『忘れ物が届きます』

大崎梢さんの作品。「沙羅の実」「君の歌」「雪の糸」「おとなりの」「野バラの庭へ」の5つの話が収録されている。


どれも過去に起こった出来事の真相を探る回想という形で、面白かった。

5つの話のうち、「君の歌」が一番好きな話だ。やよいちゃんの友達を想う行動力がすごいと感じた。

「野バラの庭へ」では、志保子の話の続きが気になりすぎて、富島の気持ちがとてもよく分かった。

表紙の絵がとても可愛いと感じた。



印象に残っている文

空気を読んでよけいなことを言わず、楽しい話題だけをつなげていく。営業マンの心得だ。

「先生」「そう呼んでくれるなら、ひとつくらい、先生らしいことをさせてくれ。もうすぐ子どもが生まれるんだろう? 今の君に、過去の実はふさわしくない。手放してもっと新しいものを摑みなさい」

ほんとうだね。君の、応援歌だ。

意味不明なファッション用語に出くわすたびに、アイドルグループの区別がつかなくなるたびに、気安く呼びつける人だ。A案とB案のデザインで迷うときも手招きされるが、「B」と答えると「やっぱAだよな」と言うのももはや定番。

「これ、なんていう花ですか?」ぴったりくっついていた統子の頭が「え?」と傾く。「綺麗な花ですよね」「そう、知らないんだ」「教えてください」「自分で調べなさい。甘えちゃダメ。しっかり自分の感性と知性を磨き、視野を広く持って、そして、いい男をみつけなさい。素敵な恋をしてね」

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