『許されようとは思いません』

芦沢央さんの作品。

「許されようとは思いません」、「目撃者はいなかった」、「ありがとう、ばあば」、「姉のように」、「絵の中の男」の5つの話が収録されている。


「許されようとは思いません」では祖母の取った行動の意味を知って、驚いた。私と水絵の最後の会話がとても良かった。

「目撃者はいなかった」では、悪いことはできないと感じた。

「姉のように」では、新聞記事の使われ方がすごいと感じた。


印象に残っている文

彼女は記憶力がよく、頭の回転が速い。私は、何気なく口にした自分の言葉がきちんと受け止められているのを感じて、気恥ずかしいような嬉しさを覚えた。

「そう、ならいいの。はい、お弁当。ばあば作ってきたの」鞄から小さなお弁当箱を出した。五穀米に里芋の煮物、子持ちししゃもに塩昆布、具だくさんの味噌汁だ。

私は悟らざるを得なかった。姉を無慈悲に断罪する声もつらいものだけれど、姉が罪を犯した要因を外に求める言葉もまた、私を追い詰めるものなのだと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?