『テノヒラ幕府株式会社』

安藤祐介さんの作品。

小さなスマホゲーム会社である「テノヒラ幕府株式会社」で働くことになった拓真と小野里。

個性豊かな仲間たちとともに、ゲームの開発や保守に奔走する。


無頼庵で生活をしてみるのも、少し楽しそうだと感じた。特にカレーライスが美味しそうだと思った。

小野里が社員に受け入れられていないと感じる場面は心苦しかったが、小野里はきちんと自分のやるべきことを行っていて、すごいと思った。

大企業がベンチャーにちょっかいを出すということが、実際にも起こっているのだろうなと感じた。


印象に残っている文

「C、E、O。チョット、エキセントリックな、オバサンデース」

「家電なら少しぐらいは説明書を読むだろうけど、スマホ向けのゲームだとそうはいかない。直感で操作できないゲームなんてゴミみたいなものです。最初のチュートリアルで嫌になったユーザーは、二度とそのゲームには戻ってこない」

スマホゲームは一度創って終わりではなく、創ってからの改善が命であると肝に銘じている。だからサチは出来上がってきたものに対して簡単にはOKを出さない。

「修はやっぱり『築いてきた人』なんだな」「築いてきた人? なんだそれ。意味がさっぱり分からない」「他から見れば努力に見えることを、努力だとも思わず粛々と積み重ねることができる」

もはや今の拓真に「頑張っている」という感覚はなかった。今の自分に描ける最高のキャラクターを創りたいという願い、希望だけに駆られて手を動かしていた。

「過去ってフィクションみたいなものだと思いますよ。すごく美しく思えたり、すごく苦労したように思えたり。多かれ少なかれ脚色されるものじゃないですかね」

今の拓真にとって仕事をする上で大事なことはただひとつ。それは「何を仕事にするか」でも「どこで仕事するか」でもない。「誰と仕事するか」だ。

悪質なクレーマーほど、会社に押し掛けたりはしない。小野里には確信があった。悪意ある者は自分の行為が醜いものであることを分かっている。だから顔も見せず、名前も明かさず、安全な場所から石を投げつけるのだ。

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