『キッチン戦争』
樋口直哉さんの作品。
有名シェフの祖父を持つ葉月。今はフレンチレストランで働いている。
ある日オーナーからコンクール出場するよう言われ、コンクールに向けて準備を始める。
知らない専門用語が多くあったが、とても勉強になった。
料理のコンクールというのは、一発勝負だからとても難しいと思う。
まず、コンクールで作るメニューを決めるのに時間がかかりそうだ。他の人と同じメニューだったら印象に残らない。しかも、制限時間内に作り終えないといけない。
作中に出てきた牛肉のパイ包みがとても美味しそうだった。
自分の料理が評価されるというのは、とても緊張するだろうなと思った。
印象に残っている文
ソワニエとは店にとって大切な客のことだ。古くから来店してくれている常連客やVIPを指す。
「作家のジェームス・ド・コケは『食卓の話題』という著作のなかで、こんな風に言っている。『茹で足りないさやいんげんと、茹ですぎたさやいんげんの間にはまつげをほんのひとまばたきする時間があるだけ』とね。」
「でも、ベストの調理法ってのは、往々にして現実では不可能だ。無理をすればお客さんを待たせてしまったり、かえって味が損なわれたりする。それでは本末転倒だろう」
客はめずらしく時間どおりにやってきた。キッチンのスタッフは一安心だ。美味しいものをつくろうという気にもなる。逆に遅れてくる客にはモチベーションがひどく落ちるものだが。
スタージュとは研修のことだ。見習いの料理人だけでなく、腕のあるシェフも勉強のために他店のキッチンで働くことがある。もちろん研修は無給だ。
フランス料理には一皿の上で調理法を重複させてはいけない決まりがある。
「好きにもいろんな形があるだろ。その気持ちが男女のあいだだけにある気持ちだったら人生はつまらないよ」
「人生は思いどおりにはいかない。でも、美味しいものを美味しく食べられる。それがいちばんうれしいことで、それだけで人生は悪いことばかりじゃないと思える。違うかい?」