『ひとりの女』

群ようこさんの作品。

おもちゃ会社の課長として働いているセノマイコが主人公である。

ダメなものはダメときちんと注意できるマイコはとても立派な上司だと感じた。決して自己中心的ではなく、自分の信念を貫いている生き方が素敵だと思った。食事でお肉をたくさん食べるマイコに好感を持った。

印象に残っている文

四十歳になったときに、「どっこいしょ」だの「よっこらしょ」とつぶやいていることに気がついて愕然としたこともあったが、今はそれが当たり前になっているので、何とも思わなくなった。動作の句読点みたいなものである。

「仕事以外では、自分がいやなことはしたくない」

しかし今の若者は仕事に対して、ものすごく甘い。いっぱしの口はきくが、「じゃあ、あんたは会社で何をやりたい」と聞くと何もいえない。それなのに彼らは、「自分の好きなことを会社はやらせてくれない」と文句をいうのだ。

香港では冷房も客へのサービスのうちという認識があるようだが、まるで香港かと思うくらい冷房がきいている店内に、二人は向かい合った。


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