回収するために忍び込む。すると、ヘリコプターが5人を襲ってきて……


図書館という閉鎖的な空間で犯人とのバトルが行われるという設定が面白かった。ヘリコプターで襲ってくるというのが怖かった。

父親が学生を殺害しようとした方法が意外だった。

男子学生2人はどちらも好感の持てる性格で、かっこいいと感じた。



印象に残っている文

デモンストレーションのために、潰す必要のない図書館を潰すだって? そんなの、市民のために全然ならないじゃないか。

自ら死を選ぶというのは、沖野の最も嫌う結論だった。

同格の友人を自慢する。それができるのは、三つのパターンがある。ひとつは、自分が友人以上の能力を持っているから、余裕で褒めるパターン。もうひとつは、単純に友人のことが好きでたまらなくて、ごく自然に出たパターン。そして最後のひとつは、友人に屈折した友情と嫉妬を抱いているパターンだ。

本当に秋元が安全主義者ならば、たまたま出くわしただけの少女たちなど放っておいて、自分だけで逃げるだろう。けれど彼は、自ら危険を冒して、彼女たちを護る道を選んだ。頭は冷静で、心は熱い。それが秋元誠司という男なのだ。

朝日が昇り始めた。一日が始まるのだ。自分たちにとっては、辛く、面倒くさい、後始末の一日が。でも、不安はない。ひとつの言葉だけで、十分だ。君は、俺が護るーー。


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